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1年
モーグ狩りへ行こう3
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「おっ、来たな」
「おはようございます。もしかして、僕たち遅刻ですか?」
「まだ時間前だ。オレたちは保護者も兼ねてるからな、早めに来るのは常識だ」
「単にモーグのステーキが楽しみなだけだろう。あ、オハヨーゴザイマス」
「口の減らないガキだ。まあ、実際当たってるがな」
そう言いつつ笑うリロイさん。何だかんだ言って、マシューはリロイさんたちととても仲が良い。僕も仲良くさせてもらってるけど、マシューは『刃の光』の準メンバーみたいな雰囲気だ。
でもね、よく考えてみて欲しい。僕たちまだ十歳なんだよ。しかも見た目はチビで子供で、それ以下の年齢に見えるんだ。なのに彼らは僕たちを子供扱いしないんだ。体力面や対外的な場合は違うけど、内輪で話すときは対等なカンジだ。不思議だよね。何となくそこにマシューの暗躍があるような気がしないでもないけど、そこはまあ気にしないようにしてる。きっと気にしたら負けだと思うから。
「とりあえず中へ入ろう。話しはそれからだ。許可証は持ってきたか?」
「持ってきました!」
「よし、じゃあ行こう」
受付前で余計なことを話したら拙いってことで、ウィードさんが手続きを促してくれた。そうなんだよ、目的は野営で、モーグは『偶然』遭遇して狩ったんだよ。話の裏を合わせるのは打ち合わせ済みで、あとはモーグが出そうなポイントを探すだけだ。
「どっちの方へ行きますか?」
「北東だな。南はダンジョンがあるから、他人と遭遇する可能性がある」
「わかりました。なるべく奥の方へ行きましょう。ある程度速度があっても大丈夫ですよ。僕とマシューは回復かけながら行きますから」
「良いのか?」
「問題ありません」
これは事前にマシューと決めてたことだ。リロイさんたちと比べると、僕たちは身体も小さいし体力も無い。でも僕たちに合わせると、森の奥に行くにはかなりの時間がかかってしまう。ならばリロイさんたちのペースで進んで、僕たちには都度回復魔法をかけようって。マシューはちょっと悔しそうだったけど、自分の身体がまだ子供だってのは分かってるから、今回はそれに賛成したよ。きっと自分がお荷物の役立たずなように感じてるのかな? そんなこと無いのに。大人になったマシューには、僕は助けてもらってばかりだったんだから。
暫くは黙々と歩いた。順番は、リロイさん&クラスティさん、マシュー&僕、ウィードさん&ミンツさんだ。リロイさんたちはゆったり目に歩いてるように見えたよ。と言っても身体の大きさが全然違うから、僕たちにとってはかなり速いペースだ。息をはずませながら付いて行って、時々回復魔法をかけてスピードが落ちないように気を付けた。マシューは僕より体力があるから、回復のタイミングは僕自身の状態に合わせた。だからマシューは僕よりラクだったハズだ。
「よし。ここらへんで一旦休憩するぞ」
「良いっすねぇ。そろそろ小腹も空いたし」
「おまえは菓子が食いたいだけだろう」
「ハハッ、バレたか。オレ、ここの焼き菓子結構好きなんだよ」
「クラスティが当番だったっけ? じゃあ、あそこの菓子かぁ」
「そうだよ~ん。菓子はあそこが一番だ」
「目的は菓子じゃなく売り子の方だろう。でも残念だな。昨夜、別の男とデートしてるの見かけたぜ」
「なぬっ」
「諦めろ。おまえにゃ若すぎる」
「ええーっ!」
休憩になった途端に彼らの口は回り始めた。と思った途端に、クラスティさんの失恋が確定したみたいだった。僕とマシューはポカンと口を開けて見てるだけだったよ。なんか……、何と言うか……、すごいね。
「くっそー、もう少し仲良くなってから口説こうと思ってたのに……。どこのどいつだよ、手の早い野郎は」
「いやいや、最初から対象に見られてなかったぜ」
「るせーな、リロイ。彼女にフラれたばっかだからって、オレの不幸を喜ぶなよ」
「うひひ。おまえの不幸はオレにとっての慰めだからな」
尚も続く二人のじゃれ合いからそっと目を逸らすと、ウィードさんとミンツさんが黙々と休憩の準備をしていた。関わる気は全く無いらしい。
「セイン君、水をお願いできるかな?」
「はい、分かりました。お茶ですよね? だったらこっちの方が早いかも」
もう火の準備も済んでて、水を入れた鍋を置けば良いだけの状態になってた。付いてくのが精一杯な僕たちに対して、ウィードさんたちにはゆっくりなペースだったから、きっと歩きながら枯れ枝を拾ってたんだろうね。
言われた通り鍋に水を入れた僕は、それを少し離れた場所に置いて、極小さい炎球を数個作って放り込んだ。お湯が沸くまでの時間短縮だよ。美味しい焼き菓子があるのなら、とっととお茶を淹れて食べたいからね。ちなみに水は僕が出すって事前に伝えておいてたんだ。一応予備で水筒は持ってもらってるけど、基本は僕の魔法だ。
「今すげぇ音がしたんだけど……何?」
ぎゃいぎゃい騒いでいたリロイさんたちが、びっくりした顔で火の回りに集まって来た。そんなに驚くことかな? まあ、水の中に炎球を入れるから、煩いのは煩いか。
「時間短縮でお湯を沸かしただけですよ」
「一瞬で熱湯になったよね? その後また水を足してたよね? これって普通なのか?」
「あー、セイン的には普通だから。そのうちに慣れる」
達観したようなマシューの物言いに、皆の視線が僕に突き刺さった。……何故?
その後も、昼休憩、午後休憩と短時間の休憩を取りながら、黙々と森の奥目指して歩を進めた。昼は携帯食と水のみの簡単な食事で、午後は焼き菓子の残りと水だけだった。たまたま僕たちが移動しているルートが薬草の群生地だったんだ。こんな奥まで薬草を採りに来る人はいないようで、自然と広がっていったんだと思う。そんな場所で焚火をするとその部分の薬草がダメになっちゃうからね、それは止めておこうってことになったんだ。じゃあ僕がさっきのように魔法で湯を沸かすって言ったら、何故かマシュー以外の全員に止められたよ。心臓に悪いんだって。水蒸気のことを言ってるのかな? 炎球を調整したら、危なくもないんだけどなぁ。
「セインはそのままで良いぞ。気にするな」
「むぅ……」
午後休憩のときに、マシューが頭を撫でてくれたけど、何となく納得いかない。
「おはようございます。もしかして、僕たち遅刻ですか?」
「まだ時間前だ。オレたちは保護者も兼ねてるからな、早めに来るのは常識だ」
「単にモーグのステーキが楽しみなだけだろう。あ、オハヨーゴザイマス」
「口の減らないガキだ。まあ、実際当たってるがな」
そう言いつつ笑うリロイさん。何だかんだ言って、マシューはリロイさんたちととても仲が良い。僕も仲良くさせてもらってるけど、マシューは『刃の光』の準メンバーみたいな雰囲気だ。
でもね、よく考えてみて欲しい。僕たちまだ十歳なんだよ。しかも見た目はチビで子供で、それ以下の年齢に見えるんだ。なのに彼らは僕たちを子供扱いしないんだ。体力面や対外的な場合は違うけど、内輪で話すときは対等なカンジだ。不思議だよね。何となくそこにマシューの暗躍があるような気がしないでもないけど、そこはまあ気にしないようにしてる。きっと気にしたら負けだと思うから。
「とりあえず中へ入ろう。話しはそれからだ。許可証は持ってきたか?」
「持ってきました!」
「よし、じゃあ行こう」
受付前で余計なことを話したら拙いってことで、ウィードさんが手続きを促してくれた。そうなんだよ、目的は野営で、モーグは『偶然』遭遇して狩ったんだよ。話の裏を合わせるのは打ち合わせ済みで、あとはモーグが出そうなポイントを探すだけだ。
「どっちの方へ行きますか?」
「北東だな。南はダンジョンがあるから、他人と遭遇する可能性がある」
「わかりました。なるべく奥の方へ行きましょう。ある程度速度があっても大丈夫ですよ。僕とマシューは回復かけながら行きますから」
「良いのか?」
「問題ありません」
これは事前にマシューと決めてたことだ。リロイさんたちと比べると、僕たちは身体も小さいし体力も無い。でも僕たちに合わせると、森の奥に行くにはかなりの時間がかかってしまう。ならばリロイさんたちのペースで進んで、僕たちには都度回復魔法をかけようって。マシューはちょっと悔しそうだったけど、自分の身体がまだ子供だってのは分かってるから、今回はそれに賛成したよ。きっと自分がお荷物の役立たずなように感じてるのかな? そんなこと無いのに。大人になったマシューには、僕は助けてもらってばかりだったんだから。
暫くは黙々と歩いた。順番は、リロイさん&クラスティさん、マシュー&僕、ウィードさん&ミンツさんだ。リロイさんたちはゆったり目に歩いてるように見えたよ。と言っても身体の大きさが全然違うから、僕たちにとってはかなり速いペースだ。息をはずませながら付いて行って、時々回復魔法をかけてスピードが落ちないように気を付けた。マシューは僕より体力があるから、回復のタイミングは僕自身の状態に合わせた。だからマシューは僕よりラクだったハズだ。
「よし。ここらへんで一旦休憩するぞ」
「良いっすねぇ。そろそろ小腹も空いたし」
「おまえは菓子が食いたいだけだろう」
「ハハッ、バレたか。オレ、ここの焼き菓子結構好きなんだよ」
「クラスティが当番だったっけ? じゃあ、あそこの菓子かぁ」
「そうだよ~ん。菓子はあそこが一番だ」
「目的は菓子じゃなく売り子の方だろう。でも残念だな。昨夜、別の男とデートしてるの見かけたぜ」
「なぬっ」
「諦めろ。おまえにゃ若すぎる」
「ええーっ!」
休憩になった途端に彼らの口は回り始めた。と思った途端に、クラスティさんの失恋が確定したみたいだった。僕とマシューはポカンと口を開けて見てるだけだったよ。なんか……、何と言うか……、すごいね。
「くっそー、もう少し仲良くなってから口説こうと思ってたのに……。どこのどいつだよ、手の早い野郎は」
「いやいや、最初から対象に見られてなかったぜ」
「るせーな、リロイ。彼女にフラれたばっかだからって、オレの不幸を喜ぶなよ」
「うひひ。おまえの不幸はオレにとっての慰めだからな」
尚も続く二人のじゃれ合いからそっと目を逸らすと、ウィードさんとミンツさんが黙々と休憩の準備をしていた。関わる気は全く無いらしい。
「セイン君、水をお願いできるかな?」
「はい、分かりました。お茶ですよね? だったらこっちの方が早いかも」
もう火の準備も済んでて、水を入れた鍋を置けば良いだけの状態になってた。付いてくのが精一杯な僕たちに対して、ウィードさんたちにはゆっくりなペースだったから、きっと歩きながら枯れ枝を拾ってたんだろうね。
言われた通り鍋に水を入れた僕は、それを少し離れた場所に置いて、極小さい炎球を数個作って放り込んだ。お湯が沸くまでの時間短縮だよ。美味しい焼き菓子があるのなら、とっととお茶を淹れて食べたいからね。ちなみに水は僕が出すって事前に伝えておいてたんだ。一応予備で水筒は持ってもらってるけど、基本は僕の魔法だ。
「今すげぇ音がしたんだけど……何?」
ぎゃいぎゃい騒いでいたリロイさんたちが、びっくりした顔で火の回りに集まって来た。そんなに驚くことかな? まあ、水の中に炎球を入れるから、煩いのは煩いか。
「時間短縮でお湯を沸かしただけですよ」
「一瞬で熱湯になったよね? その後また水を足してたよね? これって普通なのか?」
「あー、セイン的には普通だから。そのうちに慣れる」
達観したようなマシューの物言いに、皆の視線が僕に突き刺さった。……何故?
その後も、昼休憩、午後休憩と短時間の休憩を取りながら、黙々と森の奥目指して歩を進めた。昼は携帯食と水のみの簡単な食事で、午後は焼き菓子の残りと水だけだった。たまたま僕たちが移動しているルートが薬草の群生地だったんだ。こんな奥まで薬草を採りに来る人はいないようで、自然と広がっていったんだと思う。そんな場所で焚火をするとその部分の薬草がダメになっちゃうからね、それは止めておこうってことになったんだ。じゃあ僕がさっきのように魔法で湯を沸かすって言ったら、何故かマシュー以外の全員に止められたよ。心臓に悪いんだって。水蒸気のことを言ってるのかな? 炎球を調整したら、危なくもないんだけどなぁ。
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