健気なΩは公爵様に愛される。

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健気なΩは公爵様に愛される。

国王

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王宮の大理石の長い廊下を歩いて奥の謁見の間まで早足で歩く。
少しでも早く帰りたいというこれまでには経験したことのない思いがスピードを早くする。

「王様。騎士団長アレクサンドロスが参りました。」

呼びかけるとすぐに大きなドアが開いた。

「こんな時間にどうされたのですか?」

奥で座る王に向かって少し怒った風に呼びかける。

「そう怒るなって!大事な話があるから呼んだんだよ!」

疑わしい目を向けるも王は話を続けた。

「話というのはこの前の皇国使者団との話し合いで決まった皇太子の訪問のことだ。発表した通り、ヒルトン皇太子が一週間後に来られる。しかし今日来た知らせによると第一皇女であるアリア皇女もこられることになったらしい。そしてアリア皇女はΩである。こちらとしては断る理由もなく承諾した。どういうことだか分かるな。」

「はい。これはエクセルシオール王国とハルトニア皇国との同盟を組もうという動きですね。しかし陛下は結婚して番がおられる。ということは狙うのは唯一の王国公爵であるアレクサンドロス家。つまり、私との縁談
ということですね。」

「ああ。急なことだが王の私からしてみればこれは願ってもないことだ。ハルトニア皇国とはいがみ合いなどしたくはない。だから良縁になることを祈っている。」

この王は王国のことをいつも考えて動いている。親友としてそれは誇りに思えることであり、これからもそういう風に国政をしていってほしいと思っている。国のため。親友のために嫁を娶るのはそういやなことでもない。そう思っていたはずだった。けれど心の中ではアルベルトの寝顔、チェスをしたときの笑顔が思い浮かんでしまう。
謁見の間を去ろうとしたその時。

「レイモンド。」

そう名前で呼ばれた。騎士団長ではなくレイモンド、と呼ぶとき。それは友としての言葉を送るときだ。

「王としての俺はもちろん国の安泰を願っている。それに嘘はない。だが、友としてお前の幸せを願っていることも、覚えていてくれ。」

と。
謁見の間をでて、夜風に当たろうとベランダに出る。これから騎士団としての仕事が増えるためアルベルトには再々会えないだろうとは思っていた。しかし、もっと面倒なことに巻き込まれたと今更ため息が出る。
レイモンドはゆっくりと月を見上げ、今頃すやすやと寝ているだろうアルベルトのことを思いながら夜風に吹かれていた。
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