目立たず静かに大人しく?

ふゆの桜

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1年

カンベンしてほしい2

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 結論から言うと、結局僕たちは香油を買わなかった。買えなかったじゃなく買いに行かなかっただよ。当たり前だよね。だって僕たちまだ子供だよ。たとえお店に行ったとしても、売ってくれないのは分かり切ってる話だ。ヘタしたら学園に通報されて先生に怒られるかもしれない。

「むぅ……」
「不貞腐れてもダメ。ムリなものはムリ。僕は買いに行きたいとは思わないよ」
「でもあれは必需品だぞ」
「まだ今はいらないじゃないか」
「えー、オレは今夜から使おうと思ったのにぃぃぃ」
「何で?」
「そりゃあ、今からちょっとずつ準備する為じゃんか。オレの身体は準備万端。でも考えてみたらセインの方は準備に時間かかるじゃん」
「な……」
「いきなりは痛いだろう? だったら今から少しずつ慣らしておけばさ、イザってときに困らないだろう」
「…………」
「オレはさぁ、ホントのこと言うと、ここで初めて会ったときからセインのこと抱きたかったんだぜ。でもまだ身体が子供だったからガマンしたの。この忍耐力を褒めて欲しいくらいだよ。……って、あれっ? 口パクパクしてどうしたんだ?」

 直後、マシューの顔に枕をぶつけておいた。もちろんスナップを効かせて勢いよくだ。そろそろ僕も魔石を買う時期に来たのかもしれないね。魔石にはお約束の雷の陣を彫る予定だよ。前世で作ったあれは何だかんだ言って活躍してくれたからね、寿命が尽きるまでに八個くらいは作ったような気がする。その全てが対マシュー用。よしっ、今度の休日は是非冒険者ギルドへ買いに行こう。


 翌日、懲りないマシューは手荒れに効く軟膏と料理用の油を買ってきた。もちろんマシューの用途はそれら本来の用途とは全く違うものだ。溜息が出るよ。放課後に大図書館で調べものなんかしないで、僕も魔石を買いに行くべきだったのかもしれない。

「で、セインはどっちが好み? 軟膏の方は香りは良いけど油に比べて伸びがイマイチ。油の方は香りなんて期待するのが間違ってるな。とは言えオレとしては軟膏の方がおすすめだな。セインの為に結構良いヤツ買ったから、実を言うと沢山使うとオレの懐がツライ」
「どっちも使わないって選択肢もあると思うな?」
「何も使わなきゃセインが痛い思いをするじゃないか。それはダメだ」
「いやいや、そうじゃなくて……」

 僕はまだ子供でいたいんだから、何もしないって選択肢があると思うんだ。だって僕まだ九歳だよ。マシューと違って身体もまだまだ子供だよ。なのに何で一足先に大人にならなきゃいけないのかな?
 マシューのことは嫌いじゃないし。と言うか大好きだし。口付けするのも好きだし、夜くっついて寝ると幸せな気分になるよ。今の僕はそれで十分満足なんだけどな。子供時代って考えてみたらすっごく短いと思うんだ。だから今は今まで通りで良いと思うんだけど。

「……分かった。今は軟膏も油も使わない。セインの身体が大人になるまで待つよ」
「分かってくれたんだ。嬉しいよ、マシュー」
「おう。その代わり乳首の開発はさせろ。譲歩したんだから、これくらいはセインも譲歩しろよな」
「却下」
「却下を却下。大丈夫。口付けしてセインが気持ち良くなってるときに少しずつやるから。今世では初めてだけどちゃ~んと前世の知識があるから、セインは安心してオレに任されろ。意外とオレって忍耐強いんだぜ。今世ではじっくりゆっくりセインを開発するつもりだから、楽しみにしてろよな」

 全然楽しみじゃないんだけど。

 結局その日はそんな話だけで何も無かった。と言うか数日間何も無く平和だった。強いて言えば寝る前の口付けが少し深くなったと言うか何と言うか……。まあでもこれくらいだったらと僕はすっかり油断してたんだ。
 マシューは本当にじっくり少しずつ進めたようで、気が付いたときにはマシューの手はパジャマの中、直接僕の素肌に触れていた。今はまだ慣らしの前の慣らしの段階で、肝心なところは避けて触ってるんだそうだよ。聞いた僕も僕だけど、マジメに答えたマシューもマシューだよね。ふたりして何してるんだろうってカンジ。

 マシューに素肌を触られて僕が感じたのは安心感だった。性的な感覚は今の僕には一切無かったんだ。それを聞いたマシューはかなり微妙な顔をしてたよ。

「大人になるのなんて今は待ち遠しく感じるけど、実際にはあっという間だと思うよ。だから焦ったり不満に思うんじゃなくて、もっと子供を楽しもうよ。マシューと一緒に子供時代を過ごすのなんて、今世が初めてじゃないか。だから尚更駆け足で大人になるのは寂しいな」

 改めて僕の気持ちを伝えたところ、マシューは一応は理解してくれたみたいだった。

「と言うことで、今やってるのは止めようか」
「……チッ」

 本当に理解したのか怪しいところだ。
 今マシューが何をやっていたかと言うと、僕の下腹部に手を当てながら魔力を出してたんだ。魔力を当てたらもしかしたら僕も大人の身体に近づくんじゃないかって、マシューの『切なる願望』が行動として出た結果だそうだ。効果があるかは知らないよ。マシューも知らないって言ってたし。ならやらないでよって思うのは仕方ないよね。
 ちなみにマシューが出した魔力は僕の中に吸収されるハズもなく、この部屋にいた精霊たちの『おいしいオヤツ』になってるみたい。おかげでここ数日、僕らの部屋にはかなりの数の精霊が集まってるんだ。これはこれで勘弁して欲しいよ。


 まあそんなカンジで、最終的にはじっくり待とうって気持ちになってくれたようだった。寝る前の口付けだけは深くなっちゃったけど、それ以外は以前と同じ平和な寮生活に戻ったよ。



 そんなある日の早朝……。


「…………」

 下半身の違和感、正確には下着の不快感で早朝に目が覚めた僕は、瞬時に何が起きたのかを理解した。つまり、とうとう僕にも来るべきもが来たってワケだ。個人的にはもっと後でも良いと思ってたのに、僕の身体は僕のそんな気持ちを一切考慮してくれなかったようだった。とは言え今は不快の元になってる下着を替えるのが先決だ。

「ん……。どうした?」
「何でもないよ。まだ早いからマシューは寝てて」
「ん~……」

 焦った。ベッドから出ようとしたらマシューの目が覚めちゃったんだ。でもまた直ぐ眠ったみたい。これで安心。あとはマシューが寝てる間に証拠隠滅だね。とりあえず下着を替えよう。

「あーっ!」
「わっ」

 ほっと息を吐いた途端に、眠ったハズのマシューが大声をあげながら飛び起きた。そんな不意打ちに、僕は心臓が止まるかと思ったよ。
 飛び起きたマシューは後ろから僕の肩をガッシリと掴み、それから鼻をスンスンさせながら顔を近づけてきた。どこにって、その問題の場所に……。

「やあセイン、大人の世界へようこそ」

 ニヤリと笑ったマシューの顔が、僕には悪魔の顔に見えてしまった。

 その後無理矢理下着をひん剥かれ、僕のアソコに部分クリーンをかけられ、取られたパンツの臭いを嗅がれ、最後にパンツを洗われた。その間僕の精神はゴリゴリと音を立てて削られていったよ。当分立ち直れないかも。


「ここで再びセインに問おう。手荒れに効く軟膏と料理用の油、どっちを望む?」

 今まさにここに、エロエロ大王マシューが今世に完全復活した瞬間だった。





※※※
二人ともまだ(身体が)子供なので、実際にはそう言う行為には至りません。残念!
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