皇帝陛下の寵愛なんていりませんが……何か?

当麻月菜

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一部 おいとまさせていただきますが......何か?

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  લ્યુનીન પશ્ચિમમાં પવિત્ર ઝરણા સુધી હું રહસ્યમય કપડાં પહેરું છું પહેલું દેખાય છે
 西のルニンにある聖なる泉に不思議な衣を纏いし乙女が現れる 

 તે દુર્લભ શક્તિ સાથે વિજય માટે સામ્રાજ્ય માર્ગદર્શન
 その者、稀なる力をもって帝国を勝利に導く

 પાછળથી પ્રથમની કૃપા જે સમ્રાટ પ્રાપ્ત થયો પવિત્ર સમ્રાટ બનો સુખાકારીની દુનિયા બનાવશે
 後に乙女の寵愛を受けた皇帝は聖皇帝となり 安寧の世を築くことになる



 たった3行の文章に、佳蓮は歓喜に震えた。

 元の世界とこの世界を繋ぐのは、この宮殿の神殿以外にも存在していたのだ。

 しかも文献が正しければ、自分ではないもう一人の異世界の人間は、召喚されたわけではなく、自力でこの世界に来た。つまり、誰かの手を借りなくても、異世界を行き来できる方法があるのかもしれない。 

 とにかく西のルニンというところに行こうと、佳蓮は勢いよく出窓から飛び降り、転がるようにソファに投げ捨てられていた地図を床に広げる。

 現在地である帝都フィウォールを見つけて、今度は指を西に移動させたその時、

「……あった」

 無意識に佳蓮は、声を出した。

 西のルニンという場所は存外近く、地名ではなかった。ここも、神殿だった。

 地図を見て気づいたが、元の世界で神社とお寺が混ざって建立してあるように、メルギオス帝国も神殿と教会が至る所にあるようだ。

 もしルニンが駄目だったとしても、しらみつぶしに神殿に足を運べば、きっと元の世界に戻れるはず。

 佳蓮は鬱々としていた気持ちに突然、風穴が開いたような錯覚を覚えた。強い期待が足元から這い上がってくる。やれる、いける。そんな言葉が頭の中で踊りまくる。

(そうと決まれば、やならくちゃいけないことをちゃんと考えなきゃ!)

 まずここを出る逃走ルートを確保することが重要課題だ。

 窓から見えるのは、アリの子一匹侵入を許さないという強い意志を感じさせる衛兵達。これらの目を欺き、地理をまったく把握できていない状態で城外へ出なければならない。

(え……詰んでるじゃん)

 すぐに難題にぶつかり、佳蓮は思わず親指の爪を噛む。

 うなぎ登りになったテンションは、見る見るうちに急降下するが、諦めるつもりはない。佳蓮は気合を入れようと頬をパンッと叩いた。

 その時扉が開き、甘いバターの香りが鼻孔をくすぐる。リュリュが書庫から戻ってきたのだ。

「見つけられたようですね」

 お茶と菓子が乗った盆を手にしたリュリュの言葉に、佳蓮ははっと顔を上げた。

 リュリュに対して警戒心が解けていない佳蓮は、とっさに誤魔化そうとした。けれど、それよりも早く佳蓮の為だけの侍女は口を開く。

「大丈夫です。何も心配することはありません。わたくしが必ずここから出して差し上げます」

 午後の柔らかい日差しが注ぐ明るい室内で、リュリュは夜会の庭園で浮かべた時と同じ、強く優しい眼差しを佳蓮に向けた。
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