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1章 転生したは良いものの…これでどう戦うんだあ!!
5話 トラウマ
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アダムが俺とハルの腕をつかんで教会に駆け込んだ。
「痛い!痛いよアダム君!」
「おいアダム、落ち着け!」
俺らの声がアダムに届かない。教会に入り、扉を閉め切って、やっとアダムの正気が戻った。汗がすごい。走ったからだけではないだろう。
「いったいどうしたんだアダム。急に腕をつかんで走り出したりなんかして」
腕を見ると、俺もハルも赤く跡になっている。
「ごめん...ちょっとな」
「なんだよさっきのやつ...あいつが持ってたのって...にんげ」
「リック君!」
遮るようにハルが割って入る。ハルに目を合わせると、横に首を振った。
「なんだよ、あれ...」
「あれはミロク...」
アダムが虚を見つめたまま話し出した。
「一年と四か月前、あいつは突如としてこの町に現れた。そしてこの町の人間を次々にさらっていった。一人、また一人と、獣どもにさらわれていった。そして順番にさらった人間を人目のつくところで惨殺するんだ。同じクラスの生徒がさらわれたこともある。この町の神父だって攫われた。俺の弟も...」
アダムは視線を落とし、腕の中を覗き込んだ。
「それ以来俺は自分の魔法を磨いている。奴が来たら迎え撃てるように、そして次はだれかを守れるように」
「そっか...つらいことがあったな」
「さっきはすまなかったな。無理に手を引っ張ったりして。痛かっただろ、あとで医務室につれていくからな」
「ううん大丈夫だよ。むしろうれしい」
ハルがアダムを慰める。
「アダム君が僕たちのことを守ってくれようとしたんだよね。その気持ちだけですごくうれしい」
「そうだな。ありがとうアダム」
アダムは顔を上げようとしなかった。やがて、奥の方からミリアさんが何事かと出てきてくれたが、今はアダムをそっとしておくことにした。ミリアさんが「友達の前じゃ弱音もはけないだろうし、私がみておくわ」とのことだったので、俺はハルと部屋を出た。
「あのアダムがトラウマなんて意外だな。能天気なバカだと思ってた」
「酷い言いようだね…まあ、トラウマなんて誰にでもあるものだよ。人に言えない秘密とかね」
「そうだな」
「リック君も何か秘密とかあるでしょ?」
「い…いや、何もないよ…多分」
「大丈夫、無理に聞こうとはしないから。それにアダム君ね、弟を目の前で連れていかれたらしいんだ」
「は…?」
「抵抗したけど手も足も出なかったって…」
ミロク、どれだけヤバいやつなのかが伝わってくる。シンプルな力こそ強いってのはありがちだが、火を操るなんてその最たる例だろう。それで勝てないとなるとよっぽど…
「かく言う僕も、アレを見ると体が固まっまちゃうんだ。だからアダム君が腕を引っ張ってくれた時すごく嬉しかった」
「アダムが知ったら喜ぶだろーぜ」
「そうかな。それならいいな…」
しんみりなっている所にいきなりばん!とドアが開いた。
「2人ともすまなかったな!さあ、街案内の続きに行こうではないか!」
アダムだ…
「このアダム・トンプソン、あんな奴に屈するものか!さあ行くぞ2人とも。それとも殺人現場を目撃して萎縮してしまったか?」
それはおめーだろ、と思ったが、
「辛いなら休んでても…」
「リック君」
ハルに止められる。
「行こうよ。アダム君も一応いつものテンションに戻ったみたいだし、気遣いだとしても乗ってあげるのが礼儀だよ」
「…そうだな。よし、行くか!」
「では解散とするか」
「そうだね。もう日もくれるし」
「じゃあなアダム、俺らこっちだから」
「おっそうだな!ではご無事で」
「おう」
「うん」
俺らは学校に戻ってきたあたりで解散した。
町の中くらいは一人で行き来できるようになった。
「それにしても災難だったな、今日は」
「そうだね。僕もこの町にいる以上は遭遇するからだれか討伐してくれればいいんだけど」
「騎士みたいのは対処してくれないのか?」
「あー、あの人らは国衛が任務だから国の中はどうだろ...」
「じゃあ治安維持はどうなってんだよ」
「それに関しては自警団みたいなのがいるよ。うちの国には火系の魔法を持ってる人が多いんだけど、その自警団はすごいんだよ。
それぞれの魔法が二つづつあるように見えるほど多彩な戦術を持ってて、その中でも最強と噂される隊長は指一つ触れられないらしいよ」
「へー、どんな能力なんだろうな」
「それが、隊長の出る幕がなくて誰もまだ見たことがないんだ」
「ほー、そいつぁおもしれえや」
「アダム君もゆくゆくはそこの試験を受けるんだとか」
「アダムが自警団...楽しみだな」
そんな話をしながら歩くと、ちょうど教会の前まで来ていた。
「それじゃあ俺ここだから」
「僕もここだから。また明日ね」
「ああ、また明日な」
そういって教会の居住スペースのドアを開けた。
「ただいま~」
ん...?妙に静かな気が...ミリアさんってお帰りとか言ってくれない人だっけ...?出かけてるだけだろうか...
周りを見渡すと、確かに何かがおかしい。窓が開いている。出かけるのにどんなに近くても窓を開け放しにするだろうか。逆に講堂には鍵がかかっている。ここは教会なんだが...
いやな予感がする。確かリビングに一番大きな窓が...
「割られて...る...」
「痛い!痛いよアダム君!」
「おいアダム、落ち着け!」
俺らの声がアダムに届かない。教会に入り、扉を閉め切って、やっとアダムの正気が戻った。汗がすごい。走ったからだけではないだろう。
「いったいどうしたんだアダム。急に腕をつかんで走り出したりなんかして」
腕を見ると、俺もハルも赤く跡になっている。
「ごめん...ちょっとな」
「なんだよさっきのやつ...あいつが持ってたのって...にんげ」
「リック君!」
遮るようにハルが割って入る。ハルに目を合わせると、横に首を振った。
「なんだよ、あれ...」
「あれはミロク...」
アダムが虚を見つめたまま話し出した。
「一年と四か月前、あいつは突如としてこの町に現れた。そしてこの町の人間を次々にさらっていった。一人、また一人と、獣どもにさらわれていった。そして順番にさらった人間を人目のつくところで惨殺するんだ。同じクラスの生徒がさらわれたこともある。この町の神父だって攫われた。俺の弟も...」
アダムは視線を落とし、腕の中を覗き込んだ。
「それ以来俺は自分の魔法を磨いている。奴が来たら迎え撃てるように、そして次はだれかを守れるように」
「そっか...つらいことがあったな」
「さっきはすまなかったな。無理に手を引っ張ったりして。痛かっただろ、あとで医務室につれていくからな」
「ううん大丈夫だよ。むしろうれしい」
ハルがアダムを慰める。
「アダム君が僕たちのことを守ってくれようとしたんだよね。その気持ちだけですごくうれしい」
「そうだな。ありがとうアダム」
アダムは顔を上げようとしなかった。やがて、奥の方からミリアさんが何事かと出てきてくれたが、今はアダムをそっとしておくことにした。ミリアさんが「友達の前じゃ弱音もはけないだろうし、私がみておくわ」とのことだったので、俺はハルと部屋を出た。
「あのアダムがトラウマなんて意外だな。能天気なバカだと思ってた」
「酷い言いようだね…まあ、トラウマなんて誰にでもあるものだよ。人に言えない秘密とかね」
「そうだな」
「リック君も何か秘密とかあるでしょ?」
「い…いや、何もないよ…多分」
「大丈夫、無理に聞こうとはしないから。それにアダム君ね、弟を目の前で連れていかれたらしいんだ」
「は…?」
「抵抗したけど手も足も出なかったって…」
ミロク、どれだけヤバいやつなのかが伝わってくる。シンプルな力こそ強いってのはありがちだが、火を操るなんてその最たる例だろう。それで勝てないとなるとよっぽど…
「かく言う僕も、アレを見ると体が固まっまちゃうんだ。だからアダム君が腕を引っ張ってくれた時すごく嬉しかった」
「アダムが知ったら喜ぶだろーぜ」
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しんみりなっている所にいきなりばん!とドアが開いた。
「2人ともすまなかったな!さあ、街案内の続きに行こうではないか!」
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「このアダム・トンプソン、あんな奴に屈するものか!さあ行くぞ2人とも。それとも殺人現場を目撃して萎縮してしまったか?」
それはおめーだろ、と思ったが、
「辛いなら休んでても…」
「リック君」
ハルに止められる。
「行こうよ。アダム君も一応いつものテンションに戻ったみたいだし、気遣いだとしても乗ってあげるのが礼儀だよ」
「…そうだな。よし、行くか!」
「では解散とするか」
「そうだね。もう日もくれるし」
「じゃあなアダム、俺らこっちだから」
「おっそうだな!ではご無事で」
「おう」
「うん」
俺らは学校に戻ってきたあたりで解散した。
町の中くらいは一人で行き来できるようになった。
「それにしても災難だったな、今日は」
「そうだね。僕もこの町にいる以上は遭遇するからだれか討伐してくれればいいんだけど」
「騎士みたいのは対処してくれないのか?」
「あー、あの人らは国衛が任務だから国の中はどうだろ...」
「じゃあ治安維持はどうなってんだよ」
「それに関しては自警団みたいなのがいるよ。うちの国には火系の魔法を持ってる人が多いんだけど、その自警団はすごいんだよ。
それぞれの魔法が二つづつあるように見えるほど多彩な戦術を持ってて、その中でも最強と噂される隊長は指一つ触れられないらしいよ」
「へー、どんな能力なんだろうな」
「それが、隊長の出る幕がなくて誰もまだ見たことがないんだ」
「ほー、そいつぁおもしれえや」
「アダム君もゆくゆくはそこの試験を受けるんだとか」
「アダムが自警団...楽しみだな」
そんな話をしながら歩くと、ちょうど教会の前まで来ていた。
「それじゃあ俺ここだから」
「僕もここだから。また明日ね」
「ああ、また明日な」
そういって教会の居住スペースのドアを開けた。
「ただいま~」
ん...?妙に静かな気が...ミリアさんってお帰りとか言ってくれない人だっけ...?出かけてるだけだろうか...
周りを見渡すと、確かに何かがおかしい。窓が開いている。出かけるのにどんなに近くても窓を開け放しにするだろうか。逆に講堂には鍵がかかっている。ここは教会なんだが...
いやな予感がする。確かリビングに一番大きな窓が...
「割られて...る...」
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