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第4章:帝国編
第87話 救出作戦
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帝国に到着した三人は先行していたアーヴィンと本城に合流した。
一番の問題は最下層にあったダンジョンだったのだが、それよりも緊急性があるであろう案件が持ち上がった。
アーヴィンが城で見つけたもの。この城には隠し部屋があるようで、そこを調べてみた所、どうもそこは牢屋になっているようだ。そこに、どういった者が囚われているのかが解らなかったので、一応盗聴器を置いて帰ってきたわけだ。
だが後に、そこで行われていた事を知る事となる。それは聞くに堪えないものだったのだ。
「地獄だな。かなりの非人道的な事が行われているようだ」
「ひでー事やりやがる。許せんな!」
アランの言葉を受けて、なるべく早くに救出した方が良さそうだと思うアーヴィン。だが、救出後の行動をどうするかの計画をキチンと立てて置かないといけない。
ここは異世界。この世界の事をよくは知らない。それが問題だった。
「だったら公爵に連絡しておくか。ご隠居にも相談した方がいいかもな」
というモーリッツの提案にフランソワも同意した。
「そうですわね。それにしても酷い事を。信じられません。聖職者までが関わってるとは世も末ですわ」
信心深いフランソワは厳しい顔をしている。彼女の盛大な嘆きを聞きつつ、不信心の本城は訳知り顔で答える。
「まぁ、どこにでも、宗教と暴力は紙一重のような悲しい事件は起こってるからな」
「もう、ジョー。あなた冷徹人間なの。まさか心ないサイボーグじゃないわよね」
と、あの状況を聞いて冷静でいられるなんて信じられないとプンプンしている。
その隠し部屋で行われていた事、それは……。
そこに囚われている者はエルフだった。そして、そのエルフは聖女のタマゴだと言うのだ。そこで彼女は聖女になるため、教会にて長い厳しい修行を課され続けた。
だが、何をしても何年経っても覚醒には至らなかったらしい。そこで、強硬手段が取られたのだ。それは……、
激しく痛め付ける事で、死にたくない一心での覚醒を促すと言うものだ。そんな、理不尽な蛮行が、その隠された牢獄で為されていた。
そして、なんと、それを指示しているのが、司教と呼ばれている者だったのだ。その状況をリアルに聴いてしまった五人は、居たたまれなくなっていた。
「なんて惨い!」
◇◇◇
「よし、つながったぞ」
モーリッツが公爵との連絡をつなげてくれたようだ。公爵やご隠居と話し、とりあえずダンジョンの事は今はおいて置く事にし、囚われている女性を先に助けようと言う事になった。
まずは救出が優先だ。そこで綿密な計画が立てられる事となった。
アーヴィンは司教に化ける事にした。そこで、しばらく盗聴する事で司教の声色を完璧にマスターした。100の顔を持つ優秀なエージェントだった彼にとって、そんな事は朝飯前だ。
そして彼らの行動を予定を調べていると、明日彼女をダンジョンへ連れて行くと言う事を知った。これはチャンスだ。
そこで、まず兵士とメイドの服を調達して、本城とアーヴィンが兵士にフランソワがメイドに扮し司教の部屋へと賄いとして入る事にしたのだ。ワゴンを押したフランソワが司教の元に寄る。本城とアーヴィンは直立不動でドアの前で警備兵然として立っている。
フランソワは胸元をはだけさせた挑発的な衣装で司教の前でお辞儀をすると、案の定、その司教はフランソワの胸に釘付けになっているようだ。
「サンチェスコ司教様、お茶をお持ちいたしました」
「おお、そんな時間か。こちらに来て注いでくれるかな。警備兵は外で待ってろ」
サンチェスコ司教は聖職者とは思えないほどニヤニヤとした顔になり、フランソワが近づいていくと、彼女の腕をとり自分の膝に座らせようとする。
「サンチェスコ司教様、もうオイタが過ぎましてよ」
フランソワは膝の上に座りサンチェスコ司教に抱き着き耳元で囁きながら、彼の首筋に即効性の麻酔を打った。倒れた司教を寝かせると、外にいる本城とアーヴィンを招きいれる。
「ほんと、聖職者でありながら、情けない。ああ嫌だ嫌だ。消毒しとかないと」
と、汚らわしい者を見る様な目で床に転がった男を見るフランソワ。本当に嫌そうにしている。
「よし、早速準備に架かるぞ。本城、こいつの記憶を消しといてくれよ」
そう言いながら、アーヴィンはサンチェスコ司教になり替わる。そして、エルフ救出作戦は開始されたのだった。
◇◇◇
オルロープ邸で養生していたラティア辺境伯も落ち着いたようで、ひと段落と言った所だった。公爵とご隠居はラティア辺境伯夫妻と今後の事を相談していた所に、遥か遠方に真っすぐ上空へと上る光の柱を見る事となった。
彼らはそれが精霊樹の復活である事をすぐに理解したのだ。館中が歓喜に包まれたのもつかの間、そこに勇者からの連絡が入る事となる。
彼らの話から帝国の城にエルフが囚われていると言う、なんとそれには教会も関わっているかもしれない事を聞く事となる。
「勇者様、早急に救出をお願いできませんでしょうか。あとの事はこちらで手配いたしますので、どうかよろしくお願いします」
ご隠居は勇者たちに救出をお願いした後、その事を各所に連絡を入れる事とした。
「なんて事だ!精霊樹の復活と言うおめでたい出来事があったと言うのにだ。この件は至急対処しなければ……」
一番の問題は最下層にあったダンジョンだったのだが、それよりも緊急性があるであろう案件が持ち上がった。
アーヴィンが城で見つけたもの。この城には隠し部屋があるようで、そこを調べてみた所、どうもそこは牢屋になっているようだ。そこに、どういった者が囚われているのかが解らなかったので、一応盗聴器を置いて帰ってきたわけだ。
だが後に、そこで行われていた事を知る事となる。それは聞くに堪えないものだったのだ。
「地獄だな。かなりの非人道的な事が行われているようだ」
「ひでー事やりやがる。許せんな!」
アランの言葉を受けて、なるべく早くに救出した方が良さそうだと思うアーヴィン。だが、救出後の行動をどうするかの計画をキチンと立てて置かないといけない。
ここは異世界。この世界の事をよくは知らない。それが問題だった。
「だったら公爵に連絡しておくか。ご隠居にも相談した方がいいかもな」
というモーリッツの提案にフランソワも同意した。
「そうですわね。それにしても酷い事を。信じられません。聖職者までが関わってるとは世も末ですわ」
信心深いフランソワは厳しい顔をしている。彼女の盛大な嘆きを聞きつつ、不信心の本城は訳知り顔で答える。
「まぁ、どこにでも、宗教と暴力は紙一重のような悲しい事件は起こってるからな」
「もう、ジョー。あなた冷徹人間なの。まさか心ないサイボーグじゃないわよね」
と、あの状況を聞いて冷静でいられるなんて信じられないとプンプンしている。
その隠し部屋で行われていた事、それは……。
そこに囚われている者はエルフだった。そして、そのエルフは聖女のタマゴだと言うのだ。そこで彼女は聖女になるため、教会にて長い厳しい修行を課され続けた。
だが、何をしても何年経っても覚醒には至らなかったらしい。そこで、強硬手段が取られたのだ。それは……、
激しく痛め付ける事で、死にたくない一心での覚醒を促すと言うものだ。そんな、理不尽な蛮行が、その隠された牢獄で為されていた。
そして、なんと、それを指示しているのが、司教と呼ばれている者だったのだ。その状況をリアルに聴いてしまった五人は、居たたまれなくなっていた。
「なんて惨い!」
◇◇◇
「よし、つながったぞ」
モーリッツが公爵との連絡をつなげてくれたようだ。公爵やご隠居と話し、とりあえずダンジョンの事は今はおいて置く事にし、囚われている女性を先に助けようと言う事になった。
まずは救出が優先だ。そこで綿密な計画が立てられる事となった。
アーヴィンは司教に化ける事にした。そこで、しばらく盗聴する事で司教の声色を完璧にマスターした。100の顔を持つ優秀なエージェントだった彼にとって、そんな事は朝飯前だ。
そして彼らの行動を予定を調べていると、明日彼女をダンジョンへ連れて行くと言う事を知った。これはチャンスだ。
そこで、まず兵士とメイドの服を調達して、本城とアーヴィンが兵士にフランソワがメイドに扮し司教の部屋へと賄いとして入る事にしたのだ。ワゴンを押したフランソワが司教の元に寄る。本城とアーヴィンは直立不動でドアの前で警備兵然として立っている。
フランソワは胸元をはだけさせた挑発的な衣装で司教の前でお辞儀をすると、案の定、その司教はフランソワの胸に釘付けになっているようだ。
「サンチェスコ司教様、お茶をお持ちいたしました」
「おお、そんな時間か。こちらに来て注いでくれるかな。警備兵は外で待ってろ」
サンチェスコ司教は聖職者とは思えないほどニヤニヤとした顔になり、フランソワが近づいていくと、彼女の腕をとり自分の膝に座らせようとする。
「サンチェスコ司教様、もうオイタが過ぎましてよ」
フランソワは膝の上に座りサンチェスコ司教に抱き着き耳元で囁きながら、彼の首筋に即効性の麻酔を打った。倒れた司教を寝かせると、外にいる本城とアーヴィンを招きいれる。
「ほんと、聖職者でありながら、情けない。ああ嫌だ嫌だ。消毒しとかないと」
と、汚らわしい者を見る様な目で床に転がった男を見るフランソワ。本当に嫌そうにしている。
「よし、早速準備に架かるぞ。本城、こいつの記憶を消しといてくれよ」
そう言いながら、アーヴィンはサンチェスコ司教になり替わる。そして、エルフ救出作戦は開始されたのだった。
◇◇◇
オルロープ邸で養生していたラティア辺境伯も落ち着いたようで、ひと段落と言った所だった。公爵とご隠居はラティア辺境伯夫妻と今後の事を相談していた所に、遥か遠方に真っすぐ上空へと上る光の柱を見る事となった。
彼らはそれが精霊樹の復活である事をすぐに理解したのだ。館中が歓喜に包まれたのもつかの間、そこに勇者からの連絡が入る事となる。
彼らの話から帝国の城にエルフが囚われていると言う、なんとそれには教会も関わっているかもしれない事を聞く事となる。
「勇者様、早急に救出をお願いできませんでしょうか。あとの事はこちらで手配いたしますので、どうかよろしくお願いします」
ご隠居は勇者たちに救出をお願いした後、その事を各所に連絡を入れる事とした。
「なんて事だ!精霊樹の復活と言うおめでたい出来事があったと言うのにだ。この件は至急対処しなければ……」
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