目立たず静かに大人しく?

ふゆの桜

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1年

精霊魔法2

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 その日の夜、僕は精霊と精霊魔法について話をした。

 精霊とは、僕自身も僕に教えてくれた大先輩も実は詳しくは知らないんだ。意思の疎通はできるけど、普通の生き物とは少し違うものなんだとか。
 精霊は自然と共にあり、自然より生み出され、そして自然を司る。大先輩に教えてもらったのはそんな言葉だ。だから精霊は、森や山といった場所に沢山存在してるんだよ。

「どんな種類がいるんだ?」
「んーと、光、水、土、火、緑、風、闇の七種類と、それらを統べる精霊長だね。ちなみに精霊長は全属性が使えるって話だよ」
「じゃあ普通の精霊は、種類毎に使える魔法が決まってるのか」
「そう言うこと」

 複数種類の精霊にお願いして混合魔法ってのも出来るけど、これをお願いしたら僕でも魔力不足でヘロヘロになるかも。だからこっちはマシューにも内緒だ。

「意思疎通が出来るってことは、精霊は頭が良いのか?」
「どうだろう? どちらかと言うと子供っぽいよ」
「ふぅん……。見た目は?」
「半透明の綿毛みたいなカンジ? それぞれ色が違ってて、光水土火緑風闇の精霊は、黄青茶赤緑白黒で識別できるよ。残念ながら精霊長は知らない」
「光は黄色なんだ。普通の光魔法は白ってことになってるけど」
「そうだね、ちょっと違ってるね。白は風精霊なんだ」

 普通の魔法と精霊魔法って違うものだからね、色も違ってる部分があると思うよ。と言うか、僕たちの魔法を色で分けるのは、実はほとんど意味が無いんだ。色は魔法の素質の種類を見極める為に便宜的に付けただけなんだよ。それ以上の意味は無し。

「……なあ、もしかしてセインって精霊が見えてる?」
「…………」
「沈黙は肯定と見なす……って、マジかよ!」
「アハハ。黙っててゴメンねぇ~」

 それから僕は、昔大先輩に言われたことを伝えたんだ。言いふらしちゃいけないって事とかだよ。その意見には僕も賛成だから、今後もマシュー以外に教えるつもりは無い。

「セインのことだから、見えるってことは使えるってことだよな?」
「否定はしない」
「知らなかった~。オレの前で一度も使ったことは無いよな?」
「そうだね。精霊はそっとしておくのが一番だって言われてるから、必要に迫られない限り僕からお願いすることは無いよ。前世ではマシューが死んだ後におしゃべりしたくらいかな」
「オレが死んだ後って……、何となくズルイって思う」
「ふふっ」

 ズルイって言われてもねぇ。
 僕は前世の人生の終盤に、精霊たちとよくおしゃべりしてたんだ。と言っても長時間話したりはしないよ。しゃべってもほんのちょっとだけ。精霊は好奇心旺盛なのか、おしゃべりすると沢山寄ってくるんだよ。でもあまり良いことでは無いと聞いてる。理由は知らないけどね。ただ分かったのは、定期的におしゃべりしてると、ちょこちょこイタズラされることが多くなるかな。僕はそうだった。

「イタズラって?」
「可愛いイタズラだよ。風で髪の毛をゆらしたり、頬を突っついたりとか」
「へぇ~。それくらいなら安心だな」
「うん。でももしかしたらそれ以上のイタズラが無いとは言えない」
「そっか」
「そう」

 積極的な意思疎通を勧めないってことは、きっとそれなりの理由があると思うんだ。詳しく知ろうとは思わないけど。

「なあ、セイン?」
「えー、ヤダ」
「まだ言ってないじゃん」
「言わなくても分かるよ。ヤダ」
「そんなこと言わずに、一回だけ見せてくれよ」
「えー」
「お願い!」

 興味があるのは分かる。でもなぁ……。

「イタズラ程度の軽いヤツで良い?」
「十分、十分!」

 軽いものなら対価も少ないだろうってことで、僕は今世では初めての精霊言語を使って精霊に話しかけてみた。

<<ねぇ、魔力をあげるから、お願いしても良い?>>
 -ゴハン?
 -ゴハン?
 -イイヨ
 -ボク、イラナイ
<<魔力あげるから、彼のほっぺたを軽く突いてくれるかな?>>
 -イイヨ、ツッツク

「うおっ! 何かがオレの頬に触ったぞ」
「これが精霊魔法。ちょっと待ってね」

<<ありがとう。魔力あげるね>>
 -ゴハン、ゴハン
 -モット、スル?
<<ううん、もうお終い。ありがとう>>
 ―ゴハン、アリガト
 -マタネ
 -マタネ

 僕は指先から魔力を出して、マシューの頬を突いてくれた光の精霊に対価として渡した。ゴハンって言ってるから食べるって表現で合ってると思うけど、口とかってあるのかなぁ?
 ちなみにお願いした光の精霊以外の精霊たちも、僕の指先に集まってるよ。ほんのちょっとずつ魔力をくすねてるんだ。イメージとしてはメインの精霊の食べこぼしを貰ってるってカンジかな。これが対価だってのが分かってるみたいで、無理矢理魔力を吸い上げていく子はいないんだよ。

「おまたせ。マシューには見えてないと思うけど、イタズラしてくれた子にお礼の魔力をあげてたんだ」
「イタズラってことは普通の精霊魔法と違うのか? 教室でアイツが言ってただろ、水の精霊魔法とか火の精霊魔法とかって」
「同じだよ。意思疎通が出来る言葉を使って、その精霊が出来ることをお願いするだけだもの。今は光の精霊にお願いしただけ。頬をつつくくらいなら、どの精霊でも出来るよ」
「へぇ~。じゃあ火の精霊魔法が使えたヤツは、それ以外も使えるってことか」
「そのハズなんだけどね。でもちょっと気になる」

 精霊が見えなくて声も聞こえないのに、いったいどうやって意思疎通をはかってるんだろうか? 一方的に命令してるだけなように聞こえたのは、僕の勘違いなのかな。

「あっ!」
「どうした?」
「精霊たちに魔力をあげる人認定されたみたい。いっぱい集まってきちゃったよ。嗚呼もう!」
「オレにはなぁ~んも見えないけど?」
「見えてたらすごいよ。うじゃうじゃいる」
「ハハハ、悪いな」

<<今日はおしまい。ありがとう。またね>>
 -オシマイ?
 ―オシマイ
 -オシマイ、マタネ
 -マタネ、マタネ
 -マタネ

 魔物の森が近いから、きっと精霊が沢山いるんだろうね。まさかあんなに集まってくるとは思わなかったし。前世でもあんなに集まったことは無いんだけどなぁ。マシューには見えてないからあれだけど、さっきはかなりの数の精霊が集まってきちゃったんだよ。気が付いたら部屋の半分くらいはいたと思う。僕もこんなのは初めてだから驚いちゃったよ。たまたまここら辺に集まってたのかな?

 マシューには僕が知ってる精霊についての知識を全て説明したよ。見えなくても知識として持ってることは悪いことじゃないからね。彼の中の好奇心もこれで満足したんじゃないかな。
 ちなみに精霊魔法は各精霊にお願いして行う魔法だから、普通の魔法では難しいことも可能なんだよ。大昔の精霊魔法使いに一番多かったのは、風精霊にお願いして遠くの人たちの会話をこっそり自分だけに届けてもらうことかな。盗み聞きやり放題ってワケ。諜報活動には最適な魔法でしょ? 良い子はマネしちゃダメだよ。
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