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2.失恋と新しい恋の始まり ※注意:その相手は同一人物
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この人は一体、何をしたいのだろうか。
理由を伝えることもせずに意固地に引き取ると言い張っているが、彼にとってそんなことをしても何の利点も無いはずだ。
セリオは顔すら知らなかったようだけれど、クラウディオが立派な領主であることをモニカは知っている。
なぜなら村の集会所に、領主の活動記録はしっかり掲示されているからだ。
そして片思い相手のことを知りたいという乙女心から、モニカはその全てに目を通してきた。
ただ彼の性格がいつの間にか歪んでしまったことは記されていなかったのが、とても残念ではあるが。
もっと前に彼の性格がねじ曲がってしまったことを知っていたなら、トキメキからの転落という地獄を味わうことは無かったはずなのに……くそっ。
─── ということは、置いておいて。
とにかく自分がご領主様に引き取られることは、どう考えてもおかしい。
(これは絶対に、何か裏があるはずだ。考えるのよっ、私)
もともとモニカは、親が感心するほど素直で心根が優しい子だった。人を疑うという発想を、持っていないのかというほどに。
でもそれは過去の事。自分を守ってくれる両親はもういないのだ。
売り言葉に買い言葉で頼れる人がいるとクラウディオに言い切ってはみたけれど、そんな人はこの世に存在しない。
だから自分の身は自分で守らなければならないし、一つの過ちが取り返しの付かない事態になるかもしれない。
といっても、片思い相手から家に来ないかと言われ、喜ばない女の子はいないだろう。
モニカとて、まだ微かに嬉しい気持ちが残っている。
けれど必死に訴えた案件を村長に揉み消されたという事実は、思っていた以上にモニカの心に傷を作った。
そして、こちらの言い分を聞くこともせず、セリオの肩ばかりを持つ村民に対しても、モニカは地味にショックを受けていた。
そんな状態で、言葉足らずのクラウディオの申し出を黙って受け入れることなどできるわけがない。
「───…… そっか、そっか。そっかぁ」
しばらく思考の森を彷徨っていたモニカだったが、一つの結論に落ち着いた途端、無意識に言葉が溢れた。
「同じ言葉を繰り返しているが、それは私に向けてのものか?」
胡乱げにこちらを見つめているクラウディオは、とても多忙な身だ。こんな場所に、何度も足を運んで良い人ではない。
ではなぜ多忙の彼がここに来るのか。
それは、村長と同じ理由─── 砦の怠慢を揉み消すつもりなのだろう。
屋敷に来いと言ったのは、自分を監視下に置きたいため。いや最悪、口封じをする予定なのかもしれない。
「お生憎様です。私を殺しても、意味は無いですよ。上告書の移しは、信頼のおける人に預けておりますから」
「はぁ?!」
こんな流れになるとは思っていなかったのだろう。
ずっと貴族然としていたクラウディオだったが、ここで初めて素っ頓狂な声を上げた。
理由を伝えることもせずに意固地に引き取ると言い張っているが、彼にとってそんなことをしても何の利点も無いはずだ。
セリオは顔すら知らなかったようだけれど、クラウディオが立派な領主であることをモニカは知っている。
なぜなら村の集会所に、領主の活動記録はしっかり掲示されているからだ。
そして片思い相手のことを知りたいという乙女心から、モニカはその全てに目を通してきた。
ただ彼の性格がいつの間にか歪んでしまったことは記されていなかったのが、とても残念ではあるが。
もっと前に彼の性格がねじ曲がってしまったことを知っていたなら、トキメキからの転落という地獄を味わうことは無かったはずなのに……くそっ。
─── ということは、置いておいて。
とにかく自分がご領主様に引き取られることは、どう考えてもおかしい。
(これは絶対に、何か裏があるはずだ。考えるのよっ、私)
もともとモニカは、親が感心するほど素直で心根が優しい子だった。人を疑うという発想を、持っていないのかというほどに。
でもそれは過去の事。自分を守ってくれる両親はもういないのだ。
売り言葉に買い言葉で頼れる人がいるとクラウディオに言い切ってはみたけれど、そんな人はこの世に存在しない。
だから自分の身は自分で守らなければならないし、一つの過ちが取り返しの付かない事態になるかもしれない。
といっても、片思い相手から家に来ないかと言われ、喜ばない女の子はいないだろう。
モニカとて、まだ微かに嬉しい気持ちが残っている。
けれど必死に訴えた案件を村長に揉み消されたという事実は、思っていた以上にモニカの心に傷を作った。
そして、こちらの言い分を聞くこともせず、セリオの肩ばかりを持つ村民に対しても、モニカは地味にショックを受けていた。
そんな状態で、言葉足らずのクラウディオの申し出を黙って受け入れることなどできるわけがない。
「───…… そっか、そっか。そっかぁ」
しばらく思考の森を彷徨っていたモニカだったが、一つの結論に落ち着いた途端、無意識に言葉が溢れた。
「同じ言葉を繰り返しているが、それは私に向けてのものか?」
胡乱げにこちらを見つめているクラウディオは、とても多忙な身だ。こんな場所に、何度も足を運んで良い人ではない。
ではなぜ多忙の彼がここに来るのか。
それは、村長と同じ理由─── 砦の怠慢を揉み消すつもりなのだろう。
屋敷に来いと言ったのは、自分を監視下に置きたいため。いや最悪、口封じをする予定なのかもしれない。
「お生憎様です。私を殺しても、意味は無いですよ。上告書の移しは、信頼のおける人に預けておりますから」
「はぁ?!」
こんな流れになるとは思っていなかったのだろう。
ずっと貴族然としていたクラウディオだったが、ここで初めて素っ頓狂な声を上げた。
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