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気付かないフリをしたままでいたい【夏】後編
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「目を閉じてください」
「……はい」
マリアンヌは、クリスの言葉に従った。
そうすれば「よくできました」と褒めるような口づけを額に落とされた。
そしてその唇は、ゆっくりと下りて、瞼に触れる。ちゃんと目を瞑っているのか確認をしたかったのだろうか。
マリアンヌはクスリと笑う。
でも、そんなふうにいられたのはここまでだった。
再び唇にクリスの唇が触れる。かすめるような口づけを何度も繰り返し、催促するかのように舌で唇を突かれる。
マリアンヌは抗うことなく、小さく口を開けた。すぐにクリスの熱い舌が差し入れられる。
最初は怖がらせないように、ゆっくりと動くそれは次第に激しさを増し、それと同時に甘い感覚が全身に広がる。
同じことを繰り返しているだけなのに、どうしてこんなに気持ち良いのだろう。
ぼうっとする頭でそんなことを考えていても、答えなど出るわけがない。ただただ、彼が与える刺激を受け入れることしかできない。
「……少し、態勢を変えますよ」
舌が抜かれ、そう囁かれても、マリアンヌはうっとりと目を潤ませるだけ。
でも、クリスはそれを是と受け止めたようで、マリアンヌの背に手を置きそのままピクニッククロスに横たえた。
薄い布越しに地面を感じる。でも、それより覆い被さってきたクリスの温もりの方が強い。
ただこんなに密着していたら、ドキドキしている鼓動を聞かれてしまいそうで恥ずかしい。でも……。
マリアンヌは溢れる気持ちのままに両手を広げて、クリスを抱きしめた。シャツ一枚の彼の背は予想よりも熱かった。それにとても安堵を覚える。
「苦しくはないですか?」
「……はい」
「重くもないですか?」
「……ちっとも」
労わる声にもどかしさを感じて、マリアンヌはうっすらと目を開けた。
揺らぐ視界の中、クリスがどこか苦しそうに眉間に皺を寄せているのが見える。
「クリス……もっと私に身体を預けて良いのよ?」
「……それは男が言うセリフですよ」
てっきり体重を掛けないようにと無理な姿勢を取っているからそんな顔をしていると思っていたけれど、どうも違うようだった。
「なら、どうしてそんなに苦しい顔をしているの?……本当は─── んっ」
本当は、自分とこんなことをするのが嫌だったの?
そう聞こうと思ったけれど、首筋にクリスが舌を這わすものだから、言葉にすることはできなかった。
「まったく困ったお嬢様だ」
「……あ、んっ」
「こんな状況になってまで相手を気遣うなんて」
「だ、だって……んっ、あ」
呆れと苛立ちの中に、もう一つ違う感情を露骨に表しながら、クリスはマリアンヌの白い首筋に何度も吸い付き、舌でなぞる。
あまりの強い刺激に背中が弓なりになる。その隙間にクリスが素早く手を差し入れた。そして器用にも片手でドレスのボタンを外していく。
でも、マリアンヌを理性を手放しているせいで、全く気付けなかった。
「あなたは、こうされるのがお好きなんですね」
「いや……んっ、そんなことを言わないで……あ、クリス……お願い」
涙を浮かべて嫌々と首を横に振るマリアンヌは、クリスの目にはたまらない光景だった。
ずっと愛しさゆえに触れることを禁じていたのだ。それが、今、自分の手の中にある。可愛らしい声を上げて、自分を煽っている。
拒絶の言葉を紡ぐくせに、若草色の瞳はねだるように潤んでいる。
そんな姿を見せられたら、クリスが理性を保てるわけがなかった。
「……マリー、そんな顔を見せたら駄目だよ」
クリスの口調が変わったことにマリアンヌは気付かなかった。
ただただ宥めるように頬を撫でるクリスの手が離れていくのが寂しくて、両手でしっかりと掴んでしまう。そして自ら彼の手の甲に唇を寄せてしまう。
「マリー」
今度は余裕のないクリスの声が聞こえた。
マリアンヌは、それに答えるかのようにクリスの指先に歯を当てた。
「……っ」
クリスが小さく息を呑む気配が伝わった。次いで、強く唇を塞がれてしまう。
そしてさんざんマリアンヌの唇をむさぼったクリスの唇は、喉を伝い、鎖骨に移動する。でも、それはまだ止まらない。
だが、ここでマリアンヌは自分の異変に気付く。肩に風が当たっているのだ。
おかしい。
今着ているドレスは確かに動きやすいものだけれど、こんなにゆったりしたものではなかったはず。
そう思ったと同時に、胸のふくらみの少し上に、ぴりっとした尖った痛みを覚えた。
「………んっ、痛」
何をされたのかわからない。
でもその刺激が、夢見心地でいたマリアンヌに理性を取り戻すことになってしまった。
「……はい」
マリアンヌは、クリスの言葉に従った。
そうすれば「よくできました」と褒めるような口づけを額に落とされた。
そしてその唇は、ゆっくりと下りて、瞼に触れる。ちゃんと目を瞑っているのか確認をしたかったのだろうか。
マリアンヌはクスリと笑う。
でも、そんなふうにいられたのはここまでだった。
再び唇にクリスの唇が触れる。かすめるような口づけを何度も繰り返し、催促するかのように舌で唇を突かれる。
マリアンヌは抗うことなく、小さく口を開けた。すぐにクリスの熱い舌が差し入れられる。
最初は怖がらせないように、ゆっくりと動くそれは次第に激しさを増し、それと同時に甘い感覚が全身に広がる。
同じことを繰り返しているだけなのに、どうしてこんなに気持ち良いのだろう。
ぼうっとする頭でそんなことを考えていても、答えなど出るわけがない。ただただ、彼が与える刺激を受け入れることしかできない。
「……少し、態勢を変えますよ」
舌が抜かれ、そう囁かれても、マリアンヌはうっとりと目を潤ませるだけ。
でも、クリスはそれを是と受け止めたようで、マリアンヌの背に手を置きそのままピクニッククロスに横たえた。
薄い布越しに地面を感じる。でも、それより覆い被さってきたクリスの温もりの方が強い。
ただこんなに密着していたら、ドキドキしている鼓動を聞かれてしまいそうで恥ずかしい。でも……。
マリアンヌは溢れる気持ちのままに両手を広げて、クリスを抱きしめた。シャツ一枚の彼の背は予想よりも熱かった。それにとても安堵を覚える。
「苦しくはないですか?」
「……はい」
「重くもないですか?」
「……ちっとも」
労わる声にもどかしさを感じて、マリアンヌはうっすらと目を開けた。
揺らぐ視界の中、クリスがどこか苦しそうに眉間に皺を寄せているのが見える。
「クリス……もっと私に身体を預けて良いのよ?」
「……それは男が言うセリフですよ」
てっきり体重を掛けないようにと無理な姿勢を取っているからそんな顔をしていると思っていたけれど、どうも違うようだった。
「なら、どうしてそんなに苦しい顔をしているの?……本当は─── んっ」
本当は、自分とこんなことをするのが嫌だったの?
そう聞こうと思ったけれど、首筋にクリスが舌を這わすものだから、言葉にすることはできなかった。
「まったく困ったお嬢様だ」
「……あ、んっ」
「こんな状況になってまで相手を気遣うなんて」
「だ、だって……んっ、あ」
呆れと苛立ちの中に、もう一つ違う感情を露骨に表しながら、クリスはマリアンヌの白い首筋に何度も吸い付き、舌でなぞる。
あまりの強い刺激に背中が弓なりになる。その隙間にクリスが素早く手を差し入れた。そして器用にも片手でドレスのボタンを外していく。
でも、マリアンヌを理性を手放しているせいで、全く気付けなかった。
「あなたは、こうされるのがお好きなんですね」
「いや……んっ、そんなことを言わないで……あ、クリス……お願い」
涙を浮かべて嫌々と首を横に振るマリアンヌは、クリスの目にはたまらない光景だった。
ずっと愛しさゆえに触れることを禁じていたのだ。それが、今、自分の手の中にある。可愛らしい声を上げて、自分を煽っている。
拒絶の言葉を紡ぐくせに、若草色の瞳はねだるように潤んでいる。
そんな姿を見せられたら、クリスが理性を保てるわけがなかった。
「……マリー、そんな顔を見せたら駄目だよ」
クリスの口調が変わったことにマリアンヌは気付かなかった。
ただただ宥めるように頬を撫でるクリスの手が離れていくのが寂しくて、両手でしっかりと掴んでしまう。そして自ら彼の手の甲に唇を寄せてしまう。
「マリー」
今度は余裕のないクリスの声が聞こえた。
マリアンヌは、それに答えるかのようにクリスの指先に歯を当てた。
「……っ」
クリスが小さく息を呑む気配が伝わった。次いで、強く唇を塞がれてしまう。
そしてさんざんマリアンヌの唇をむさぼったクリスの唇は、喉を伝い、鎖骨に移動する。でも、それはまだ止まらない。
だが、ここでマリアンヌは自分の異変に気付く。肩に風が当たっているのだ。
おかしい。
今着ているドレスは確かに動きやすいものだけれど、こんなにゆったりしたものではなかったはず。
そう思ったと同時に、胸のふくらみの少し上に、ぴりっとした尖った痛みを覚えた。
「………んっ、痛」
何をされたのかわからない。
でもその刺激が、夢見心地でいたマリアンヌに理性を取り戻すことになってしまった。
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