目立たず静かに大人しく?

ふゆの桜

文字の大きさ
43 / 68
1年

誕生日のプレゼントは……4

しおりを挟む
 素っ裸になった僕に覆いかぶさるのは、満面の笑みのマシューだ。僕だけ裸。当然だけどマシューは服を着たままだ。
 懐かしいね、マシューの魔法は。前々世の魔王時代に覚えたと言うこの魔法は、前世でも時々お世話になった記憶がある。これと一緒に更に懐かしいのは、あっという間に手錠をかける魔法だ。特技だと言ってるけど、どう見ても魔法にしか見えないんだよね。と言ってもマシュー以外誰も知らない固有魔法みたいな部類に入ると思う。

「セイ~ン。この状況で他のことを考えるなんて、随分余裕だな」
「え、いや、あの……。ちょっと寒いから、服を着たいなぁ、なんて……」
「大丈夫だ。すぐ熱くなるハズだから」

 そう言いながら口付けられた。本気の口付け。こんなのは今世になって初めてだ。それくらい本気。油断してた僕は呼吸することもままならず、息苦しくて心臓がバクバク言ってる。

 僕……、十歳になった途端にマシューに食べられちゃうの?

 そう思うと同時に、期待してる僕もいるんだ。

 口付けしながらマシューの手が僕の脇腹をくすぐる。僕の記憶にあるいつもの順番。その手が徐々に上の方に移動していって……。そこはまっ平で触っても何も無い場所なのに、マシューの手に撫でられて徐々に存在を主張してくるんだ。何度目かの往復でぷっくりし始めたそこを、マシューの指が摘まむ。今はまだくすぐったいだけだけど、いつかその場所が気持ち良くなるのを僕は覚えてる。向こうにある官能を期待して、僕の身体がピクリと反応した。

「胸……、感じる?」
「今はまだ。もどかしいようなカンジ」
「そうか」

 答えに納得しながらも、マシューの指と舌は僕の胸に留まったままだ。くすぐったい。でも、少し気持ち良い。

 おかしいな。ついさっきまでの僕は、まだ子供のままだったのに。もう少し子供のままでいたいと思っていたハズなのに。今の僕はこの先を期待して身体中が熱くなってきているんだ。今世のこの身体では初めて。でも、記憶の中ではとても馴染みのある感覚に、少しずつ今の身体も馴染んできてるみたい。だから、もっと僕を気持ち良くして。

「ちゃんと感じてるみたいだな」
「何?」
「兆してる。その反応がオレとしては嬉しい」
「え、あっ!」

 スルッと撫でられて腰が揺れた。僕自身精通はしたけどそれ以降は何も無く、モヤモヤした気分にすらならなかったから、もしかしたらあれは夢だったのかもって思い始めてたんだ。だから少し硬くなり始めた自身のアレを見て、この状態になったのを見るのは初めてだと思った。
 マシューは僕のをゆるく握って、そして動かした……と思う。思うってのはマシューが僕に口付けてたから。でも何となく感覚で分かるし、僕自身お腹の奥の方から何かが湧き上がってくる感覚がしてる。

「もっと気持ち良くなって」

 耳元から聞こえたその言葉の直後、僕の上からマシューの重さが無くなり、そして僕のアレが温かい湿ったものに包まれた。

「マシュー、待って待って、今の僕は刺激に弱すぎてムリだから! まっ、あっ!」

 今世初の夢精の次がマシューの口の中って、さすがに無理!無理だよ!

 だから期待したような上目遣いで僕を見ないでー!

 直接的な刺激と視覚から来る刺激に、僕はあっさりと白旗を上げてしまった。前世も前々世のマシューも一番最初は強引だったけど、やっぱりそれは今世でも変わらなかったみたい。いや、今までかなりガマンしてくれたってことを考えると、今回は良い方かもしれない。いやいや、でもやっぱり強引って言葉が当てはまるよね……などと現実逃避しても良いだろうか? 精神はともかく、肉体的には無垢だったんだ。性的な刺激に慣れてないこの身体では、あっという間に達してしまったのは仕方ない。

「ん……、濃いな。意識がある状態でイッたのは、今世では初めてか?」
「……うん」
「だよな。セインがオレに隠れて自慰するなんて考えられないし」
「うぅぅ……」

 濃いとか言わないで欲しい。と言うか、その容姿で当たり前のように飲まないで欲しかったよ。僕自身も最後は力が入らなかったってのもあったけど、お互い十歳ってことを考えると、いたたまれない。なんか涙出てきた。

「泣かないで。オレはセインをイカせられて嬉しいんだから」
「うー……」
「もっと気持ち良くしてあげるから、な、だからヘンな意地は張らずオレに任せろ」
「……ぅん」
「良い子だ」

 頭を撫でられて、いつものセリフを言われて、思わずほにゃっとした笑顔が漏れた……と思う。マシューのそのセリフは、いろんな意味で僕を安心させるんだ。それと同時にごちゃごちゃした考え――まだ十歳だとか、もう少し子供のままでいたいとか、世間一般の常識とか――が、僕の中からスルッと消え去って行った。

 それから、ふわっとした甘い香りがして……。

「甘いけど、しつこくない香りだな。セインもこの香りはイヤじゃないだろう?」
「ん……、マシュー?」
「ふっ……、ほら、おいで」

 僕からマシューが離れたのが寂しくて、少し甘えた声が出てしまった。でもマシューはそんな僕には慣れっこだから、やさしい顔で腕を広げてくれたんだ。起き上がって抱きつく僕。……僕だけ裸だけど。

「マシューは脱がないの?」
「んー……。脱いだら暴走するかもしれないからなぁ。今日はセインを気持ち良くするのが目的だし。うーん、上だけ脱ごうか」
「僕だけ? マシューは?」
「セインの誕生日だもの。オレの忍耐なめんなよ」
「僕、どうせならマシューにも気持ち良くなって欲しいよ」
「こらっ。オレの忍耐は脆いんだから」
「あれっ?」
「ふふっ……。ほら、始めるよ」
「んっ……ぁっ」

 立ち膝の状態でマシューに抱きついてたら、香油を纏ったマシューの指が僕の後ろに触れた。やっぱりビクッてしちゃう。

「どうする、セイン? 四つん這いの方が身体に負担は無いけど」
「マシューが見えないのはヤダ」
「そうか」

 そう言って、再びマシューは僕を押し倒した。どんなにラクな体勢だとしても、マシューが見えないのだけはダメだ。耐えられないんだ。きっとマシューも僕の答えは分かってたと思う。

「力抜いてろよ」
「ん……、なんか、くすぐったい」
「この香油は初心者用なんだ。痛みを緩和する成分が入ってるって話だ。だから安心してオレに任せろ。……まずは小指からな」
「んっ! ……はぁ」

 マシューの小指が僕のナカに入って来た。 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

発情期のタイムリミット

なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。 抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック! 「絶対に赤点は取れない!」 「発情期なんて気合で乗り越える!」 そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。 だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。 「俺に頼れって言ってんのに」 「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」 試験か、発情期か。 ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――! ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。 *一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...