10 / 51
1章【我が家に天使がやって来た】
※添い寝
しおりを挟む
※本日2話目の更新です。
____________________________________
今日もヴィヴィは楽しそうにドリーと庭師のデオに教わりながら花壇の手入れを
している。
先日誕生日を迎え9歳となったばかりだ。
いつもは父と共に行動する母が何か付け公爵邸来ては暫く留まりヴィヴィの教育に励んでいる。
そんな母の存在はやはり有り難い。
窮屈な礼儀作法も嫌がらず失敗しても泣いたりいじけたりしないで(たまにべそをかく事はあるが)母の教えを受ける姿は、何とも健気で直ぐにでも抱き締めてしまいたくなる。
もちろんヴィヴィも俺にべったりで離れない。休みの時はいつも膝の上にいるので俺もこの時ばかりと手やら顔中にキスをして抱き締めスキンシップを取っているのだ。
そんな訳で俺の庇護欲はまた暴走しその度に母上から扇の洗礼を受ける事になった。
彼女からすれば優しい兄なんだろうとは思いながらヴィヴィが勉強に励んでいる間に身体が鈍らないよう鍛練も怠らない。
ヴィヴィが成人した時俺は30。
だらしない男になっていたくはないからな。
◇◇◇
ある時深夜に夢を見たのかヴィヴィが泣きながら俺の部屋へやって来た。
ヴィヴィの部屋は元々夫婦用に設けられた部屋なので俺の部屋とは室内の扉で繋がっておりこの扉に鍵は付いていない。
めそめそと泣きながら俺のベッドにもぐりこんで来て「お家が燃える夢を見たの」と胸に縋って来る。きっと父らに助け出された時の夢を見たのだろう。
俺は宥めながらヴィヴィを寝かしつけ眠ったら彼女の部屋に運ぶつもりでいたのに。
あろうことかそのままベッドで寝落ちしてしまった。
朝ヴィヴィを起こしに来たドリーが部屋にいないと大騒ぎになり、もしやと俺の部屋を覗きに来た母が俺の腕のなかで安心したように寝ているヴィヴィの姿を見て笑い出し、見なかった事にするようにと使用人たちに告げたらしい。
次の休みの夜もヴィヴィは俺と寝ると言い流石にどうかと母に尋ねれば『婚約者なんだから構わないわよ。自分の息子が9歳の少女に欲情するとは思っていませんからね。ヴィヴィちゃんが安心して眠れるなら良いんじゃないの』と簡単に言ってのけた。
そんな訳で休みの度に彼女はお気に入りのウサギのぬいぐるみと枕を抱えて俺の部屋来るようになった。今俺の腕の中で天使がぬいぐるみを抱えたまま規則正しい寝息を立てて眠っている。
何か夢を見ているのか時折すんすんと鼻を鳴らし俺の胸にぐりぐりと頭を擦りつけたりと忙しい。
そんなヴィヴィの様子を見ながら片手で本を持ち読書するのも習慣になりつつある。
「うーん」暫く経って天使が寝返りを打ち背中向けた。
いつも思うがこの小さな背中のどこかに羽根を収納しているのではないか……と。
このタイミングで俺も本を閉じ小さく指を鳴らし魔力で灯りを消す。
ふと天井を見ながら考える。
この添い寝はいつまで続くんだろうか。
さすがに月のものが来たらまずいよな。ん?月のものって何歳位でくるんだ?銀色の髪を指で梳き乍ら9年後のヴィヴィを思い浮かべる。
きっと誰が見ても絶賛するくらい美しい娘になるだろうと思う。
成人を迎え、その時もし加護が一つ消え婚約の解消となったら俺はこの天使を手放すことが出来るのだろうか。現状維持ならそのまま婚姻を結ぶことになる。ヴィヴィにも拒否権はない。
万が一加護が1つになっても俺から離れられなくなるいくらい愛情を注いで行けばいい。
いつの間のか俺の中では9歳の少女を嫁認定していたのであった。
背中向けた天使の銀色の髪に口づけ俺も眠りについた。
★ヴィヴィの成人まであと8年と11カ月★
____________________________________
今日もヴィヴィは楽しそうにドリーと庭師のデオに教わりながら花壇の手入れを
している。
先日誕生日を迎え9歳となったばかりだ。
いつもは父と共に行動する母が何か付け公爵邸来ては暫く留まりヴィヴィの教育に励んでいる。
そんな母の存在はやはり有り難い。
窮屈な礼儀作法も嫌がらず失敗しても泣いたりいじけたりしないで(たまにべそをかく事はあるが)母の教えを受ける姿は、何とも健気で直ぐにでも抱き締めてしまいたくなる。
もちろんヴィヴィも俺にべったりで離れない。休みの時はいつも膝の上にいるので俺もこの時ばかりと手やら顔中にキスをして抱き締めスキンシップを取っているのだ。
そんな訳で俺の庇護欲はまた暴走しその度に母上から扇の洗礼を受ける事になった。
彼女からすれば優しい兄なんだろうとは思いながらヴィヴィが勉強に励んでいる間に身体が鈍らないよう鍛練も怠らない。
ヴィヴィが成人した時俺は30。
だらしない男になっていたくはないからな。
◇◇◇
ある時深夜に夢を見たのかヴィヴィが泣きながら俺の部屋へやって来た。
ヴィヴィの部屋は元々夫婦用に設けられた部屋なので俺の部屋とは室内の扉で繋がっておりこの扉に鍵は付いていない。
めそめそと泣きながら俺のベッドにもぐりこんで来て「お家が燃える夢を見たの」と胸に縋って来る。きっと父らに助け出された時の夢を見たのだろう。
俺は宥めながらヴィヴィを寝かしつけ眠ったら彼女の部屋に運ぶつもりでいたのに。
あろうことかそのままベッドで寝落ちしてしまった。
朝ヴィヴィを起こしに来たドリーが部屋にいないと大騒ぎになり、もしやと俺の部屋を覗きに来た母が俺の腕のなかで安心したように寝ているヴィヴィの姿を見て笑い出し、見なかった事にするようにと使用人たちに告げたらしい。
次の休みの夜もヴィヴィは俺と寝ると言い流石にどうかと母に尋ねれば『婚約者なんだから構わないわよ。自分の息子が9歳の少女に欲情するとは思っていませんからね。ヴィヴィちゃんが安心して眠れるなら良いんじゃないの』と簡単に言ってのけた。
そんな訳で休みの度に彼女はお気に入りのウサギのぬいぐるみと枕を抱えて俺の部屋来るようになった。今俺の腕の中で天使がぬいぐるみを抱えたまま規則正しい寝息を立てて眠っている。
何か夢を見ているのか時折すんすんと鼻を鳴らし俺の胸にぐりぐりと頭を擦りつけたりと忙しい。
そんなヴィヴィの様子を見ながら片手で本を持ち読書するのも習慣になりつつある。
「うーん」暫く経って天使が寝返りを打ち背中向けた。
いつも思うがこの小さな背中のどこかに羽根を収納しているのではないか……と。
このタイミングで俺も本を閉じ小さく指を鳴らし魔力で灯りを消す。
ふと天井を見ながら考える。
この添い寝はいつまで続くんだろうか。
さすがに月のものが来たらまずいよな。ん?月のものって何歳位でくるんだ?銀色の髪を指で梳き乍ら9年後のヴィヴィを思い浮かべる。
きっと誰が見ても絶賛するくらい美しい娘になるだろうと思う。
成人を迎え、その時もし加護が一つ消え婚約の解消となったら俺はこの天使を手放すことが出来るのだろうか。現状維持ならそのまま婚姻を結ぶことになる。ヴィヴィにも拒否権はない。
万が一加護が1つになっても俺から離れられなくなるいくらい愛情を注いで行けばいい。
いつの間のか俺の中では9歳の少女を嫁認定していたのであった。
背中向けた天使の銀色の髪に口づけ俺も眠りについた。
★ヴィヴィの成人まであと8年と11カ月★
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
465
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる