健気なΩは公爵様に愛される。

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健気なΩは公爵様に愛される。

舞踏会

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舞踏会当日になり、朝からアルベルトはこれまでに選んだ礼服とアクセサリーなどをリリカにつけてもらっていた。母親譲りの美しい顔に栗色の礼服がよく似合う。
Ωっぽい女顔だからか、メイドたちやカイリからはかわいい、なんて男として屈辱的な言葉が飛んでくる。

「似合ってますよ!アルベルト様!しっかり護衛しないとそこらの不審者に連れて行かれそうですw」

なんてふざけてカイリが笑う。
これまで着たこともない煌びやかな服装に動きにくさと違和感を感じつつも、レイモンドが見たらなんて言うんだろう、なんて考えてしまう。けれど今日の相手はレイモンドではないのだ。レイモンドは朝早くに会場に向かった。同じ場所に行くのに一緒には行けないようだ。仕方ないと思う反面、やはり寂しいなんて思ってしまう自分がいた。

「似合うな。」

急に横から声がしてレイモンドかと思い期待を込めて振り向く。
けれどそこにはレイモンドではなく真紅の礼服を着たアンドレが立っていた。

「アンドレ様!今日はよろしくお願いします。」

丁寧にお辞儀をするも途中で顎を引かれる。

「おいおい、今日はパートナーなんだからもっと自然体でいかないとな!」

そういってアルベルトの手を取ると跪いて手の甲にキスを落とす。
きっとアンドレのように美形でかっこいい男にエスコートされて落ちない者などいないだろうと思う。
しかしアルベルトはどこか片隅でこれがレイモンドだったらと考えてしまう。

「っと、もう行かねぇと遅れるぞ。」

そういって手を引いたまま馬車に乗り込んだ。
公爵邸から王宮まではそう遠くなく、十分程で馬車が止まった。

「さあ、お姫様。エスコートさせていただきますよ。」

アンドレがそうふざけながらアルベルトの手を取った。
そのまま手を引かれ王宮の階段を上っていく。
廊下には彫刻や絵画が飾られており、芸術なんて接点もなかったアルベルトでもすごさが分かるようなものばかりだった。

「うわぁ…すごい…。王宮ってすごくキラキラしてるんですね!」

注目されてはまずいと声を抑えながらアンドレに話しかける。

「ああ、けどこんな彫刻などよりもアルベルトの方が美しいよ。」

アンドレはそう言ってウインクをする。何も知らない令嬢ならばもう墜ちていたところだが、彼の本性を知っているアルベルトは軽く苦笑いをしてかわす。
そうこうしている間にメインホールの階段まできた。護衛兵に名前を告げてリストのチェックを受ける。
そしてまたアンドレにエスコートされながらメインホールの階段を降りていく。
下まで降りきると一気に人が集まってきた。二人の方に、というよりはアンドレの方に。
アンドレはステラ侯爵家の時期当主であり副騎士団長、そして誰もが目を惹かれるその美貌で舞踏会では人気者だ。いつの間にかアンドレと距離が開き、輪の外に押し出されてしまう。
ひとりでメインホールの真ん中にいるのも忍びなく、ホールの隅のソファに座る。
初めて見る王宮の舞踏会。紳士的な礼服の男性と、扇子をもち煌びやかな服装に身を包んだ女性たちが愛想良く笑っている。けれど、その中にレイモンドは見当たらない。

(先に行ったって聞いたからもういてもおかしくないのに…)

そう思いながらあたり一面を見回す。
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