目立たず静かに大人しく?

ふゆの桜

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1年

モーグ狩りへ行こう1

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 後期試験が終了した。結果は翌々日には貼りだされて、総合一位はマシューだった。僕は二位でトーマ君が八位だ。貼りだされるのは上位二十人だけなので、アルト君の順位は本人以外には不明。でも、何とか補習は免れたようだよ。マシューに抱きついて喜んでたし。お礼にデザートをごちそうするって言ったのが聞こえたから、その時は僕も便乗して一緒に行こうかな。

「くやしいなぁ。座学だけなら僕がトップだったのに」
「礼儀作法はな。オレは前世のおかげで完璧だもの」
「ズルい……」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。セインの魔法なんて、ズルいって言葉が生ぬるいくらいじゃん」
「うー、それを言われると困る」
「だろう?」

 多少丸め込まれたような気がしないでもないけど、お互い前世、前々世の知識と経験があるから、その通りなのだろう。

 座学の結果は僕は満点だった。マシューとの差は近代史に出てた。試験前に軽く教科書を読んだ僕に対し、マシューは全く見てなかったからね。答えられない問題もあったってワケ。ちなみにマシューの中では、歴史は内容は覚えるけど、正確な日付なんかは覚えるつもりは無いそうだ。ざっくりとした年代くらいで良いんだってさ。授業を受けてる身としてはどうかと思うけど、大人になったときに細かい史実が必要になる人はごく一部の人だけだから、マシューの中では適当にして良いものに分類されてるみたい。必要なときは僕に聞けば良いって思ってるようだよ。調子良いなぁって思うけど、いろいろお互い様だから怒る気にはならない。

 実技に関しては、マシューは断トツだった。特に礼儀作法は完璧で、特別に2年の授業を受けないかって、内々に誘われてたくらいなんだ。いろいろ考えた末、今回は断ってたけど。1年生が習う礼儀作法なんて簡単なものばかりだよ。でも、初めて習う平民の子たちは四苦八苦してた。僕自身は最低限の礼儀作法しか身に着けてなかったから、こうやって基礎を習うと指摘されることばかりだった。特に指先については、しょっちゅう指摘されたと思う。

「ねえ、マシュー君、明日からの予定は決まってる? もし決まってないなら、僕と一緒にアルバイトしない?」

 実は明日から三日間は試験休みなんだ。学園の大多数の生徒にとっては試験休みだよ。でも飛び級を希望する人にとっては、明日からの休みはその為の準備期間なんだって。
 後期試験の後にある特別な試験てのは飛び級試験で、ある一定の成績を修めた者なら誰でも受けることが出来るそうだ。この試験は任意で受けるものだけど、それは建前で、成績上位者は強制的に受けされられるみたい。ただし飛び級資格を得たとしても、実際にするかどうかは本人の意思次第らしいけど。とは言え、普通は合格したら飛び級するみたいだよ。
 この飛び級試験だけど、受けれるのは2年生からと決まってる。1年生は科毎のクラスじゃないし、専門的な授業はまだ受けてないからね、飛び級は論外なんだ。ちなみに一般的な飛び級試験は後期試験の後だけど、特例で夏休みに実施されることもあるみたいだよ。

「スマン。明日からの予定は決まってるんだ。アルバイトはアルバイトだけど、セインと一緒にやることになってる」
「そうなんだー、残念。セイン君はアルバイトの許可が下りたんだね」
「うん。手紙で詳しく説明したら大丈夫って思ってくれたみたい。ただし、当分はひとりで受けるのはダメって書いてあったけど」
「相変わらずセインのとこは過保護だな」
「アルト君は、アルバイトはしないの?」
「しない。小遣いたくさん貰ってるからな。アルバイトする必要無いよ」
「えー、でもアルバイトは社会勉強にもなるよ」
「上級生になってからで良いじゃん」
「ふうん」

 ま、アルバイトに関しての考えは、人それぞれだね。

 僕のアルバイトは、条件付きで許可が出たんだ。ギルドには学生専用の受付があって、そこにアルバイトを依頼する人やお店とかは、事前にギルドと学園が身元等の審査をしてあるからいろいろ安心なの。万が一トラブルがあって雇用元に非があった場合、内容によりけりだけど、ギルドから制裁を受けることもあるんだって。この街は学園を中心に成り立ってるからね、そんなことがあると街に居辛くなるらしいよ。
 条件の方は、下級生のうちは一人で受けないってことだ。必ず複数人募集してるところを選ぶこと。出来れば知ってる人と一緒に受けること。両親に心配をかけたくないから、そこはちゃんと守るつもりだよ。

「いったん寮に戻ってからギルドに行こうか。オレたち宛に伝言が来てるかもしれないし、それに、今日中に買わなきゃいけないものもあるしな」
「そうだね。できればもう一、二個魔石を買おうと思うんだ。一応予備で、陣を彫ってないのがあった方が良いし」
「んー、まあそうだな」

 皆と別れた後は、予定通りギルドへ行ったり、必要なものを買い揃えたりした。と言っても、ほとんどの物は準備済みだったから、あとは本当にちょっとしたものだけだったんだ。

「許可証はどっちが持つ?」
「僕が持つよ。マシューの方が荷物多いし」
「多いってより、大きいってのが正しいな。何だかんだ言っても、寝袋は嵩張る」
「大人用のサイズだから、本当に大きいね」
「子供サイズを買うのはお金の無駄だ。それに今のオレたちなら、ギリギリ一緒に寝れるじゃん」
「それはそうだけど……。きっとリロイさんたち、ビックリするんじゃないかな」
「大丈夫だろう。ウィードさん経由で、いろいろバレてると思うぜ」
「あ、嗚呼……」

 ウィードさん経由ってことは、香油の件ってことかぁ……。あの後も何回か顔を合わせてるけど、大人なウィードさんはその件に触れることは一切無かった。ありがたいね。うん、本当にありがたい。

「今日買った魔石をを忘れてるぞ」
「あ、ホントだ。ありがとう」

 実はね、明日からリロイさんたちと一緒に魔物の森へ行くんだ。ちゃんと先生の許可は貰ってるよ。今回のは普通に考えたら安全だとは言い切れない状況なので、許可を貰うのはちょっと大変だった。なのでその対策として結界の魔道具を用意することで、何とか許可が下りたんだ。リロイさんたちも学園に誓約書を提出してたしね。思いつきと言うか、その場のノリで決めちゃったけど、結構大事になっちゃって、リロイさんたち含め全員で頭を抱えたなんてこともあったような無かったような……。何一つ危険なことは無いけれど、その理由を言えないのが一番大変だったかも。

 魔物の森へ行く目的はただ一つ、モーグを狩ること。全員でお腹いっぱいモーグのステーキを食べようってのが、今回の目的だよ。

 楽しみだなぁ。
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