大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第3章*婚約期

19ピクニック気分でハンバーガー

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 【四日後に時間が取れた。例のランチをしたいと思うがアンナの都合はどうだろうか】

 バージル様から伝言を受け取り胸がざわつく。
 あれからジル様の事を思い出すたびに鼓動が早くなって落ち着かない気分になってしまうアンナです。

 これではいけないわ!と奮起し直ぐに返事を持って帰って頂く。

「ビオラ、殿下に料理を作るわよ。買い物にも行かなくては!」
「はーい」

 メニューは前回家族に作った唐揚げ、エビフライに加えハンバーガーも作りたいわ。
 この国のパンと言ったら固くスープに付けて柔らかくしてから食べるのが主流だ。
 何とかバンズ的なパンが出来ないかとあれから料理長とパン職人の三人で試行錯誤しバンズほど柔らかくはないがフワッと焼きあがったパンに三人ともめちゃくちゃ感動しました。
 トマトケチャップは自作する事に。
 ミキサーを魔道具で作ったらこんな便利なものなんでもっと早く作ってくれなかったのですかと料理長に言われてしまったけどね。
 ミキサーでさっと湯がいたトマトをペースト状にして塩、コショウ、砂糖、酢を入れ、ローリエの葉とともにかき混ぜながら煮込みます。
 冷めたら煮沸して置いた瓶に入れて冷蔵庫で保管。
 父さまが異国でソースを見つけて来てくれたのでソースとケチャップ、砂糖、赤ワインを入れて煮立たせ即席のハンバーグソースにします。
 ピクルスは元々食べられていたのでありました。
 
 買い出しに必要なものをメモに走り書きします。
 すると傍に居たコックが覗き込み
「お嬢様それは暗号ですか?」
 と聞いてきました。
 自分で書いたメモを見ると無意識に日本語で書いていたことに気付き自分で驚く。
 ですよね、見た事も無い文字列を見たら暗号と思われても仕方ないわ。
 でもこれは使える。大事な事は日本語で書いて置けば誰にも分からないって事だもん。
「うふふ、ポール。これはアタシだけの暗号よ」
 と笑って返すと
「そうですかー。でもレシピはちゃんと自分たちにもわかるように書いてくださいね」
 と言われてしまいました。

 バージルとの約束の前日に必要な買い物はすべて終え下ごしらえの済ませ準備も整いました。
 用意するのはジル様、マリー様、ダニエルさん、ビオラそして私の五人分です。
 
 揚げ物も揚げるだけにしてあるので大丈夫。
 ハンバーグは焼いて置いたのでバンズもどきにレタスを敷き煮詰めたハンバーグソースを絡めたハンバーグを乗せて・・・トマトのスライスも乗せちゃおう。
 最後にマヨネーズを少し載せてパンで蓋をして完成。
 あとは食べる前に少し温めればいいわね。
 食べる時に手が汚れないように一つずつ紙に包んでバスケットに並べました。
 あっ、ピクルスは好き嫌いがあるので小瓶に詰めて持って行きます。
 まるでピクニックへ行くような感じに仕上がりましたよ。


「殿下、もう少し落ち着きましょうよ」

 朝からそわそわしているバージルにダニエルが声を掛けます。

「落ち着けるわけがないだろう。きっと今アンナは料理をしている最中だ。ナイフで手を切ったりはしていないか心配だ。それに何かオイルで揚げる物がると聞いたぞ。揚げるとはどういうことだと聞いたらたっぷりの油を高温にしてその中にいれて調理するものだとアンナが言っていたが絶対危険だろう。それこそ油が跳ねて火傷をするかもしれない…」

 バージルの心配は尽きない。
 オロオロと部屋の中を歩き回るバージルにダニエルは呆れてそれ以上かける言葉を見つけらずにいた。

「ジュリアンナ様がバラの庭園にご到着されました」

 バージルはその知らせに用意していたブーケも持たず部屋を飛び出していきます。
 やれやれとダニエルは呆れながらブーケを二つ持ちバージルの後をゆっくりと追い掛け庭園と向かったのでした。

「アンナ」
 いつものようにアンナに駆け寄り抱きしめるバージル。
 そんな日常に最近は多少慣れて来たのに先日のキスとバージルの言葉が耳に残り動揺を隠しきれないアンナです。
「ごきげんよう、ジ、ジル様」
 何とか気持ちを抑え挨拶をしました。
「怪我はないかい、火傷は?」
 心配そうなバージルの顔にアンナは笑みを零しながら答えます。
「そんなに心配しなくても、ほら!この通り大丈夫ですよ」
「そうか、良かった」
 そういうといつもなら額か頬にキスをしてくるのにいきなり唇にチュッとしてきました。
 反則ですジル様!!!

「あらら」
 ほら、ビオラが呆れているじゃありませんか!

「殿下忘れものですよ」

 私が焦っているとタイミングよくダニエルさんとマリー様が現れ、そちらに気を取られた隙にバージルの手を逃れることに成功し、ビオラの元に駆け寄ります。
 ビオラはヨシヨシと私の背中を摩りながら「バージルの抜けがけね」と笑っていました。
 バージルはアンナとマリーにそれぞれブーケを手渡します。
「バージルお兄様、ありがとうございます」
 無邪気に喜ぶマリーの頭を優しく撫でるバージルをアンナは微笑みながら見ていたのでした。

 気を取り直して手作りランチの始まりです。
 初めての料理にバージルとマリー、ダニエルは感動するばかり。
「このエビフライ?、マリー大好きです」
「どれも不思議な味だが美味いよアンナ」
「お嬢、この包みは何ですか?」
 ダニエルの問いにアンナは包みを一つ取り、包み紙を半分開けてみんなに見せます。
「これは柔らかめのパンに牛肉のミンチを焼いたもの・・・パテと言いますが、それと野菜を一緒に挟んだものでハンバーガーと言います。中にソースも入っているので垂れて汚さないようにこうして半分だけ紙を開けて・・・」

 ガブリと大きな口でアンナがかぶり付く姿を見て全員が唖然とします。
 モグモグと咀嚼して口の中の物を飲み込むと

「はしたないとか気にせず食べるのがハンバーガーのルールです。どうぞ召し上がってみてください」
 と口の端に着いたソースをぺろりと舌で舐めたのでした。

「お姉さま、フォークもナイフも使わないで食べるなんて楽しそうです」
 『うふ、マリー様めちゃくちゃ喜んでくれているわ』
 四人にハンバーガーの包みを手渡すと、マリーとダニエル、ビオラは直ぐにアンナを真似て包みを開き始めましたがバージルは何故か固まったままです。

「えっ、ジル様どうかしました?」

 大口を開けて食べる姿が衝撃だった?お行儀が悪いと嫌われてしまったかしら。。。
 アンナの言葉で我に返ったバージルは
「いや何でもない」
 とアンナから目を逸らし何故か顔を赤く染め手に持ったハンバーガーの紙を広げ始めました。
 それに気づいたダニエルがバージルに周りに聞こえないように耳打ちをします。

「ペロリの口元をガン見してただろう」
 ちょうど口に入れたばかりのバージルはゲホゲホとむせてしまう。
「お前・・・げほっ」

「バージルお兄様さま、大丈夫ですか?いくらジュリアンナお姉さまのお料理が美味しいからってそんなに慌てて食べてはいけませんよ」
 マリーは口の周りにソースとマヨネーズをべったりと付けながらバージルに向かって言う。
 その姿に説得力はないが九才の少女に窘められる二十歳の王子。
 
 ダニエルはニタニタしながらバージルの脇腹を肘で突きます。
 バージルは肩でダニエルを押し返し

「このハンバーガーは気に入った。次回は二人でピクニックか遠乗りに出掛ける時に作って欲しい」
 とアンナにいうと

「遠乗りですか!私乗馬は得意です」
 と目を輝かせる。

「いや、アンナは私と同じ馬で・・・相乗りを・・・」

 バージルの言葉は段々尻つぼみになっていく。
 乗馬と聞きワクワクするアンナにその言葉届いていなかった。

「是非行きましょう、ハンバーガーも種類を揃えますわ!」

 ダニエルとビオラは二人会話を聞いて苦笑し、マリーはハンバーガーと格闘するお昼のひと時はこうして無事に終了したのでありました。

 本日も平和です。

 
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