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【夜の治験 中級編】 メイドは見た。ご主人様のアレを

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「───……よし、これで良いだろう」

 乾き具合を確認する為にファルナの髪に手を入れたグリジットは、満足そうにそう言った。

 それからタオルを適当な場所に置いて、ファルナの手を取る。

「じゃあ、ベッドに行こうか」
「は、はい」

 耳元で囁かれたグリジットの声は低く掠れていて、ファルナはトクンと心臓が鳴った。

 ここだけの話、今日、グリジットの呼ばれたことに対して、ファルナはお仕事以上の気持ちを持っている。

 ずっと触れて欲しかったのだ。彼のほっそりとしていながらも、男らしいごつごつとした指で、熱い舌で。

 これがお仕事の一貫であるとわかっていても、ファルナは待ち望んでいた。

「ファルナ、寝間着を脱ごう。こちらを向いて」
「……はい」

 気持ちとは裏腹に返事に間を置いてしまったのは、身体がもう既に反応してしまっているから。

 ファルナはもう、無垢ではない。異性に触れられる悦びを知っている。

 そして悦びを知ってしまった身体は、まだ何も始まっていないというのに、胸の先端はつんと尖り、足の間がもう熱を帯びている。

 心と違って、身体はとても素直だ。言い換えれば、どれだけ頭の中で言い訳を並べ立てても、誤魔化しができない。

(淫乱って思われたら嫌だな……)

 ベッドの前で足を止めたグリジットの手によって寝間着のリボンが解かれ、身体の線をなぞるようにゆっくりと床に落ちていく。

 部屋はほどよく明るい。恥ずかしさのあまり、つい目を閉じてしまったけれど、グリジットの目にはしっかり自分の姿が映っているのだろう。

 そう考えれば考えるほど、ぞくぞくと何かがこみ上げてくる。

「……せんせ」
「ああ、行こう」

 沈黙が怖くなって、ファルナはグリジットの白衣の袖を掴んでベッドに腰掛ける。

 そうすればそっと肩を抱かれ、そのまま仰向けに寝かされる。

 しかし普段なら、そのまま足を開かれ陰部に薬を塗られるのだが、今日は違った。

「ファルナ、今日はちょっと違うことを試してみて良いかい?」

 仰向けに寝そべったファルナに覆い被さりながらグリッドは、優しく問いかける。

「せんせ……それは……痛い事ですか?」
「まさか。それだけは絶対にしない。約束するから安心しなさい。……今日やることは、きっとこれまで以上に気持ち良くなれることだ」

 コクリ。浅ましくも、ファルナの喉が鳴った。
 
「ファルナ、初めても良いかい?」

 具体的にどんなことをするのか聞いていないのに、ファルナは即座に頷いた。

 そんな従順で愛らしい治験者に、グリッドは淫猥に笑った。
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