異世界転生したので俺TUEEEを期待してたら戦闘向きの能力じゃなかったので頭を捻ろうと思います。

滝永ひろ

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1章 転生したは良いものの…これでどう戦うんだあ!!

3話 計画

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ハルは倉庫の前で立ち止まった。牢屋ゾーンから声が聞こえてくる。

「あとはアダムだけか」「おいあれ見ろよハルだぜ」「あいつがアダム捕まえられるわけないじゃん」「転校生もアダムの餌食か」「まあ洗礼ってことでいいんじゃね」

...

「おいハル」

ハルはいきなり声をかけられておびえながら振り向いた。

「リック君、尾けてたんだ。ずるいなあ」

俺は牢屋のやつらに聞かれないようにハルの耳元でささやく。

「おいハル。俺と協力しないか?」

ハルに仲良し優勝ならぬ仲良し捕獲を申し出た。



「あいつの能力は…うん。なるほど。それなら…」

「でも君の能力って…それって捕獲向きじゃ…」

「大丈夫だ。でも最終的に捕まえるのはお前だ。…を集めておけ」

「うん分かった」

計画は2人納得して決行へと移った。

「行くぞ」

倉庫の中のアダムに聞かれないようにハルに囁く。

そして俺は倉庫の裏に回り、壁をすり抜けて倉庫の中へ入る。中ではアダムが扉を見つめて座っている。

こいつ時間中ずっとこの状態かよ…こいつなら有り得る。

後ろからそーっと(透過状態では音は立たないのだが)近づき、目隠しをした。

「わっ、なんだ!?急に視界が真っ暗にっ」

しめしめ。

アダムは驚いて振り返りながら扉に駆け寄った。

「なんだ、リック君じゃないか。面白いことをするな。でも捕まらないよ」

アダムが俺との間に炎の壁を張った。そう、アダムの能力は自由自在に炎を操る能力。

「無駄だぜアダム」

俺は透過状態のまま炎を通り抜けて見せた。実は結構熱い。軽減はされてそうだが、あんまり高い温度だと耐えられないだろうな。

「なんだって!?」

アダムはややオーバーに驚いた。炎を通過するやつなんて珍しくないのだろう。

「でも君の能力は外からの影響をシャットダウンするタイプのようだな。それでは俺は捕まえられないぞ」

そう言っておきながら、炎の壁を解いたのが分かった。

「今だ!!ハル!!」

するとアダムが背にしていた倉庫の扉が勢いよく開き、ハルが現れる。

「行け!!僕のヘビたち!!」

ハルの合図と同時に、草陰から蛇がアダムに向かって数匹飛び出してきた。見る人が見れば卒倒物だな。

「わわ、なんだ!?」

アダムが戸惑っている間に、ハルの蛇はアダムの四肢を拘束していた。

「やるなあ。これはリック君の案かい?」 

「ああ。ハルが小動物を操れるって聞いたから、これは使えると思ってな」

「君は不思議な魔法を持っているようだが、なかなか頭が切れるようだな」

「まあな」

「ところで、俺が君に意識を向けている間にハル君を呼ばなかったのはどうしてだ?捕まえられる可能性が下がると思うのだが」

「ああ、蛇は温度を感知しているんだ。だからアダムが火を消したタイミングじゃないと蛇が迷子になってしまう」

「そこまで考えていたか。うむ、完敗だ」

それから、アダムを牢屋ゾーンに運んだ。こいつ地味に重えんだ。

「くそう…捕まってしまったな。いやあ、リック君、ハル君、僕は嬉しいよ」

漫画の最強キャラみたいな事いいやがる…

「ざわついてんな」

「そりゃそうだよ。入学以来1年と3ヶ月の間1度も捕まらなかったアダム君が捕まったんだから」

そ…そんなことって…

「いや、捕まってしまった。転校生侮れんぞみんな。ハッハッハ」

…どーだか。蛇を焼き殺すこと位は出来たはずだが。命を無為に殺すことはしないだろうと見越しての作戦だったが、完璧ではなかった。アダム・トンプソン、お前こそ侮れないよ。

※第2セットの攻守交替ではリックが無双しました。理由は言わずもがな。
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