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最終面接という名の淫らなヒメゴト

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「では、お聞きします。私が処女だったら、採用してくれますか?ちなみに私は純潔です。それと、なんでこんな診察をするのでしょう。......あ、二つ質問しちゃった」

 しまったと顔をしかめたファルナに、グリジットは「構わない」と言って笑った。

 笑えば、別人のように柔らかな印象を与えることをファルナは知って、小さく息を飲む。

「では、両方答えよう。まず、君が処女であるなら採用だ。あと私は自分の目で確認しないと納得できないタチでな。まぁ、君が処女だと主張するなら、それ相応の対応をすると約束しよう。そして、君が処女である必要性は、私の本業の手伝いをするためだ」
「......本業の内容を、もう少し詳しく教えていただいても?」 

 ダメ元で尋ねたけれど、グリジットはあっさり承諾してくれた。

 ただ、聞かなければ良かったと思う内容ではあったけれど。

「私の本業は、夜の薬を開発することだ。つまり、医者というよりは研究者だ」
「......夜の......薬とは?」
「見も蓋も無い言い方をするなら、男女の営みを楽しくスムーズにする薬だ」
「なっ!!!!」

 文字通り見も蓋も無い説明を受けて、ファルナは驚愕した。

 だがグリジットは、どうやら別の意味にとらえてしまったようで、頼んでもいないのに補足する。

「安心したまえ。君に手伝ってもらいたいのは、初夜を迎える男女のための薬。もっとはっきり言ってしまうと、挿入までの補助をする薬。挿入後に楽しむための薬ではないから、性行為まで求めない。つまり手伝いはしてもらうが、君の純潔は保たれる」
「......そう......ですか」
「ああ、そうだ。心配いらない」

 心配で不安要素しか見つからない説明を受けてしまったファルナは、今ここで天変地異が起こることを神に祈った。

 しかし、そう都合よく事は運ばない。

 そして質問をして、答えを聞いてしまった以上、ファルナが次にする行動は決まっている。

「では、最終面接といこうか、ファルナ嬢」
「......はい」
「ところで、君はスカートを自分でめくるかい?それとも、私にめくらせたいかい?」

(いやそれ、わざわざ聞くこと?)

 大事な説明をはしょったくせに、聞かなくても良いことはしつこく聞いてくるグリジットをファルナはジト目で睨む。

 でも、己の手はグリジットに忠実で────ファルナは、羞恥で顔を真っ赤に染めながらゆるゆるとスカートをまくり上げた。 
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