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第6章*聖女の派遣と新婚旅行
54*聖女の力
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翌日ナリスティア皇妃に会えることなった。
南向きの穏やかな陽が差し込むベッドの上でナリスは上半身を起こして貰いクッションに沈むように寄り掛かっていました。
顔色は青白く四肢の麻痺がある様で歩く事は介添えが無いとできないという事でしたが、力がなく今にも消えてしまうのではと思えてしまう。
「ナリス、今日の調子はどうだい」
サミュエルがベッドの淵に座りナリスの肩を抱き寄せます。
吸い飲みで少しずつナリスに水を飲ませるサミュエル。聞けば朝と夜の食事はこの部屋で彼も食事を摂り自らの手で妻ナリスに食べさせているという。
「アデライト王国から聖女殿とお二人の王子そして王子妃がそなたの事を心配し遥々来て下さったのだよ。聖女殿が癒しの力をそなたに注いでくれるそうだ。少しでも楽になると良いね」
これが五国を統一した黒き軍隊を率いる皇帝の姿であろうか。
その姿を見て誰しもがやり切れない気持ちになっていた。
僅かに口の中に入った水をこくりと飲み込んで小さく息を吐くナリス。
「聖女様・・・馬鹿な事を・・・してしまった・・わたしくしのためにありがとう・・・ございます」
静まり返った部屋でなければ聞こえなかったと思えるか細い声で己を責めるナリスの姿を見てアンナは込みあげてくる気持ちと涙を必死に抑えてながらマリーの手を引きベッドの横に進んでいく。
「ナリスティア皇妃陛下。私はオレガノ国第二王子妃のジュリアンナと申します。この度は聖女マリー様の付き添いでご一緒させて頂きました。マリー様が落ち着いて治療に専念できます様にお傍でお手伝いさせて頂きますのでよろしくお願い致します」
深々と頭を上げるアンナにナリスは目を潤ませて「ありがとう」と小さく頷きました。
「聖女殿、ジュリアンナ妃。よろしく頼みます」
と皇帝自ら椅子を勧めてくれる。
アンナは一礼しマリーを座らせるとその横に自分は跪いた。
「皇妃陛下お手を」
「ジュリアンナ妃。皇妃の事はナリスと呼ぶが良い」
サミュエルの言葉にナリスの僅かに微笑みゆっくりと手を差し出した。
「はい。ではまずマリー様のお力でナリス様がどのような状態なのかを見てみます。私も治癒魔法が使えますのでご一緒にやらせて頂きますね」
マリーとは午前中に打ち合わせをしてある。何も分からなくても口にせずなにかあったらアンナに内緒話をするように耳打ちするようにと言ってありました。
「マリー様」
呼ばれたマリーはアンナの顔を見て頷きそっと小さな手でナリスの手を握ります。その上からアンナが自分の手で覆いマリーとアイコンタクトを取り二人で目を閉じ気を流し込み状態を確認します。
流した気と魔力がナリスの体の隅々を巡り自分たちに返って来る。これは少し強すぎるかもしれない。マリーにもナリスの体の中に巡っている悪いものは感じている筈。
彼女の体が微妙に震え出した。
『これ以上は身体の小さなマリーには危険かもしれない』
「もういいですよ、マリー様」
周りには気づかれないように彼女の耳元で告げるとマリーは息を吐いてナリスの手を握る力を緩めました。
初めての体験で怖かったのかマリーはアンナに抱き付き泣き出してしまいます。
「大丈夫です。少し休めば落ち着きますのでデオドール殿下、マリー様をお願い出来ますか?」
そう言いながら泣いているマリーに癒しを流し込みます。
冷静なアンナの言葉に安堵した空気が流れ込みます。
「ああ、心得た」
デオドールはアンナから泣いているマリーを受け取り抱き上げたまま控えの間へと消えて行きました。
皇妃の部屋に残ったのはアンナとバージル、そして皇帝サミュエルと寝台の上のナリス。
「聖女様は 大丈夫でしょう か・・・」
自身も魔力が流され体力を消耗しているにも関わらず幼い聖女を心配するナリス。
「陛下、ナリス様を横にして差し上げて下さませ」
「ああ、分かった」
アンナは横になったナリスに癒し魔法で少し眠らせ、自分も失礼しますと応接セットの長椅子に座り込みました。
「大丈夫かいアンナ」
心配したバージルがアンナの横に腰かけ彼女の背中を摩る。
「ありがとう、わたしは大丈夫よバージル・・・陛下よろしいでしょか」
アンナに呼ばれ正面の椅子に腰を降ろした座ったサミュエルは
「今、ジュリアンナ妃はナリスを魔法で眠らせたのか?」
「はい、状態を拝見するためにナリス様の中にマリー様と一緒に魔力を流し込みましたのでかなり疲労されてると思いそうさせて頂きました」
「そうか、ありがとう。あんなにに穏やかな寝顔を見たのは久しぶりなので驚いている」
少し嬉しそうにいう彼の顔からは彼女を憐れむ表情が消えていた。
「で、何か分かったのアンナ?」
バージルはアンナの手を握りながら聞いてきました。
サミュエルも穏やか表情から一変心配そうな目をしてきます。
「はい、ナリス様の中には魔女の魔法薬と魔術師が掛けた幾つもの魔術が混在している状態です」
「混在?・・・聖女殿も大丈夫であろうか」
皇帝が大きな体をがっくりと曲げテーブルの上に乗せた拳に額を付けた状態のままマリーの事も心配する。
「サミュエル陛下・・・」
「マリー様はまだ身体がお小さい故、ナリス様の中の魔術に当てられあのような状態になりましたが、横になって休めばすぐに回復されますので」
「良かった。それでナリスの方は・・・」
藁にでも縋るようにアンナの事を見上げてくるサミュエルに
「少々お待ちください」
と制し、
「私とバージル様は小さな聖女様よりも強い魔力を持っています。ナリス様に掛けられている術の説明などは私より殿下の方が詳しいので、私がナリス様から感じ取った魔術をバージル様と共有し陛下にご説明したいと思いますが宜しいでしょうか?」
サミュエルは顔を上げて二人の顔を交互に見た。
「なんと、お二人は聖女殿より強い魔力をお持ちなのか」
「ええ、そうです。先ぶれでお知らせ致しましたように見た通り聖女マリーはまだ未熟です。なので私たち二人がそれをフォローする為に同行させて頂きました。ですが、私たちの事は一切口外しないと誓って頂けないとご協力も出来ません」
バージルの言葉に彼は頷き
「あぁ、お二人のことは内密にさせて頂く事を誓う」
アンナも頷き「では」とバージルの両手を握りナリスの情報と共に魔力をバージルに流し込む。
バージルの体温が上昇し薄っすらと額に汗が滲むのを見てサミュエルは心配そうに見ています。
「バージルどう?」
「ああ、受け取ったよアンナ」
アンナが手を離しハンカチでバージルの額の汗を拭ってあげました。
「私は魔力が少ないというかほとんど無いと云っても良いのだがお二人の魔力はどれ程なのか?」
バージルはニヤリと笑い
「聞かない方がよろしいかと思いますが、私よりアンナの方が強いですよ」
「そ、そうなのか。ん、でもやはり聞いてみたい」
アンナはクスリと笑う。
「後悔しても知りませんよ・・・彼女の魔力はこの城一つ簡単にぶっ壊すだけの力を持っています」
サミュエルの顔を青ざめていく。
「・・・そうか、この城を・・・いや、聞いて置いて良かった。アデライト王国に戦争を仕掛けてなくて本当に良かった。。。」
まじまじとアンナの顔を見て来る皇帝。
いやん、照れるわ。
ってそれどころではないのです。今は皇妃陛下の事ですよ、バージル様にサミュエル陛下。
南向きの穏やかな陽が差し込むベッドの上でナリスは上半身を起こして貰いクッションに沈むように寄り掛かっていました。
顔色は青白く四肢の麻痺がある様で歩く事は介添えが無いとできないという事でしたが、力がなく今にも消えてしまうのではと思えてしまう。
「ナリス、今日の調子はどうだい」
サミュエルがベッドの淵に座りナリスの肩を抱き寄せます。
吸い飲みで少しずつナリスに水を飲ませるサミュエル。聞けば朝と夜の食事はこの部屋で彼も食事を摂り自らの手で妻ナリスに食べさせているという。
「アデライト王国から聖女殿とお二人の王子そして王子妃がそなたの事を心配し遥々来て下さったのだよ。聖女殿が癒しの力をそなたに注いでくれるそうだ。少しでも楽になると良いね」
これが五国を統一した黒き軍隊を率いる皇帝の姿であろうか。
その姿を見て誰しもがやり切れない気持ちになっていた。
僅かに口の中に入った水をこくりと飲み込んで小さく息を吐くナリス。
「聖女様・・・馬鹿な事を・・・してしまった・・わたしくしのためにありがとう・・・ございます」
静まり返った部屋でなければ聞こえなかったと思えるか細い声で己を責めるナリスの姿を見てアンナは込みあげてくる気持ちと涙を必死に抑えてながらマリーの手を引きベッドの横に進んでいく。
「ナリスティア皇妃陛下。私はオレガノ国第二王子妃のジュリアンナと申します。この度は聖女マリー様の付き添いでご一緒させて頂きました。マリー様が落ち着いて治療に専念できます様にお傍でお手伝いさせて頂きますのでよろしくお願い致します」
深々と頭を上げるアンナにナリスは目を潤ませて「ありがとう」と小さく頷きました。
「聖女殿、ジュリアンナ妃。よろしく頼みます」
と皇帝自ら椅子を勧めてくれる。
アンナは一礼しマリーを座らせるとその横に自分は跪いた。
「皇妃陛下お手を」
「ジュリアンナ妃。皇妃の事はナリスと呼ぶが良い」
サミュエルの言葉にナリスの僅かに微笑みゆっくりと手を差し出した。
「はい。ではまずマリー様のお力でナリス様がどのような状態なのかを見てみます。私も治癒魔法が使えますのでご一緒にやらせて頂きますね」
マリーとは午前中に打ち合わせをしてある。何も分からなくても口にせずなにかあったらアンナに内緒話をするように耳打ちするようにと言ってありました。
「マリー様」
呼ばれたマリーはアンナの顔を見て頷きそっと小さな手でナリスの手を握ります。その上からアンナが自分の手で覆いマリーとアイコンタクトを取り二人で目を閉じ気を流し込み状態を確認します。
流した気と魔力がナリスの体の隅々を巡り自分たちに返って来る。これは少し強すぎるかもしれない。マリーにもナリスの体の中に巡っている悪いものは感じている筈。
彼女の体が微妙に震え出した。
『これ以上は身体の小さなマリーには危険かもしれない』
「もういいですよ、マリー様」
周りには気づかれないように彼女の耳元で告げるとマリーは息を吐いてナリスの手を握る力を緩めました。
初めての体験で怖かったのかマリーはアンナに抱き付き泣き出してしまいます。
「大丈夫です。少し休めば落ち着きますのでデオドール殿下、マリー様をお願い出来ますか?」
そう言いながら泣いているマリーに癒しを流し込みます。
冷静なアンナの言葉に安堵した空気が流れ込みます。
「ああ、心得た」
デオドールはアンナから泣いているマリーを受け取り抱き上げたまま控えの間へと消えて行きました。
皇妃の部屋に残ったのはアンナとバージル、そして皇帝サミュエルと寝台の上のナリス。
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自身も魔力が流され体力を消耗しているにも関わらず幼い聖女を心配するナリス。
「陛下、ナリス様を横にして差し上げて下さませ」
「ああ、分かった」
アンナは横になったナリスに癒し魔法で少し眠らせ、自分も失礼しますと応接セットの長椅子に座り込みました。
「大丈夫かいアンナ」
心配したバージルがアンナの横に腰かけ彼女の背中を摩る。
「ありがとう、わたしは大丈夫よバージル・・・陛下よろしいでしょか」
アンナに呼ばれ正面の椅子に腰を降ろした座ったサミュエルは
「今、ジュリアンナ妃はナリスを魔法で眠らせたのか?」
「はい、状態を拝見するためにナリス様の中にマリー様と一緒に魔力を流し込みましたのでかなり疲労されてると思いそうさせて頂きました」
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「はい、ナリス様の中には魔女の魔法薬と魔術師が掛けた幾つもの魔術が混在している状態です」
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「サミュエル陛下・・・」
「マリー様はまだ身体がお小さい故、ナリス様の中の魔術に当てられあのような状態になりましたが、横になって休めばすぐに回復されますので」
「良かった。それでナリスの方は・・・」
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「少々お待ちください」
と制し、
「私とバージル様は小さな聖女様よりも強い魔力を持っています。ナリス様に掛けられている術の説明などは私より殿下の方が詳しいので、私がナリス様から感じ取った魔術をバージル様と共有し陛下にご説明したいと思いますが宜しいでしょうか?」
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バージルの言葉に彼は頷き
「あぁ、お二人のことは内密にさせて頂く事を誓う」
アンナも頷き「では」とバージルの両手を握りナリスの情報と共に魔力をバージルに流し込む。
バージルの体温が上昇し薄っすらと額に汗が滲むのを見てサミュエルは心配そうに見ています。
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