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第七章・壮行試合 ― 女帝と“最後の男”
忍び寄る影
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直美の帝プロ出場が決まり、女子部の勢いは止まるところを知らなくなる。
練習場も毎日、熱気を帯びていた。
沙也加の指導のもとで、直美、Satomi、環、志桜里らが基礎トレーニングに集中している。
もちろん修平も、直美との壮行試合に向け、調子を上げている。
最近では、志桜里の同期・瑠璃の成長の目覚ましさも、明るい材料となっている。
女子部はもはや、ブレバリーズを背負う立場として、激しく厳しく明るく練習に取り組んでいた。
***
翌日。
満員の観客の前で、沙也加と直美がリング上に立っていた。
沙也加がマイクを握り、直美の帝プロ参戦を発表。
既に報道で知っていたファンからは、期待に満ちた大きな拍手が送られた。
そして――
「発表します。
直美の帝プロ挑戦前、壮行試合を行います!」
会場がざわめく。
「対戦相手は――」
沙也加がリングサイドを見つめた。
「山崎修平!」
修平が胸を張って歩み出る。
観客は驚き、同時に拍手が起こった。
直美はリング中央で修平を待つ。
修平は深く礼をした。
「直美さん……今日までありがとうございました。
俺、全力で行きます!」
直美は笑った。
「来いよ、修平。
あたしの帝プロ行きを、胸張って見送らせてよ」
女子選手たちは涙を流しながら声援した。
「がんばれ修平!」
「直美も負けんな!」
「やっちまえー!!」
誰も知らなかった。
この“明るい場面”が――
ブレバリーズが笑っていられる最後の時間だということを。
沙也加だけは、胸の奥に不安を抱えていた。
(直美を送り出すこの瞬間……
同時に、団体に“悪夢の幕が上がる”のも近い……)
だが、それでも。
沙也加はリング中央の二人を見て、静かに微笑んだ。
「――さあ、行きましょう。
ブレバリーズの、新しい歴史へ」
***
夜。ブレバリーズの駐車場。
バイクの排気音が一瞬だけ響いたあと、静寂が落ちた。
その暗闇に、数人の影が潜んでいた。
「……直美、帝プロ行き? 調子乗ってんじゃねぇよ」
「ブレバリーズのやつら、全員まとめて潰してやるぜ」
黒いパーカーの男が、地面に唾を吐いた。
拳激の残党――
桐生剛士。
新堂翔。
そして、見知らぬ長身の男。
三人は、灯りを消したままブレバリーズの建物を見つめていた。
「やるなら……直美がいなくなった“後”だ。
一番脆いタイミングを狙う」
桐生剛士がニヤリと笑う。
「そのためにも……準備しとけよ。あいつらの“弱点”をな」
“弱点”――
男たちは音もなくバイクにまたがり、
闇に消えていった。
誰も、この夜の侵入を気づかなかった。
練習場も毎日、熱気を帯びていた。
沙也加の指導のもとで、直美、Satomi、環、志桜里らが基礎トレーニングに集中している。
もちろん修平も、直美との壮行試合に向け、調子を上げている。
最近では、志桜里の同期・瑠璃の成長の目覚ましさも、明るい材料となっている。
女子部はもはや、ブレバリーズを背負う立場として、激しく厳しく明るく練習に取り組んでいた。
***
翌日。
満員の観客の前で、沙也加と直美がリング上に立っていた。
沙也加がマイクを握り、直美の帝プロ参戦を発表。
既に報道で知っていたファンからは、期待に満ちた大きな拍手が送られた。
そして――
「発表します。
直美の帝プロ挑戦前、壮行試合を行います!」
会場がざわめく。
「対戦相手は――」
沙也加がリングサイドを見つめた。
「山崎修平!」
修平が胸を張って歩み出る。
観客は驚き、同時に拍手が起こった。
直美はリング中央で修平を待つ。
修平は深く礼をした。
「直美さん……今日までありがとうございました。
俺、全力で行きます!」
直美は笑った。
「来いよ、修平。
あたしの帝プロ行きを、胸張って見送らせてよ」
女子選手たちは涙を流しながら声援した。
「がんばれ修平!」
「直美も負けんな!」
「やっちまえー!!」
誰も知らなかった。
この“明るい場面”が――
ブレバリーズが笑っていられる最後の時間だということを。
沙也加だけは、胸の奥に不安を抱えていた。
(直美を送り出すこの瞬間……
同時に、団体に“悪夢の幕が上がる”のも近い……)
だが、それでも。
沙也加はリング中央の二人を見て、静かに微笑んだ。
「――さあ、行きましょう。
ブレバリーズの、新しい歴史へ」
***
夜。ブレバリーズの駐車場。
バイクの排気音が一瞬だけ響いたあと、静寂が落ちた。
その暗闇に、数人の影が潜んでいた。
「……直美、帝プロ行き? 調子乗ってんじゃねぇよ」
「ブレバリーズのやつら、全員まとめて潰してやるぜ」
黒いパーカーの男が、地面に唾を吐いた。
拳激の残党――
桐生剛士。
新堂翔。
そして、見知らぬ長身の男。
三人は、灯りを消したままブレバリーズの建物を見つめていた。
「やるなら……直美がいなくなった“後”だ。
一番脆いタイミングを狙う」
桐生剛士がニヤリと笑う。
「そのためにも……準備しとけよ。あいつらの“弱点”をな」
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男たちは音もなくバイクにまたがり、
闇に消えていった。
誰も、この夜の侵入を気づかなかった。
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