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【夜の治験 初級編】 そうして始まるメイドとしての日々
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すぐに終わると言ったグリジットだけれど、一向に仕事の手を止める気配は無い。
(……私、もしかして忘れられている??)
ファルナはそんな不安を抱えつつ、音を立てないように気を付けながらお茶を飲む。
ちなみにこのお茶は、ついさっきグリジットが淹れてくれたもの。
つまり数分前まではグリジットの中に、自分の存在は確かにあった。ただその数分で、仕事に熱中するあまり自分のことを忘れてしまったのかもしれない。
でもグリジットの背中は妙に緊張感が漂っているから、安易に声を掛ける勇気はファルナには無い。
ただただ大人しくお茶を飲む。余談であるが、グリジットの淹れてくれたお茶は初めて飲む味だ。ちょっとクセがあるけれど、ほのかに甘くてとても美味しい。……でも、暇だ。
ここはグリジットの仕事部屋。別名、診察室。
患者さんの処置をするここは当然ながら薬品を置いているし、徹底的に清潔にしないといけないのでグリジットが管理している。通いの専門家が掃除をしているらしい。
つまりこの部屋の掃除は、ファルナのお仕事に含まれていない。
そしてファルナは持病も無ければ怪我もしていないので、診察室にお邪魔するのは今日で二度目だったりする。
部屋に充満する独特の消毒薬の匂いは良い香りとは言えないけれど、でも病院と縁が薄いファルナにとって新鮮な光景でもあった。
だから、つい辺りをじろじろ見てしまう。だって、暇だから。見るなと言われていないから。
そんな言い訳を心の中で呟きながら、白を基調にした部屋をぐるりと見渡す。残念ながらその暇つぶしは5秒で終わった。今度はこっそり足をぶらぶらさせてみる。暇つぶしの最終形態だ。
ただ、この辺りでファルナは己の異変に気付かなければならなかった。
あんなにガッチガチに緊張していたのに、今は自分でもどうかな?と思うほどリラックスしている。
それはグリジットに放置されているせいでもあるが、ついさっき飲んだお茶に何かしらの成分が含まれている可能性が高い。
……いや、高いというか正にその通りなのだけれど、もう既にファルナはこの状態がおかしいとすら気付けない。ただただ身体がふわふわとして、心地よくて、自然に口元が緩んでしまう。
そんなふうにファルナが完全にリラックスしたのを待っていたかのようにグリジットの手が止まった。次いで、椅子から立ち上がりファルナの元に足を向ける。
「お待たせ、ファルナ。遅くなってすまなかった」
「ふふっ、いいえ。全然平気です」
にこっと笑ったファルナは、メイド然した儀礼的な笑みでは無かった。こちらがつい釣られて微笑んでしまいそうな無邪気なそれ。
「では、始めようか」
「はい」
即座に頷いたファルナの頬に、グリジットは手を伸ばす。
これまで見たことが無いほど艶やかな笑みを浮かべて。
(……私、もしかして忘れられている??)
ファルナはそんな不安を抱えつつ、音を立てないように気を付けながらお茶を飲む。
ちなみにこのお茶は、ついさっきグリジットが淹れてくれたもの。
つまり数分前まではグリジットの中に、自分の存在は確かにあった。ただその数分で、仕事に熱中するあまり自分のことを忘れてしまったのかもしれない。
でもグリジットの背中は妙に緊張感が漂っているから、安易に声を掛ける勇気はファルナには無い。
ただただ大人しくお茶を飲む。余談であるが、グリジットの淹れてくれたお茶は初めて飲む味だ。ちょっとクセがあるけれど、ほのかに甘くてとても美味しい。……でも、暇だ。
ここはグリジットの仕事部屋。別名、診察室。
患者さんの処置をするここは当然ながら薬品を置いているし、徹底的に清潔にしないといけないのでグリジットが管理している。通いの専門家が掃除をしているらしい。
つまりこの部屋の掃除は、ファルナのお仕事に含まれていない。
そしてファルナは持病も無ければ怪我もしていないので、診察室にお邪魔するのは今日で二度目だったりする。
部屋に充満する独特の消毒薬の匂いは良い香りとは言えないけれど、でも病院と縁が薄いファルナにとって新鮮な光景でもあった。
だから、つい辺りをじろじろ見てしまう。だって、暇だから。見るなと言われていないから。
そんな言い訳を心の中で呟きながら、白を基調にした部屋をぐるりと見渡す。残念ながらその暇つぶしは5秒で終わった。今度はこっそり足をぶらぶらさせてみる。暇つぶしの最終形態だ。
ただ、この辺りでファルナは己の異変に気付かなければならなかった。
あんなにガッチガチに緊張していたのに、今は自分でもどうかな?と思うほどリラックスしている。
それはグリジットに放置されているせいでもあるが、ついさっき飲んだお茶に何かしらの成分が含まれている可能性が高い。
……いや、高いというか正にその通りなのだけれど、もう既にファルナはこの状態がおかしいとすら気付けない。ただただ身体がふわふわとして、心地よくて、自然に口元が緩んでしまう。
そんなふうにファルナが完全にリラックスしたのを待っていたかのようにグリジットの手が止まった。次いで、椅子から立ち上がりファルナの元に足を向ける。
「お待たせ、ファルナ。遅くなってすまなかった」
「ふふっ、いいえ。全然平気です」
にこっと笑ったファルナは、メイド然した儀礼的な笑みでは無かった。こちらがつい釣られて微笑んでしまいそうな無邪気なそれ。
「では、始めようか」
「はい」
即座に頷いたファルナの頬に、グリジットは手を伸ばす。
これまで見たことが無いほど艶やかな笑みを浮かべて。
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