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1話

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そのころリックは―――

俺も敵を倒さなきゃ。そして姉ちゃんに認めてもらうんだ。

俺の背中の剣、こいつでみんなぶった切ってやる。みんな俺がちびのガキだからって俺のこと馬鹿にするけど、その分鍛えて訓練もしてるんだ。

「おやおやおやおや~、これはかわいい子がいたものねえ」

女の声。振り向くと、そこにいたのは姉ちゃんより年上の女だ。このババア、やたらに露出が多い。そんなに男に飢えてるのか?
 
「どう、僕、私のチームに来ない?」

「興味ない」

「うーん、つれないのね。でもいいわ。キミみたいなかわいい子も私の力でメロメロにしてア・ゲ・ル♥」

「年増には興味ない」

「とs...いうじゃない...これでもまだ37よ!」

女からマナが強まる感じがした。

「私の能力はチャーム。これで今の小隊長の地位までのし上がった。これでキミも私の物」

「うわっ、くっせ!」

女からなんか出てんな。知るか。

「フンっ!」

俺は剣を振るった。その衝撃波が女の方に飛んでいく。

「そんなものに当たるほど間抜けではないわ~」

くそが。

「そろそろ効いてくるころじゃない?一度私のチャームにかかってしまえば私が解除しない限りあなたは私の虜」

「フンッ!」

「いたっ!?」

衝撃波が女に直撃した。

「あなた、私のチャームが効いてないの?」

「お前に惚れるか。姉ちゃんのほうが10倍かわいくて若い」

「シスコン...」

「年増に向ける情はない」

「年増年増って何回も言うなあ!」

「ともかく、俺の勝ちだ」

俺はいっぱいにマナが込められた剣を振り下ろす。

「これで終わりだ」

「うぎゃああああああ!」

女はそのまま衝撃波に吹っ飛ばされた。

「気絶したな。そのままチンピラに犯されてろこのビッチが」

「そのなりで...きついこと言うのね...」

がくっ、と女が落ちた。

「バイバイ、名前も知らない年増サン」

姉ちゃん褒めてくれるかな...

脱落 マエリー・B・ボッシュ 能力 チャーム



「やれやれ、今回は全員バラバラか...」

僕が飛ばされたのは砂漠のステージ、周りに何もない分こちらから索敵しやすい代わりに敵からも見つかりやすい。いやなステージだ。

「STRINE...」

僕のはあらゆるものの長さを変化させられる。

僕と僕以外の物の距離の「長さ」を5m以上に。

僕は5mの位置に浮き上がった。

「よし...」

現在地と自分の距離の長さを毎秒50㎝に。

スーッと、前に進む。

敵は...スピード上げるか。

50cm/s→150cm/s

おおよそ時速54㎞くらい。馬車よりは出てるのかな?ズィンク王国には鉄の塊がこのくらいの速さで走っていると聞くけど。

おっ、景色が変わったな。林が見えてきた。おや、あれは...


硬い顔の人が出てくる。眼鏡をかけてて...あれはp-DOXEの人だな。確か...

「ダレス・フラー...」

あの人はこのままにしておいたら何人か脱落させられるだろう。

ルークが何らかの理由で戦線離脱したらあの人がp-DOXEの総長だとか...

まあ、気が読めるから強いよね。

僕なら勝てる。

彼と僕の距離の長さを2倍に。

ダレスさんが吹っ飛んで見えなくなった。

何もわからないまま気絶したんだろうな...申し訳ない。

脱落 ダレス・フラー 能力 気を読む 全身骨折により入院 特に右腕が重傷で、全治3カ月
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