孤独なメイドは、夜ごと元国王陛下に愛される 〜治験と言う名の淫らなヒメゴト〜

当麻月菜

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最終面接という名の淫らなヒメゴト

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 ファルナこと、ファルナ・リーセットは、準男爵という末端貴族の一人娘として、ここ王都ランロットで生まれ育った。

 商才があり、そして「働くということは、人のために動くこと」をモットーとした父と、暇さえあれば花壇の手入れをして、家中を花で飾りたがる母から沢山の愛情を注がれ、何不自由することなく幸せに過ごしていた。

 しかし、それはつい先月までのこと。

 ファルナが18歳の誕生日を迎えた翌月、両親は、王都近郊に建設した靴工場の視察へ向かう途中で、事故であっけなく死んだ。

 そして、会ったこともない親戚がぞろぞろ屋敷に押し掛けて来て、財産を根こそぎ奪われ、ファルナは着の身着のまま屋敷を追い出されてしまった。

 唯一屋敷から持ち出せたのは、両親の写真が入ったロケットペンダントだけ。

 心から愛していた両親に先立たれたことすら耐えられないというのに、住むところまで奪われてしまったこの仕打ちに、ファルナはいっそ井戸に飛び込んで両親の後を追おうかと思った。

 しかし、ファルナが住まうレド国の国教では自殺は重罪。どんな理由があれ、魂の転生は許されず、永遠に地獄をさ迷うというもの。

 そんなの死んでみないとわからないし、実際に死人に聞いた訳でも無いから本当のところはわからない。

 だがしかし後追い自殺をした結果、万が一、聖典の教えが本当なら、やっぱナシと訴えることもやり直すこともできない。ガチの地獄が待っている。

 こっちは地獄に行きたいわけではなく、優しかった両親の元に行きたいだけ。なのに、そんな結末は嫌だ。自分がかわいそう。

 ......というわけでファルナは自殺を踏みとどまった。......というか、先伸ばしにした。

 そして所持金ゼロのまま、職を求めて街を歩いた。







  
「─── 急募、家庭教師。ただし経験者のみ。......無理だな。じゃあ、こっちは......皿洗いならできる、たぶん。でも、こっちも経験者のみかぁ。って、皿洗いに経験、未経験って関係あるのかな。あ、未経験歓迎のお運びの仕事がっ......でも、お仕事は春からかぁ......」

 ファルナは街の掲示板を見ながら、ぶつくさ呟く。

 職なんて探せばいくらでもあると思っていたけれど、現実は甘くなかった。

 もちろんここは王都。求人はたくさん掲示板に張り出されている。しかし、ファルナの条件を満たす求人は見当たらなかった。

 ファルナが求めているのは、住み込みで、賄いつき。そんでもって手に職の無い自分でも働けるお仕事。賃金は二の次、三の次。とにかく間近に迫った冬を越せれば、それでいい。

 求職条件は、かなり譲歩している。そして本来なら、その程度の仕事なら街の掲示板に張り出されているのが日常だ。

 しかし、季節は晩秋。レド国の冬は厳しいため、出歩く人々は少なく、まるで巣籠もりのような生活を送っている。

 そのため雇い主はどんなに人手不足であっても、よっぽどのことが無い限り春先までは求人を控えるのが、毎年のこと。

 ファルナも王都で生まれ育ったのだから、その辺の事情は今さら誰に聞かなくてもわかっている。

 けれども状況が状況だけに、ちょっぴり期待してしまったことは致し方ない。そして、期待外れの現実に肩を落としてしまうのも。

「あー......お腹すいた」

 キュルルと小さく鳴く自分のお腹をさすりながら、ファルナは再び掲示板に目を向けた。
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