君がすべてを教えてくれた。

美桜

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春 ー出会いー

憂鬱に思わない、けど......

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その日の放課後、部活がなかった瑠奈と亜美は、導かれるように補講授業が開かれる教室に向かった。教室には真面目な生徒がほとんどで、皆部活があったり、そんなの受けないよ、という生徒がいたり、その中でも二人は自分のためにここに来ることを決めた。


瑠奈:これでテスト悪かったら先生たちになんて思われるだろうねー

亜美:もう塾に通わないとダメってことだよー!(笑)

瑠奈:そんなの親が許さないって......

亜美:だよねーー。てか、今日はなんの教科なんだろ。一日ごとに違う感じなのかな?

瑠奈:それだと苦手な教科の受けたくても部活があるから受けれない人が不公平じゃん。ま、私は全教科教えてもらう必要があるんだけどさ.........

亜美:瑠奈には得意科目があるじゃん!現代文!

瑠奈:それ去年の模試のこと言ってるでしょ。あれはたまたま当たってただけだよ

亜美:点数取れればいいんだよ!今年も模試も頑張ろー!

新藤:その意気で今度のテストも頑張れよ(笑)


新藤の突然の言葉に、もう二人は驚くことは無かった。いつも突如現れて、どこから会話を聞かれていたのか分からないと戸惑うのも、慣れたせいか思わなくなっていた。


瑠奈:今日は社会系ですか?

亜美:えーーー社会はさっき授業あったから飽きましたー!

新藤:飽きたってなんだよ(笑)この補講はそれぞれ分からないことがある生徒に教える場だから授業ではないよ

瑠奈:質問コーナー的な..........ですか?

新藤:まぁーそうだな。今は俺が来てるけど、後から他の教科の先生も来るから何でもいいんだよ。後はここにいる人たちで教えあったりしてもいいし、結構自由だろ?

亜美:へぇ、思ってたのと違うー!いいじゃん!これなら塾行かなくていいね!(笑)

瑠奈:頭いい人も結構居そうだし、ありだね

新藤:はい、早速質問ある人ー!


その掛け声に、二人はピクリとも動かず、新藤は戸惑いを覚えた。


新藤:え、ないの?

瑠奈:社会系って質問とかあんまないよね。テストも暗記次第だし

亜美:私数学がピンチなんですよー先生ごめんね?(笑)

新藤:数学かーー先生すぐ来るかなー(笑)
四宮はどれが分からないとかあるか?

瑠奈:うーーん.......私も数学がピンチで、あとは英語と化学とそれから........

新藤:全部じゃん!(笑)それなら待ってる間が勿体ないから良ければ俺から他の教科教えるよ

瑠奈:え、分かるんですか??

新藤:俺にだって苦手科目あるから全部は無理だけど、力になりたいからさ


この言葉に、瑠奈は新藤に対して、頼れる存在へと着々と変化しており少しだけ教えて貰えると言われながらも、ほとんどの教科の疑問点を解決してくれた。


新藤:四宮は授業聞いてないだけだろ(笑)理解力もあるし、一度解けたら間違いもなし、本気で勉強したら、こんなに苦労しなかっただろ

瑠奈:そんなことないですよ。まぁ、授業聞いてないのは何とも反論できませんけど.......

亜美:瑠奈はいっつもグラウンド見てて、たまに体育の授業受けてる人たちのアフレコとかして遊んでるんですよ(笑)

新藤:アフレコ?何やってんだよ(笑)あ、もしかして、好きな人が外にいるとかだろ!


そう言われて、瑠奈は何故か心が痛かった。いないと強く否定したいのに、否定すら諦めてしまうほど、強く心に刺さったものがあった。


亜美:瑠奈?.......え、新藤先生の言ってたこと当たってるの?!

瑠奈:いや..........違うけど......

新藤:........四宮?

瑠奈:すいません........ちょっと御手洗に


瑠奈はその場から逃げるように立ち去り、教えて貰っている時間が心地よく感じた分、あの言葉が痛いものへと変わっていた。
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