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お仕事のはずなのに、そんな顔であんなことをするのは少し狡いと思う
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”報・連・相”はとても大事。
他人任せは二度手間になる。
この2つをノアは、身をもって知った。
そして明日、孤児院の皆の顔を拝んだ後にお城に戻ったら、いの一番にグレイアス先生にこのことを教えてあげようとも思った。
ただそれよりも、即刻、自分を抱きしめているこの人の誤解を解くことが先決だ。
だって、アシェルは迷子の子どもみたいな顔でいるから。
「殿下、聞いてください」
「……嫌だ、聞きたくない」
抱きしめた腕を離すことなく、アシェルは駄々っ子のように首を横に振る。
対して、秒で会話を終了させられたノアは地味に凹んだ。
しかし物心付いた時から極貧生活をしてきたノアは、学はないし、貯蓄も僅かだが、それを補う程度にはガッツがある。
「殿下、聞いてください。そう、悪い話じゃないですから」
「……嫌だ。完全に悪い話じゃないと、聞きたくない」
普段は思慮分別があるというのに、今のアシェルは聞く耳というものを私室に置いてきてしまったようだ。
是非とも取りに戻って欲しいけれど、そうできるなら、この会話を秒で終わらせようとはしないはず。
(つまり、落ち着かせれば良いのか……な?)
孤児院ではノアは最年長だったから、年下の世話は得意である。癇癪を起こす子供をあやすくらいは、朝飯前である。
ただ年上の、しかもやんごとなき身分の男性に効果があるかどうかはわからない。
けれど試してみてダメなら他の手を考えようと決めて、ノアは柔らかい笑みを浮かべた。
「……殿下、ここまで走ってきたみたいですが、お怪我はないですか?あ、ここ葉っぱがついてますよー」
あえてのんびりとした口調でノアはアシェルに手を伸ばすと、彼の髪についている葉っぱを手で払い落した。
「ん。大丈夫、怪我はない。……多分」
たどたどしい言葉遣いになって項垂れたアシェルは、本当に小さな子供に戻ってしまったようだ。
そんな彼に自ら触れるのは、何の抵抗もない。むしろもっと安心させたくて、ノアは葉っぱを払った手とは逆の手も伸ばして、アシェルの背にまわす。
「多分は、困ります。ダメですよ、ただでさえ暑くて感覚が鈍っているのに、こんな足場の悪い道を走っちゃ」
「でも……ノアが、ここから出ていくって」
「うん、そうですね。ちょっと留守にします。でも、明日の夕方前には戻ってきますよー」
トントンと心臓の鼓動よりゆっくり背中を優しく叩きながら、一番伝えたいことを口にすれば、アシェルは弾かれたように顔を起こした。
「……え?もど……戻る?明日の夕方に??」
「そーですよ。ちょっとだけ院長先生とか、孤児院の皆に会ってくるだけですよー」
歌を唄うように、へんてこな節をつけてそう言えば、アシェルは脱力した。
***
「……グレイアス、覚えとけよ」
大体の事情を理解したアシェルは、ノアの肩に額をつけて小さく呻いた。
他人任せは二度手間になる。
この2つをノアは、身をもって知った。
そして明日、孤児院の皆の顔を拝んだ後にお城に戻ったら、いの一番にグレイアス先生にこのことを教えてあげようとも思った。
ただそれよりも、即刻、自分を抱きしめているこの人の誤解を解くことが先決だ。
だって、アシェルは迷子の子どもみたいな顔でいるから。
「殿下、聞いてください」
「……嫌だ、聞きたくない」
抱きしめた腕を離すことなく、アシェルは駄々っ子のように首を横に振る。
対して、秒で会話を終了させられたノアは地味に凹んだ。
しかし物心付いた時から極貧生活をしてきたノアは、学はないし、貯蓄も僅かだが、それを補う程度にはガッツがある。
「殿下、聞いてください。そう、悪い話じゃないですから」
「……嫌だ。完全に悪い話じゃないと、聞きたくない」
普段は思慮分別があるというのに、今のアシェルは聞く耳というものを私室に置いてきてしまったようだ。
是非とも取りに戻って欲しいけれど、そうできるなら、この会話を秒で終わらせようとはしないはず。
(つまり、落ち着かせれば良いのか……な?)
孤児院ではノアは最年長だったから、年下の世話は得意である。癇癪を起こす子供をあやすくらいは、朝飯前である。
ただ年上の、しかもやんごとなき身分の男性に効果があるかどうかはわからない。
けれど試してみてダメなら他の手を考えようと決めて、ノアは柔らかい笑みを浮かべた。
「……殿下、ここまで走ってきたみたいですが、お怪我はないですか?あ、ここ葉っぱがついてますよー」
あえてのんびりとした口調でノアはアシェルに手を伸ばすと、彼の髪についている葉っぱを手で払い落した。
「ん。大丈夫、怪我はない。……多分」
たどたどしい言葉遣いになって項垂れたアシェルは、本当に小さな子供に戻ってしまったようだ。
そんな彼に自ら触れるのは、何の抵抗もない。むしろもっと安心させたくて、ノアは葉っぱを払った手とは逆の手も伸ばして、アシェルの背にまわす。
「多分は、困ります。ダメですよ、ただでさえ暑くて感覚が鈍っているのに、こんな足場の悪い道を走っちゃ」
「でも……ノアが、ここから出ていくって」
「うん、そうですね。ちょっと留守にします。でも、明日の夕方前には戻ってきますよー」
トントンと心臓の鼓動よりゆっくり背中を優しく叩きながら、一番伝えたいことを口にすれば、アシェルは弾かれたように顔を起こした。
「……え?もど……戻る?明日の夕方に??」
「そーですよ。ちょっとだけ院長先生とか、孤児院の皆に会ってくるだけですよー」
歌を唄うように、へんてこな節をつけてそう言えば、アシェルは脱力した。
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「……グレイアス、覚えとけよ」
大体の事情を理解したアシェルは、ノアの肩に額をつけて小さく呻いた。
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