目立たず静かに大人しく?

ふゆの桜

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1年

精霊魔法3

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 数日後、王都から魔導師たちが学園にやって来た。彼らは魔導師の中でもエリート中のエリートと言われ、普段は魔術塔に詰めてる人たちだ。魔術塔には魔法協会があって、そこの上層部の人たちでもあるんだ。

 魔法協会ってのは僕が前世の頃に出来たもので、今の形になったのは僕が死んだ後だね。発足した理由と言うか元々の原因はたぶん僕なのかも。以前は魔導師及び魔術師は全員魔術塔に所属してたんだけど、いろいろあって一部の魔術師たちを別の所属に変えちゃったからね。だから魔導師たちの所属先が複数になっちゃって、いろんな情報伝達に問題が出ちゃったんだ。

 魔法協会は魔導師や魔術師を取りまとめるためのものなんだ。魔法にかかわる情報は全てこの魔法協会から発せられるんだよ。ここに所属していれば、国のどこにいても支部を通して情報を受け取ることが出来るんだ。資格なんかも管理していて、魔術師から魔導師へランクアップする場合もここへ申請→審査→試験ってカンジの手順になるんだ。もちろん魔導師や魔術師の中にもいろいろランクはあるよ。
 ここで発行してもらった資格は、仕事を探す上でとても重要なものとなるんだよ。今では魔法を使う職業もたくさんあるからね、そこへ就職するときの自分のアピールポイントになるってわけ。お給料が上がる職場もあるそうだから、ランクアップを目指す人はたくさんいるんだよ。

「えらーい魔導師様って怖そうな人だと思ってたけど、そうでも無いんだな」

 お昼ご飯を食べてたときに、一緒にいたアルト君がそんなことを言いだした。

「上級生の魔法の授業を見学して、ついでにアドバイスしてるんだってさ」
「そうなんだー」
「オレも受けてみたいなぁ」
「アルトはムリだろ。まだクリーンが成功してないし」
「チクショー、マシューが冷たいぜ」
「えっ、アルト君はまだクリーンが成功してないの?」
「セインも酷い。なあセイン、オレにアドバイスしてくれよー」
「う、うん……」

 魔法の授業はほぼ個人指導に近いから、アルト君がクリーン魔法を成功してないってのは知らなかったんだ。
 これには理由があるんだよ。僕たちのクラスは全員魔力持ちだけど、どの系統の素質かってのは人それぞれなんだ。素質が無い系統の魔法を習っても呪文では発動できないから、人によって習う魔法の種類が異なるってワケ。同じ素質の子だけを集めてってやり方もあるだろうけど、フィラー先生はひとりずつに教える方法を選んだみたい。

「トーマ君はクリーンは成功したの?」
「うん。僕はクリーンも部分クリーンも出来たよ。水球もしっかり出せるようになったから、今はそよ風の練習中」
「オレだけ落ちこぼれ」
「安心しろ。オレはクリーンだけだ。部分クリーンはまだだし、雷球は練習さえしていない」
「マシューはオレがクリーン成功するまでそのままでいろよ」
「いやいや、ムリだろ」

 四人で食べてるお昼ごはんは、いつもとても賑やかだ。


 昼食後の魔法の授業では、フィラー先生に続いて白いローブ姿の男性も入って来た。王都の魔術塔から来た魔導師のひとりだと思う。ここは魔法を習い始めた1年の教室だからそんな偉い人が来るなんて思ってもなくて、僕含めクラスの全員が驚いてたよ。

「こんにちは皆さん、私は魔術塔から派遣された魔導師です。ここへ来た本来の目的は精霊魔法使いの確認ですが、それ以外にも魔法を勉強する皆さんへのアドバイスを行おうと教室を回っています。皆さんは1年生と言うことで魔法を勉強したばかりですので、今日はいろいろな質問に答えて、その後に私の魔法を少しだけ披露しましょう」

 ワーッと言う歓声が上がったのは仕方ないよね。

「質問がある人はきちんと手を上げるように。私が名前を呼んだ人が質問をすること。じゃあ、質問があるひとは?」

 フィラー先生の言葉にクラスの半分が手をあげたよ。残りの半分は戸惑ってて、僕も後者だ。だって何を質問して良いか分からないんだもの。

「どうやったら魔導師になれるんですかー?」
「いっぱい魔法の修行をしたらなれるぞ。最初は魔術師だな。その後も沢山沢山修行して魔導師になるんだ」
「魔法の修行のコツってあるんですか?」
「そうだな……。君たちはまだ始めたばかりだから良く分からないと思うが、魔力制御が一番重要なんだ。魔力制御は出来るようになったら終わりってワケじゃないぞ。出来るようになってからが重要なんだ。毎日やることが一番のコツかな」

 魔導師は僕たちの質問にニコニコしながら答えてくれてるよ。良い人ってカンジ。

「魔力制御の練習をしてると眠くなっちゃうんですが、どうしたら良いですかー?」
「えっ?」

 アルト君の質問に魔導師はビックリしたみたい。教室の隅にいたフィラー先生は苦い顔だよ。

「あーそうだな……。眠くなるようなら立ってやってみたらどうだろうか? 多分君はまだ魔力制御が上手く出来てないんだろう。ちゃんと出来るようになったら眠気は吹っ飛ぶハズだから、まあ頑張ってくれ」
「はーい」
「アルト君、明日の魔法の授業からは私の隣で立ってやってくれ。そうすれば寝ることはないだろう」
「うへぇ……」

 これには全員大笑いだった。

「魔導師様は何の魔法を使えるんですかー?」
「一応全系統の魔法は使えるぞ。素質があるのは防御だな。あとは精霊魔法が使える。実は私はこの国で二人目の精霊魔法使いなんだ。後で精霊魔法を見せてあげよう」

 これには全員大歓声だった。僕も他人の精霊魔法を見るのは前々世以来だからね、すっごく興味あるよ。
 これは僕の予想なんだけど、彼が僕たちの教室に来たのはティタン君がいたからじゃないかと思ってる。ティタン君は三人目の精霊魔法使いの弟だし、彼自身も目指してると言ってるから、きっとその素質等を見極めに来たんじゃないかな。まあどっちにしろ精霊魔法を見れるんだからラッキーだと思う。

 その後も魔導師はいろんな質問に答えてくれたよ。かなり気さくな人みたいで、修行での失敗談なんかも話してくれた。そしてとても話すのが上手いんだ。僕たち全員彼の話を飽きずに聞いてたもの。

「他に質問はあるかい?」
「セイン君は何か無いか? せっかくだから君も質問してみてはどうだね」
「え、あの……」

 まさかフィラー先生に指名されるとは思わなかった。不意打ちに焦りつつ、何とか今まで出てない質問をひねり出したよ。

「魔導師様は一度に何個の魔法を使えるんですか?」
「そうだな……、私の場合で四個だろうか。一種類または数種類の魔法を一度に出すことを複数魔法の同時展開と言うのだが、これは魔導師になる必須条件なんだ。だから魔導師を目指す人は、二個以上の魔法を出せるように頑張って欲しい」

 それから少しして質問タイムは終わり、いよいよ精霊魔法の披露となった。
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