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6話 気づいた気持ち
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「おはよう、ティーナ。」
「…おはようございます。ファミール」
まだ静かで寒い朝、優しいキスでファミールに起こされた。
しかし、起き上がろうとしても動けなかった…ラザニエルに腰をがっしりと掴まえられていたからだ。
「…もぅ!ラル、起きて下さい。うごけま…!!」
「おはよ、ティーナ」
「んふっ!んんん~!!!」
頭を抱えられ息が出来ない程の口づけをされた。
フィオレンティーナは、ラザニエルの胸元を強く押したが鍛え抜かれた肉体はびくともしなかった。
「…ぷはぁ!!はぁ~はぁ~はぁ~……もぅ!毎朝、いい加減にして下さい!!大体ですね!!」
叫びながら枕を叩いてお説教モードに入っているフィオレンティーナを見て、二人は笑いながら服の乱れを直していた。
「おっ!外、見てみろ」
「…何ですか?まだ、終わってません……うわぁ~雪だぁ!!」
「いつもより寒いと思ったら、降ってたんだね」
この国は、雪が降ると一気に積もるので、学園はお休みになる。
丁度、明後日のファミール様の誕生日から長い休みに入る筈だったのが、雪のお陰で二日早い休みになった。
「休みになったね。課題は、明日以降に届くと思うし、今日は簡単な公務だけだから早く帰ってこれると思うよ」
「じゃあ~早めに終わらせるか!ティーナ、やりたい事、考えておけよ?」
「あっ…はいっ!考えてみます」
フィオレンティーナは、少し怖い笑みを浮かべた二人に気づかず、ワクワクしていた。
朝食と身支度を済ませ、二人は公務に向かった。
フィオレンティーナは、いそいそと二人に贈る、膝掛けを編んでいた。
二人は公務中、ずっと座っているせいで、足元が寒いと言っていたので内緒で編んでいる。
しかし、そのお陰で中々進まなかったが、やっと出来上がった。
一息つき、自身で入れた紅茶を飲んでいると、門番から来客を通して良いかの電話が鳴った。
聞いた事のある名前だったので、通してもらった。
玄関に向かいドアを開けると、そこには、学園でも見かけた事もある、可愛いと有名な栗色の巻き髪で大きい瞳の美少女が立っていた。
「…私、同じ学園に通っています。貿易長を務めています、〈ガンゼル・オズワイド〉の長女の〈エリーゼ・オズワイド〉です。少し、お話をしたいのですけど…よろしいでしょうか?」
「はい…どうぞ。お入りになって下さい」
「失礼致しますわ」
中に案内し、椅子に掛けるように勧めたが黙って立っていた。
「…あの…エリーゼ様?」
「……ください…」
「えっ?ごめんなさい…聞き取れませんでした。もう一度お願いします」
「ファミール様とラザニエル様と別れて下さい!!」
えっ?いやいや、付き合ってませんし!それは…行為の事は、何とも言えませんけど…でも、誰も知らない筈ですし…
「ファミール様とラザニエル様は、私の事が好きだと結婚したいとおっしゃっています」
「え……」
「ファミール様は、早く終わらないかなと溜息を溢して苦しそうな顔をなさいますし、ラザニエル様も私と居ると安らげるとおっしゃって下さいました。急で勝手かも知れませんが、私もお二人を愛しています。国の為と一時は諦めましたが、やはり私も諦めきれません。私達は愛し合っていたのですもの。」
え…二人?…私は…邪魔?
「私は、お二人なくしては生きて行けません。どうか、私にお返し下さいませ」
…本当は、三人が愛し合っていて昔の約束で別れさせ苦しんで縛りつけたのかしら…?私と結婚するからエリーゼ様を諦め苦しんでるの…?エリーゼ様に触れられないからエリーゼ様の身代わりで私に、あんな行為を…?
「…どうか、お願い致します。フィオレンティーナ様」
途中から耳に話が入ってこなくなった。
この時、初めて二人の事を好きだと、愛していると気付いた。だから、こんなに潰されるかのような沈んだ気持ちになり、凄く心が痛く、この場から逃げ出し泣き叫びたい気持ちになったんだと思った。
「……エリーゼ様。本当にお二人を愛してらっしゃいますの?」
「はいっ!勿論ですわ」
涙を浮かべて即答するエリーゼ様は、とても輝いていた。それならば…私は…
「…わかりました。まだ正式な婚約者でもありませんし………貴女に…エリーゼ様に…私は…国に…帰ります。」
そう言ったフィオレンティーナの手を握り笑顔で涙を溢しながら『ありがとうございます!ありがとうございます!』と何度もお礼を言われた。
最後に、綺麗にお別れする時間と準備する時間が欲しいと言った。エリーゼは最後ならばと、了承してくれた。
門番に電話をして、ゲートを開けてもらい精一杯の笑顔でエリーゼを見送った。
エリーゼが見えなくなって扉がしまると足早に部屋へと入った。
…涙が一粒、また一粒と流れ落ちた。
「あれ?…嫌だ…私、泣いてるの?…駄目よ…二人が帰ってきたら、また、迷惑かけちゃ………う……うっうっ………」
次から次へと止めどなく流れ落ちて、立っている事も出来ず座り込んでしまった。
…必死に涙を止めようとした。
泣いてる場合じゃないわ…やる事が沢山ある…そう、自身に言い聞かせ部屋にある荷物を詰め始めたが涙は止まってくれなかった。
どの位泣いていたのか、分からない……ただ、外の雪は強さを増して降り続いて、だいぶ積もっていた。
ーーーーーnextーーーーー
「…おはようございます。ファミール」
まだ静かで寒い朝、優しいキスでファミールに起こされた。
しかし、起き上がろうとしても動けなかった…ラザニエルに腰をがっしりと掴まえられていたからだ。
「…もぅ!ラル、起きて下さい。うごけま…!!」
「おはよ、ティーナ」
「んふっ!んんん~!!!」
頭を抱えられ息が出来ない程の口づけをされた。
フィオレンティーナは、ラザニエルの胸元を強く押したが鍛え抜かれた肉体はびくともしなかった。
「…ぷはぁ!!はぁ~はぁ~はぁ~……もぅ!毎朝、いい加減にして下さい!!大体ですね!!」
叫びながら枕を叩いてお説教モードに入っているフィオレンティーナを見て、二人は笑いながら服の乱れを直していた。
「おっ!外、見てみろ」
「…何ですか?まだ、終わってません……うわぁ~雪だぁ!!」
「いつもより寒いと思ったら、降ってたんだね」
この国は、雪が降ると一気に積もるので、学園はお休みになる。
丁度、明後日のファミール様の誕生日から長い休みに入る筈だったのが、雪のお陰で二日早い休みになった。
「休みになったね。課題は、明日以降に届くと思うし、今日は簡単な公務だけだから早く帰ってこれると思うよ」
「じゃあ~早めに終わらせるか!ティーナ、やりたい事、考えておけよ?」
「あっ…はいっ!考えてみます」
フィオレンティーナは、少し怖い笑みを浮かべた二人に気づかず、ワクワクしていた。
朝食と身支度を済ませ、二人は公務に向かった。
フィオレンティーナは、いそいそと二人に贈る、膝掛けを編んでいた。
二人は公務中、ずっと座っているせいで、足元が寒いと言っていたので内緒で編んでいる。
しかし、そのお陰で中々進まなかったが、やっと出来上がった。
一息つき、自身で入れた紅茶を飲んでいると、門番から来客を通して良いかの電話が鳴った。
聞いた事のある名前だったので、通してもらった。
玄関に向かいドアを開けると、そこには、学園でも見かけた事もある、可愛いと有名な栗色の巻き髪で大きい瞳の美少女が立っていた。
「…私、同じ学園に通っています。貿易長を務めています、〈ガンゼル・オズワイド〉の長女の〈エリーゼ・オズワイド〉です。少し、お話をしたいのですけど…よろしいでしょうか?」
「はい…どうぞ。お入りになって下さい」
「失礼致しますわ」
中に案内し、椅子に掛けるように勧めたが黙って立っていた。
「…あの…エリーゼ様?」
「……ください…」
「えっ?ごめんなさい…聞き取れませんでした。もう一度お願いします」
「ファミール様とラザニエル様と別れて下さい!!」
えっ?いやいや、付き合ってませんし!それは…行為の事は、何とも言えませんけど…でも、誰も知らない筈ですし…
「ファミール様とラザニエル様は、私の事が好きだと結婚したいとおっしゃっています」
「え……」
「ファミール様は、早く終わらないかなと溜息を溢して苦しそうな顔をなさいますし、ラザニエル様も私と居ると安らげるとおっしゃって下さいました。急で勝手かも知れませんが、私もお二人を愛しています。国の為と一時は諦めましたが、やはり私も諦めきれません。私達は愛し合っていたのですもの。」
え…二人?…私は…邪魔?
「私は、お二人なくしては生きて行けません。どうか、私にお返し下さいませ」
…本当は、三人が愛し合っていて昔の約束で別れさせ苦しんで縛りつけたのかしら…?私と結婚するからエリーゼ様を諦め苦しんでるの…?エリーゼ様に触れられないからエリーゼ様の身代わりで私に、あんな行為を…?
「…どうか、お願い致します。フィオレンティーナ様」
途中から耳に話が入ってこなくなった。
この時、初めて二人の事を好きだと、愛していると気付いた。だから、こんなに潰されるかのような沈んだ気持ちになり、凄く心が痛く、この場から逃げ出し泣き叫びたい気持ちになったんだと思った。
「……エリーゼ様。本当にお二人を愛してらっしゃいますの?」
「はいっ!勿論ですわ」
涙を浮かべて即答するエリーゼ様は、とても輝いていた。それならば…私は…
「…わかりました。まだ正式な婚約者でもありませんし………貴女に…エリーゼ様に…私は…国に…帰ります。」
そう言ったフィオレンティーナの手を握り笑顔で涙を溢しながら『ありがとうございます!ありがとうございます!』と何度もお礼を言われた。
最後に、綺麗にお別れする時間と準備する時間が欲しいと言った。エリーゼは最後ならばと、了承してくれた。
門番に電話をして、ゲートを開けてもらい精一杯の笑顔でエリーゼを見送った。
エリーゼが見えなくなって扉がしまると足早に部屋へと入った。
…涙が一粒、また一粒と流れ落ちた。
「あれ?…嫌だ…私、泣いてるの?…駄目よ…二人が帰ってきたら、また、迷惑かけちゃ………う……うっうっ………」
次から次へと止めどなく流れ落ちて、立っている事も出来ず座り込んでしまった。
…必死に涙を止めようとした。
泣いてる場合じゃないわ…やる事が沢山ある…そう、自身に言い聞かせ部屋にある荷物を詰め始めたが涙は止まってくれなかった。
どの位泣いていたのか、分からない……ただ、外の雪は強さを増して降り続いて、だいぶ積もっていた。
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