大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第2章*王子とアンナ

6出会い③青天の霹靂バージル

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 二年前の悲惨な成人の儀と舞踏会の後、自分は色々な検査を受けた。

 結果・・・
 男女問わず握手や軽いハグ程度なら相手に魔力を流すことは無いと判明。
 しかし、それ以上触れあうと完全に魔力酔いを起こしてしまう。
 薬を飲まずに濃厚接触できるのは自分と同等かそれ以上の魔力持ちの人間しかいないと。
 私よりも魔力量が多いそんな女性ひとがこの国いるというのか?
 否いないだろう。
 他国には?
 アデライト王国は周辺の国々の中でも魔力を持つ者が多いとされているのだ。自分より魔力持ちなんて他国じゃ無理だ。

 あの薬の服用は酷すぎる。
 副作用の改良を求めたが無理だと断言されてしまった。
 私は愛する妃を娶っても口づける事も抱き寄せ愛でる事も薬に頼らなければ出来ないというのか・・・男として終わったな。

 女性との触れ合いがないまま二年が過ぎ、私は二十歳になっていた。
 兄のデオドールも二十五になるがまだ適当に女遊びをしていて婚姻するつもりもないようだ。
 中性的で美しい兄は男色なのではないかと巷で噂でなっているらしい。もしかしたら私もそう思われているのかと思うと無性に腹が立った。

 それから数か月後、王城にて今年のデビュタントが行われた。
 この日は聖女マリーのお披露目もされるとあっていつもより来賓の数が多い。
 どちらにしてもデビューを迎える令嬢たちと踊れるわけでは無いから私にとってはどうでもいい行事だ。

 やっとマリーから解放され二人で会場へ戻る途中兄上がバルコニーで休む男女を見てイーサンではないかと言ってきた。

 見れば騎士団に所属するオレガノ家嫡男のイーサンだと分かった。
 彼は二歳年下だが幼い頃から面識があり一緒に遊んだ事も多々ある幼なじみと言っていいだろう。
 オレガノ家は皆美形でイーサンも人気があり、お嫁に行きたい子息の五番以内に入っていると聞いたことがある。

 くそっ、そのイーサンが女性と二人きりでいるとは!!!

「バージルちょっとイーサンを冷やかしに行こう」
 兄上の言葉に自分も興味が沸き後についた。

 兄上とイーサンのとのやり取りが面白くは兄上の後ろに控え声を殺し笑っていた。彼の彼女かと思いきや妹だと知り胸がざわつく。イーサンの背中に隠れていた少女が一歩前に出て兄上に綺麗に頭下げ挨拶をした。上げた顔を見て心臓が一瞬止まったかと思った。
 ジュリアンナという名の少女は今年デビューを迎えた十五才。自分より五つ下であった。

 プラチナピンクの髪と同じ輝きを持つ瞳。
 肌は透き通るように白く、瑞々しいチェリーの様な唇。
 彼女と目が合った瞬間一目で恋に落ち、自分でも信じられない行動に出ていた。

 自分の魔力の事も忘れ思わず跪き彼女の手をとるとその小さくかわいい指先に口づけてしまったのだ。
 彼女は驚いていたがその時不思議な感覚が私の中に広がって行った。
 自分の魔力とは違う魔力が体の中をゆっくりと流れて気持ちが穏やかになっていく。

 彼女から魔力が流れてきているのか?
 確かめたい。

 自制出来ない程私の気持ちは昂り、気付いたら彼女をダンスに誘っていた。

 以前踊った女性はほんの一分で倒れてしまった。
 それ以来二年間私は踊ることも否、女性に触れる事さえ躊躇っていた。
 しかし彼女は・・・魔力酔いする様子もなく私のリードで優雅にワルツを踊っている。

 信じられない。

 こうしている間も彼女から緩やかに魔力が流れ私の身体中を巡って行く
 なんて心地いいのだろう。ずっとこうしていたい。
 そう願わずにはいられなかった。

 踊っていて彼女の魔力量は私以上だと感じた。
 その事を彼女に問うと人よりちょっと多め位いだと惚けた返事が返って来る。
 そんな訳はないだろう、私は人の魔力量が分かるというの力を持っているのだよ。
 これは何か隠しているな。しかし、このまま放置していたらいつ誰に悪用され危険な目に合うかもしれない。
 私が守らなくては。
 そうだ、私以外に守れる者はいない。

 とにかく一生独り身だと諦めていた自分の未来が明く思えた。

 ぐずぐずしてはいられないぞバージル。 
 このめちゃくちゃ可愛い天使を自分のモノにするために早急に話を進めなくては。
 まずは父親であるオレガノ男爵に挨拶だ。

 それから・・・

 考えるだけで気持ちが高揚してくる。
 私が触れていても魔力酔いで倒れる事のない唯一の女性に巡り合えたことを神に感謝した。

 もっと彼女と親しくなりたい。

 もっと彼女に触れていたい。

 三年近く諦めて押さえていた・・・・

 私の妄想は留まることは無かった。

 彼女を父親までエスコートし挨拶を済ませ長い間私の側近として付いてくれている親友ダニエルに報告すべく彼の元へと向かった。

 やったぞ、ダニエル!喜んでくれ!

 彼に報告すると素直に喜んでくれた。が、しかし。その後に出て来た言葉は辛辣だった。
「なあ、バージル。お前がその令嬢を自分の物したいと思うのはただ単に魔力酔いしなかったらか?抱くことが出来ると思ったから?」
 三つ上のダニエルは私の肩に手を置いてはしゃぐ私を落ち着かせるように目を見ていう。
 酔う事なく触れることが出来たのは嬉しかったしその先のアレヤコレヤを想像したのは確かだった。
 いやそうじゃない。違うんだ、一目惚れしたが偶然にも魔力酔いをしなかったのだ。
 私は私の唯一を見つけたのだと一瞬にして感じたのだ。
「そうではない。純粋にイーサンの妹に一目惚れした。もう彼女以外に考えられない」
「ならば彼女が魔力酔いしたとして、あの薬を飲み副作用で苦しんでも手に入れたいと」
「ああ、ジュリアンナ嬢が傍に居てくれるなら副作用で苦しむことも厭わない」
 きっぱりと告げると彼はため息を一つ吐き
「そうか、分かった。応援する」
 と言ってくれた。
 そして、その夜のうちにオレガノ家にジュリアンナ嬢と昼食をとりながら話がしたいので明日迎えの馬車を出すと手紙を書き届けさせた。

 私と踊ったジュリアンナを多くの貴族令息が見惚れていた。
 デビューは社交の場で貴族の令嬢として認められる場なのだ。
 うちにはこんな素晴らしい娘が居りますよ、どうぞ見初めてやって下さいと親が躍起になる。
 貴族たちもより美しい娘を貰いたいと品定めしているようものなのだ。
 明日からきっとオレガノ男爵の元にはジュリアンナ嬢とお見合いをという申し出が殺到するのは目に見えている。

 何としても先を越して自分の手の内に入れなければならない!



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 お気に入り登録ありがとうございます。
 本日二回目の更新です。
 夜九時前後にもう一話更新致します。
 連休中は一日三回を予定していますのでよろしくお願い致します_(._.)_


 
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