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閑話① 確かな温もりと雨の音
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「雨の日以外にも、眠れない夜はあったのか?」
ざあざあと窓を叩き付ける雨の音が響く中、グリジットが低い声で尋ねた。
「……はい」
お茶にお酒が含まれているせいか、ファルナはさほど抵抗なく答えることができた。
「困った奴だな」
「それは私のことでしょうか?」
「それ以外に誰がいる?ここには私と君、二人っきりしかいないのに。幽霊でもいるのか?」
両親が化けて出てくれるのなら大歓迎だが、それ以外は全力でお断りしたいファルナはぶんぶんと音がするほど首を横に振った。
「いません!あと、幽霊の話はやめてください。話をするだけで出てくるらしいですからっ」
「そんなもん出てくるか」
呆れた口調でグリジットは言うが、そもそもこんな会話になったのは彼がきっかけだ。
だから、なんだか腑に落ちない。あとグリジットが、自分よりもっと腑に落ちない顔をしているのも、腑に落ちない。
「つまり……寝れないならここに来れば良かったんだと私は言いたかったんだ」
ジト目で睨むファルナに向け、グリジットはため息交じりに言った。
対してファルナは信じられないといった感じで目をクリクリさせる。
「来て良かったんですか?」
「当たり前だ」
「お手伝いをする日じゃなくても?」
「ああ」
「じゃあ、今日もそうすれば……」
「良かったんだ」
口ごもってしまったファルナの言葉を引き継ぐように、グリジットはきっぱりと言い切った。太陽は東から昇るのだというニュアンスと全く同じ確固たる何かを持って。
「……そっかぁ……お酒の力なんて借りずに、ここに来れば良かったんだ」
グリジットが紡いでくれた言葉を3回心の中で反芻してから、ファルナはしみじみと呟く。
ただ、ここで一つ疑問が生まれる。
「あの……先生。もし私が眠れなくって突然ここにお邪魔したら何をしてくれますか?」
率直に問うたファルナに、グリジットはふわりと笑った。
「何でもしてあげよう。温かいお茶を淹れてあげるし、話し相手にだってなる。酒は飲ませてやれないが、甘い菓子なら幾らでも。それから……」
「それから?」
「君が望むなら、添い寝だってする」
「……っ」
恥ずかし気も無くそんなことを言ってくれるグリジットに、ファルナの頬は赤くなる。多分、お茶に入っていたお酒のせいだ、きっと。そうに違いない。
ただそんなふうに自分に言い聞かせても、赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくて、ファルナはカップを持ったまま両手で頬を隠す。
「何を照れてるんだ?ここで何度も寝てるだろう?」
「あれはっ……いえ、な、なんでも」
初めてのお手伝いから半月。その間、ファルナは数日おきに、グリジットの夜のお薬の研究を手伝っている。そして、そのまま寝てしまうのがデフォルトになりつつある。
けれど、今日はお手伝いでもなんでもない日。
だから真顔でそんなことを言われてしまえば、思い出したくなくても数日前のアレコレを思い出すのは致し方無いことで。
そして更に顔が赤くなるのも止められなかった。
ざあざあと窓を叩き付ける雨の音が響く中、グリジットが低い声で尋ねた。
「……はい」
お茶にお酒が含まれているせいか、ファルナはさほど抵抗なく答えることができた。
「困った奴だな」
「それは私のことでしょうか?」
「それ以外に誰がいる?ここには私と君、二人っきりしかいないのに。幽霊でもいるのか?」
両親が化けて出てくれるのなら大歓迎だが、それ以外は全力でお断りしたいファルナはぶんぶんと音がするほど首を横に振った。
「いません!あと、幽霊の話はやめてください。話をするだけで出てくるらしいですからっ」
「そんなもん出てくるか」
呆れた口調でグリジットは言うが、そもそもこんな会話になったのは彼がきっかけだ。
だから、なんだか腑に落ちない。あとグリジットが、自分よりもっと腑に落ちない顔をしているのも、腑に落ちない。
「つまり……寝れないならここに来れば良かったんだと私は言いたかったんだ」
ジト目で睨むファルナに向け、グリジットはため息交じりに言った。
対してファルナは信じられないといった感じで目をクリクリさせる。
「来て良かったんですか?」
「当たり前だ」
「お手伝いをする日じゃなくても?」
「ああ」
「じゃあ、今日もそうすれば……」
「良かったんだ」
口ごもってしまったファルナの言葉を引き継ぐように、グリジットはきっぱりと言い切った。太陽は東から昇るのだというニュアンスと全く同じ確固たる何かを持って。
「……そっかぁ……お酒の力なんて借りずに、ここに来れば良かったんだ」
グリジットが紡いでくれた言葉を3回心の中で反芻してから、ファルナはしみじみと呟く。
ただ、ここで一つ疑問が生まれる。
「あの……先生。もし私が眠れなくって突然ここにお邪魔したら何をしてくれますか?」
率直に問うたファルナに、グリジットはふわりと笑った。
「何でもしてあげよう。温かいお茶を淹れてあげるし、話し相手にだってなる。酒は飲ませてやれないが、甘い菓子なら幾らでも。それから……」
「それから?」
「君が望むなら、添い寝だってする」
「……っ」
恥ずかし気も無くそんなことを言ってくれるグリジットに、ファルナの頬は赤くなる。多分、お茶に入っていたお酒のせいだ、きっと。そうに違いない。
ただそんなふうに自分に言い聞かせても、赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくて、ファルナはカップを持ったまま両手で頬を隠す。
「何を照れてるんだ?ここで何度も寝てるだろう?」
「あれはっ……いえ、な、なんでも」
初めてのお手伝いから半月。その間、ファルナは数日おきに、グリジットの夜のお薬の研究を手伝っている。そして、そのまま寝てしまうのがデフォルトになりつつある。
けれど、今日はお手伝いでもなんでもない日。
だから真顔でそんなことを言われてしまえば、思い出したくなくても数日前のアレコレを思い出すのは致し方無いことで。
そして更に顔が赤くなるのも止められなかった。
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