5 / 20
健気なΩは公爵様に愛される。
朝
しおりを挟むそのまま一夜を越してしまったのだろう。いつぶりだろう。こんなによく眠れたのは。カーテンの隙間から白いベールとなって射し込む朝日。こんなにすがすがしい朝など初めてだった。夢でも良いからもう少しこの気分を味わっていたい。そう思って寝返りを打とうと反対側を向いた。
「っえ?!あっ!?ど、うして?」
なんと俺の横には知らない金髪の美形がすやすやと寝ていたのだ。
思わず大声をあげてしまったことに気づき、口をとっさに押さえる。けれど遅かったようだ。
その美しい顔は眉を歪め、すうっとまぶたを開けた。エメラルドグリーンの瞳に長い睫毛、朝の光に輝く金色の髪はまるで絹のようになめらかだった。うっとりと見入ってしまっていた。が、それもつかの間。急に腕を引っ張られてベットに沈まされる。そのまま腕の中に抱きくるめられ、身動きがとれなくなってしまった。
「えっ、ちょっ!!なにして、!」
「んぁぁ…うるさい……もうちょっと寝ろ……」
朝の色気の漏れ出すこの男に胸が高鳴りながらも少し抵抗してみるがこの体格差では勝てるわけないと思い直して抵抗をやめる。そのまま隣の男の寝息を子守歌に自分もまた、眠りについた。
次に起きたときにはもう太陽も南に登りきり一緒に寝たはずのあの男も消えていた。
さすがにずっと眠っているわけにもいかずに身体を起こしてみる。
すると、ドアのそばにあの黒いコートの男が立っていた。
「起きたんだな。よく寝ていたぞ。」
そういって冷たい水を差しだしてくれる。その水を飲むと頭が幾分すっきりした。
優しく頭を撫でてくれてどうも悪い人ではなさそうだと、勝手に判断する。
「あの…俺ってどうしてここにいるんですか?訳も知らされずあんなところに連れて行かれて……」
「あぁ、それを知らせる前に自己紹介だな。俺は王宮騎士団長アレクサンドロス レイモンドだ。昨日はお忍びがてらに街を見回っていたのだが、裏路地で怪しい動きを見かけてな、それを追っていた。
そこであのオークション会場に着いた。昨日売られていたものはおまえ以外は物だったからよかったのだが、聞き取り調査をしたところ美しいΩが売られるときいた。Ωは国で規制されている数少ない貴重性別だ。失うわけにはいかない。そう思って十億アイズでおまえを買った。分かったか?」
一気にいろんなことがはなされて聞き取るのにも苦労したが王宮騎士ということはあの憎いあいつからは抜け出せたということだ。それに対しての安心が胸を突いてでた。
「じゃあ…俺は自由ってことですか…?」
「あぁ、一応そうなる……んだが、今日からお前ここで働かないか?」
「えっ?」
急なことでびっくりしたが王宮騎士様の配下にいればひとまずは安心できる。そう思って承諾してしまった。
しかし、承諾したのが間違いだったのか…。この王宮騎士のレイモンドが提示した俺の仕事。それは、このレイモンドの夜の相手だった。あわてて断ったがレイモンドは自分が十億アイズで買った以上俺の人権は自分のものだと主張してきた。そして解放されたいなら十億アイズをはらえと。
そんなこと、絶対にできるわけがない。これは立派な脅迫だ。
「俺そんなこと一回もしたことないし…!貴重なΩじゃなかったんですか?」
「あぁ、Ωはとても貴重だ。αと番を成し子を作るべきだ。だから俺と番になればいいんだ。」
「えっ?αなんですか?」
「あぁ、そういうわけだ。だから俺に黙って抱かれていろ」
強引な言葉になぜか胸の高鳴りを感じるも、そんなことを言われてもはい、とも答えられない。だが十億アイズなんてそんな一生かかっても支払うことはできない。俺には頷く以外に道はなかった。
「安心しろ。俺は優しい。未貫通だと聞いたからな。今日の夜にでも。」
「っえ?!もうするんですか?!」
「まあ、早い方がいいだろう。だがヒートの時はダメだ。」
「え?でも子供作るんじゃないんですか?」
「欲しいのか?…いやまあ、それでもいいんだがヒートの時は俺も手加減できるか分からない。きっと獣の交尾のように孕ませるということしか考えられなくなるからな。」
「…っ、じゃあ…最初はヒートの時以外でお願いします…」
「あぁ、そうしよう。だが、その前におまえのその貧相な身体をどうにかしないとな。顔はよくてもこんなに細いんじゃ折ってしまわないかと心配になる。」
そういってレイモンドは僕をまたお姫様だっこで抱えるとどこかへ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる