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復讐を誓った夕暮れ
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フレデリックから声を掛けられ、イルアも好意を持ち、二人の交際が始まった。
けれど、それは順調に始まったかのように見えて、実は違っていた。
温もりと安らぎを求めたイルアに対し、フレデリックは美しい容姿を持つイルアの身体だけを求めた。
だからこそ、フレデリックは安易に「愛してる」と口にできた。そして、気まぐれに「結婚しよう」とも言えた。
はなからそんな気など無いから、軽々しく言えた言葉を、イルアは真剣に受け止め、悩み、泣き、何度も眠れぬ夜を過ごした。
でも、そのすれ違いは、知らなくても良かったこと。
フレデリックがずっと嘘を突き通せていれば、お互いが奇麗な思い出として過去にすることができた。そう。できたはず。なのに……
「─── ん?どうしたんだい?イルア。そんな思いつめた顔をして」
首筋をボリボリかいていたフレデリックは、イルアの視線に気づいて不思議そうに首を傾げた。
けれど、すぐに何かを察したように「ああ」と小さく呟き笑った。
「俺たちの関係は、まだ終わらないよ」
「……え?」
どんなふうにでも取れてしまう言葉に、イルアの心はざわざわと落ち着かない。
けれど、そのざわめきは、無風の湖畔の水面のように静まった。いや、凍り付いた。
「婚約発表をするのは、三か月後。社交シーズンが始まってすぐの夜会でだ。だから、それまではこれまで通り会えるから、心配しないでくれ」
(……つまり、この人はあんなことを言ったくせに、まだ私と会う気なの?)
イルアは自分の中で生まれた疑問をすぐさま打ち消したいと思った。
そんな愚かで、馬鹿げたことを、仮にも心から愛している人が思っているなんて考えたくもない。そして、そんなことを思ってしまった自分にも失望したくない。
けれどもイルアの疑問は、望んでもいないのにフレデリックが答えてしまう。
「ま、そういう訳だから。これからも、よろしく。あ……でも、一応言っておくけどさ。気を悪くしないで聞いてくれるか?」
「なんでしょう?」
聞きたくはない。だが、聞かなければならない。
そんな義務感で、イルアが続きを促せばフレデリックはバツが悪そうに視線をずらして口を開いた。
「君だってこれまで良い思いをしてきたんだから、もちろんわかってると思うけどさ、俺たちのこと、誰にも言わないでくれよ。婚約者になる相手が、結構、そういうこと煩い女でさぁ。それに相手はこっちより格上だし。だから、面倒事は避けたい」
「お相手は、どんな方なのですか?」
イルアはフレデリックの言葉を遮って問いかけた。
純粋に知りたかった。好奇心にも近い感情だった。そしてフレデリックも、当然、答えてくれると思った。それくらいの間柄であると愚かにもイルアは思い込んでいた。
でもイルアの思いに反して、フレデリックは露骨に嫌な顔をした。
「それ、君が知る必要ある?」
冷たく言い捨てたフレデリックは、侮蔑を込めた眼差しをイルアに向けていた。
けれど、それは順調に始まったかのように見えて、実は違っていた。
温もりと安らぎを求めたイルアに対し、フレデリックは美しい容姿を持つイルアの身体だけを求めた。
だからこそ、フレデリックは安易に「愛してる」と口にできた。そして、気まぐれに「結婚しよう」とも言えた。
はなからそんな気など無いから、軽々しく言えた言葉を、イルアは真剣に受け止め、悩み、泣き、何度も眠れぬ夜を過ごした。
でも、そのすれ違いは、知らなくても良かったこと。
フレデリックがずっと嘘を突き通せていれば、お互いが奇麗な思い出として過去にすることができた。そう。できたはず。なのに……
「─── ん?どうしたんだい?イルア。そんな思いつめた顔をして」
首筋をボリボリかいていたフレデリックは、イルアの視線に気づいて不思議そうに首を傾げた。
けれど、すぐに何かを察したように「ああ」と小さく呟き笑った。
「俺たちの関係は、まだ終わらないよ」
「……え?」
どんなふうにでも取れてしまう言葉に、イルアの心はざわざわと落ち着かない。
けれど、そのざわめきは、無風の湖畔の水面のように静まった。いや、凍り付いた。
「婚約発表をするのは、三か月後。社交シーズンが始まってすぐの夜会でだ。だから、それまではこれまで通り会えるから、心配しないでくれ」
(……つまり、この人はあんなことを言ったくせに、まだ私と会う気なの?)
イルアは自分の中で生まれた疑問をすぐさま打ち消したいと思った。
そんな愚かで、馬鹿げたことを、仮にも心から愛している人が思っているなんて考えたくもない。そして、そんなことを思ってしまった自分にも失望したくない。
けれどもイルアの疑問は、望んでもいないのにフレデリックが答えてしまう。
「ま、そういう訳だから。これからも、よろしく。あ……でも、一応言っておくけどさ。気を悪くしないで聞いてくれるか?」
「なんでしょう?」
聞きたくはない。だが、聞かなければならない。
そんな義務感で、イルアが続きを促せばフレデリックはバツが悪そうに視線をずらして口を開いた。
「君だってこれまで良い思いをしてきたんだから、もちろんわかってると思うけどさ、俺たちのこと、誰にも言わないでくれよ。婚約者になる相手が、結構、そういうこと煩い女でさぁ。それに相手はこっちより格上だし。だから、面倒事は避けたい」
「お相手は、どんな方なのですか?」
イルアはフレデリックの言葉を遮って問いかけた。
純粋に知りたかった。好奇心にも近い感情だった。そしてフレデリックも、当然、答えてくれると思った。それくらいの間柄であると愚かにもイルアは思い込んでいた。
でもイルアの思いに反して、フレデリックは露骨に嫌な顔をした。
「それ、君が知る必要ある?」
冷たく言い捨てたフレデリックは、侮蔑を込めた眼差しをイルアに向けていた。
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