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健気なΩは公爵様に愛される。
ダンス
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着替えをしてアンドレが持ってきてくれた朝食を食べた。アンドレには迷惑をかけた。もう会うことはないだろうと思う。これからはこういう場所とは無縁に生きていく。そう決めたから。
「アンドレ様。昨日から迷惑ばかりかけて、本当に申し訳ありませんでした。もう大丈夫です。」
そう言って深くお辞儀をした。こんなものでは恩は返せないが感謝だけでも最後に伝えておきたい。
そんな思いで礼を言い外に待っていたアレクサンドロス家の馬車に乗る。
馬車に乗って二日目の会場である、王宮の中庭へ向かう。入り口には、レイモンドが待っていた。
「昨日はアンドレのところに泊まったらしいな。何も……、いや、大丈夫だ。体調は大丈夫か?」
「はい。アンドレ様が気にかけてくださって、おかげさまで収まりました。」
何かを聞きかけてレイモンドは口に出すのをやめる。
少し気になるがレイモンドとの最後の時間だ。できるだけ楽しくしたい。
そう思いながら差し出された手を取り会場へ入る。
会場に居た者たちは少しざわついた。それはなぜかなんて分かっている。
昨日はアリア皇女のエスコートをしていたレイモンドがこんな薄汚いΩなんかをつれているからだ。
分かってはいたがレイモンドを狙う令嬢がアルベルトの方を睨む。
けれどその中に一際鋭い視線があった。
視線の先には沢山の取り巻きを連れた着飾った令嬢がいた。レクスから教わった貴族リストには載って居なかったので仕方なくレイモンドに聞いてみる。
「レイモンド様、あの女性方の中心にいらっしゃるのはどなたですか?」
「あぁ、あの令嬢はアイシャ クラウド。クラウド伯爵家の一人娘だ。それと、その横がナリア ケイシス。ケイシス男爵家の次女だな。」
「クラウド伯爵家…。レイモンドの貴族方の婚約者候補…。」
ボソッと呟いた筈だったがその声はレイモンドに聞かれていた。
「なんだ、そんなこともレクスに聞いたのか。お前には必要ない情報だろ。忘れろ。」
確かにその通りだ。どうせ今日の夜には公爵家を去ってもうレイモンドには会わないのだ。だから覚えておく必要もない。
そして二日目のダンスが始まり、レイモンドと二人で真ん中に躍り出た。
レイモンドに恥をかかせないようにきついダンスレッスンを頑張った。もしかしたら誉めてくれるかもと一生懸命にマナーや勉強をした。
けど、それももうおしまい。たったの一週間。だけど、大切な思い出。一生の思い出。
そんな事を考えてしまってワルツの最中に涙が滲む。今更覚悟が鈍った訳でもないのに涙が溢れてくる。
「どうしたんだ?!アルベルト!なぜ泣いている?!」
急に泣き出して驚いたレイモンドがとっさにダンスの輪の中から外れて座らせてくれる。
けれど、レイモンドに公爵家を出ることを伝えてはならない。優しいレイモンドは可哀想なΩを引き留めてしまう。それじゃだめだ。溢れ出す涙を必死に堪えて笑顔を向ける。
「何でもないです!目にゴミが入っただけなので!」
苦し紛れの言い訳だがそういうしかない。
「ほんとに何にもないんです!…っ、そのっ、飲み物をもってきてください!」
この場にレイモンドが居ると泣いてしまう。一人になりたくてはそう言った。
「あ、あぁ。踊って喉が乾いただろう。飲み物を取ってくる。」
レイモンドは怪しみながらもフードコーナーの方へ歩いていった。
「アンドレ様。昨日から迷惑ばかりかけて、本当に申し訳ありませんでした。もう大丈夫です。」
そう言って深くお辞儀をした。こんなものでは恩は返せないが感謝だけでも最後に伝えておきたい。
そんな思いで礼を言い外に待っていたアレクサンドロス家の馬車に乗る。
馬車に乗って二日目の会場である、王宮の中庭へ向かう。入り口には、レイモンドが待っていた。
「昨日はアンドレのところに泊まったらしいな。何も……、いや、大丈夫だ。体調は大丈夫か?」
「はい。アンドレ様が気にかけてくださって、おかげさまで収まりました。」
何かを聞きかけてレイモンドは口に出すのをやめる。
少し気になるがレイモンドとの最後の時間だ。できるだけ楽しくしたい。
そう思いながら差し出された手を取り会場へ入る。
会場に居た者たちは少しざわついた。それはなぜかなんて分かっている。
昨日はアリア皇女のエスコートをしていたレイモンドがこんな薄汚いΩなんかをつれているからだ。
分かってはいたがレイモンドを狙う令嬢がアルベルトの方を睨む。
けれどその中に一際鋭い視線があった。
視線の先には沢山の取り巻きを連れた着飾った令嬢がいた。レクスから教わった貴族リストには載って居なかったので仕方なくレイモンドに聞いてみる。
「レイモンド様、あの女性方の中心にいらっしゃるのはどなたですか?」
「あぁ、あの令嬢はアイシャ クラウド。クラウド伯爵家の一人娘だ。それと、その横がナリア ケイシス。ケイシス男爵家の次女だな。」
「クラウド伯爵家…。レイモンドの貴族方の婚約者候補…。」
ボソッと呟いた筈だったがその声はレイモンドに聞かれていた。
「なんだ、そんなこともレクスに聞いたのか。お前には必要ない情報だろ。忘れろ。」
確かにその通りだ。どうせ今日の夜には公爵家を去ってもうレイモンドには会わないのだ。だから覚えておく必要もない。
そして二日目のダンスが始まり、レイモンドと二人で真ん中に躍り出た。
レイモンドに恥をかかせないようにきついダンスレッスンを頑張った。もしかしたら誉めてくれるかもと一生懸命にマナーや勉強をした。
けど、それももうおしまい。たったの一週間。だけど、大切な思い出。一生の思い出。
そんな事を考えてしまってワルツの最中に涙が滲む。今更覚悟が鈍った訳でもないのに涙が溢れてくる。
「どうしたんだ?!アルベルト!なぜ泣いている?!」
急に泣き出して驚いたレイモンドがとっさにダンスの輪の中から外れて座らせてくれる。
けれど、レイモンドに公爵家を出ることを伝えてはならない。優しいレイモンドは可哀想なΩを引き留めてしまう。それじゃだめだ。溢れ出す涙を必死に堪えて笑顔を向ける。
「何でもないです!目にゴミが入っただけなので!」
苦し紛れの言い訳だがそういうしかない。
「ほんとに何にもないんです!…っ、そのっ、飲み物をもってきてください!」
この場にレイモンドが居ると泣いてしまう。一人になりたくてはそう言った。
「あ、あぁ。踊って喉が乾いただろう。飲み物を取ってくる。」
レイモンドは怪しみながらもフードコーナーの方へ歩いていった。
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