16 / 20
健気なΩは公爵様に愛される。
胸の痛み
しおりを挟む
舞踏会で倒れた俺はどこかのベッドで目を覚ました。
「おっ!目ぇ覚ましたか?急に倒れてびっくりしたぞ!気分悪いなら最初から言っとけって。」
「すいません…。急にめまいがして…。」
「まあ、いい。ここはステラ侯爵邸だ。レイモンドはまだ舞踏会だろうが、今日はここに泊まっていけ。」
そう言ってアンドレは食事をおいて部屋を出て行った。まだ舞踏会が終わってないと言うことは、俺が倒れたせいでパートナーだったアンドレも帰ることになったのだろう。それを思うと申し訳なくなる。
一人になったせいで余計にレイモンドのことを考えてしまう。どうして俺にアリアのパートナーをする事を言わなかったのだろうか。そう考える。でもそれは俺に言うことではない。だって俺は別にレイモンドと結婚しているわけでも番っているわけでもない。ただ保護されたΩだということだけだ。
舞踏会に出したのももしかしたら自分の立場を分からせるためだったのかもしれない。身体を繋げたからって、特別な存在になれたわけではないと分からせるためだったのかもしれない。もしそれが狙いならば十分に伝わった。別に自分は特別だなんて思ったことはない。だけど、心のどこかでこんなレイモンドは自分しか知らないのでは、なんて思っていた。そんな優越感に浸っていたからなのか、なぜか想像以上に傷ついてしまう。
そんな終わりのない自問自答を繰り返していた。
「おい、晩飯食べねぇのか?」
急に声がしてアンドレ腕を組んで立っていた。
「すいません…今日食欲がなくて…。」
「いや、いいけどよ。お前、レイモンドと何かあったのか?」
急に悩みの核心を突かれ驚きが隠せない。
「お前、無意識なのか?ずっとレイモンドレイモンドって呟いてるし。」
「っえ…!俺、声にでてましたか?!」
「おう。だけどよ、明日はレイモンドがパートナーなんだろ。大丈夫なのか?」
アンドレに言われて明日はレイモンドと踊ることを思い出す。けれど、俺なんかがレイモンドとパートナーなんて、絶対に釣り合わない。それに、一番はこんな気持ちでレイモンドに会って笑顔で踊るなんて辛すぎる。
「明日も…俺と踊るか…?」
沈んだ顔をしていた俺にアンドレがそう言った。きっと悩んでいるのを見越してそう言ってくれたのだろう。
けれど、なぜかその提案に頷くことはできなかった。それは、二日目は一緒に居ると言ってくれたレイモンドに悪いような気がしたからなのか?答えは分かっていた。
いつの間にかレイモンドと一緒にいたいと思ってしまっていたからだ。
気づいてしまったこの胸の痛みがもっと痛くなって、苦しくなる。
これは、恋なのだと。
けれど、自分が横にいては行けないのだ。レイモンドは皇女様と結婚する。だからこの気持ちは捨てなければいけない。だから明日で最後にする。明日はどんな嫌なことがあっても、どんなに嬉しいことがあっても、それで最後。
明日限りで公爵家を出る。元々はどうせ奴隷として売られていたΩで、都合よくレイモンドに拾われただけなのだ。
街のどこかで働かせてもらおう。母さんを看病していたから大抵のことはできる。
ずきずきと痛む胸を必死に偽りながら眠りについた。
「おっ!目ぇ覚ましたか?急に倒れてびっくりしたぞ!気分悪いなら最初から言っとけって。」
「すいません…。急にめまいがして…。」
「まあ、いい。ここはステラ侯爵邸だ。レイモンドはまだ舞踏会だろうが、今日はここに泊まっていけ。」
そう言ってアンドレは食事をおいて部屋を出て行った。まだ舞踏会が終わってないと言うことは、俺が倒れたせいでパートナーだったアンドレも帰ることになったのだろう。それを思うと申し訳なくなる。
一人になったせいで余計にレイモンドのことを考えてしまう。どうして俺にアリアのパートナーをする事を言わなかったのだろうか。そう考える。でもそれは俺に言うことではない。だって俺は別にレイモンドと結婚しているわけでも番っているわけでもない。ただ保護されたΩだということだけだ。
舞踏会に出したのももしかしたら自分の立場を分からせるためだったのかもしれない。身体を繋げたからって、特別な存在になれたわけではないと分からせるためだったのかもしれない。もしそれが狙いならば十分に伝わった。別に自分は特別だなんて思ったことはない。だけど、心のどこかでこんなレイモンドは自分しか知らないのでは、なんて思っていた。そんな優越感に浸っていたからなのか、なぜか想像以上に傷ついてしまう。
そんな終わりのない自問自答を繰り返していた。
「おい、晩飯食べねぇのか?」
急に声がしてアンドレ腕を組んで立っていた。
「すいません…今日食欲がなくて…。」
「いや、いいけどよ。お前、レイモンドと何かあったのか?」
急に悩みの核心を突かれ驚きが隠せない。
「お前、無意識なのか?ずっとレイモンドレイモンドって呟いてるし。」
「っえ…!俺、声にでてましたか?!」
「おう。だけどよ、明日はレイモンドがパートナーなんだろ。大丈夫なのか?」
アンドレに言われて明日はレイモンドと踊ることを思い出す。けれど、俺なんかがレイモンドとパートナーなんて、絶対に釣り合わない。それに、一番はこんな気持ちでレイモンドに会って笑顔で踊るなんて辛すぎる。
「明日も…俺と踊るか…?」
沈んだ顔をしていた俺にアンドレがそう言った。きっと悩んでいるのを見越してそう言ってくれたのだろう。
けれど、なぜかその提案に頷くことはできなかった。それは、二日目は一緒に居ると言ってくれたレイモンドに悪いような気がしたからなのか?答えは分かっていた。
いつの間にかレイモンドと一緒にいたいと思ってしまっていたからだ。
気づいてしまったこの胸の痛みがもっと痛くなって、苦しくなる。
これは、恋なのだと。
けれど、自分が横にいては行けないのだ。レイモンドは皇女様と結婚する。だからこの気持ちは捨てなければいけない。だから明日で最後にする。明日はどんな嫌なことがあっても、どんなに嬉しいことがあっても、それで最後。
明日限りで公爵家を出る。元々はどうせ奴隷として売られていたΩで、都合よくレイモンドに拾われただけなのだ。
街のどこかで働かせてもらおう。母さんを看病していたから大抵のことはできる。
ずきずきと痛む胸を必死に偽りながら眠りについた。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる