魔術師終始武術中! ~魔術師になってワクワクしてたら肉弾戦でした~

滝永ひろ

文字の大きさ
9 / 13
1話

1-9

しおりを挟む
「こっちはいません。アンナさんどうですか」

「私も敵のマナを感じません」

「敵はどこにいるんですかね...」

「もうみんなやられちゃったとか?」

「そんな言って油断してたら後ろから殺されるのがテンプレートですけど」

「怖いこと言わないでください」

それにしても変だな。走っても走っても景色が変わらない...

「アンナさん、止まりましょう」

「なんですかいきなり」

ズザサー、とアンナさんが足でブレーキをかけた。

「進まなくていいんですか?待っていても敵は来てくれませんよ」

「いや、色仕掛けでもすれば来るんですが...それは置いておいて、さっきから景色が変わらないと思いませんか?」

「木なんて全部一緒じゃないですか?」

「あそこにある木、よく見ると爪痕がありますよね」

「はい。それが何か?」

「あれは熊のマーキングですが、もうあれで21個目です」

「くまさんが頑張っているのでは?」

「いえ、こんな道沿いに何個もというのは野生動物には考えにくいでしょう」

「ということは?」

「俺らは非常に短い区間をループしていることになります」

「...つまりどういうことですか?」

「攻撃です」

「え?」

「ここに長時間足止めされているとみて間違いないでしょう。足止めが目的ならとどめを刺すときにこの状況は打開されるとみて間違いはありませんが、そんなのんきなこと言ってたら埒があきません」

「つまり?」

「考えます。30秒ください」

「はい」

アンナさんがにこっと笑ってうなずいた。周囲を見回す。警戒しておいてくれるようだ。

まず、状況の整理だ。
・同じ道をループしている。
・ループのスパンは短い。
・現状足止めどまり。
となると、
・指定できる範囲は狭い。
・発展型の可能性は薄い。
つまり、
・短距離を指定して入口と出口を接続する
・数秒だけ時間を巻き戻す
のどちらか。

走っている途中で視界がぶれるようなことはなかった。

「アンナさん、横に進みましょう」

「ふぇ?」

俺はアンナさんを連れて今まで進んでいたのとは垂直に進んだ。

「アンナさん、わかりますか」

「はい。近くにマナの気配を感じます」

「もう一度はめられては面倒です。弧を描いて走ってください」

「はい」

俺たちは反対向きに弧を描くように走り出した。

俺たちにはマナの方向がわかっていた。

さっき俺たちがはめられていた方向の直線上、なるほど近くにいて感じられないわけだ。

マナを感じた先、そこにいたのはさえない青年だった。髪もぼさぼさ、顔にもそばかすが出ている。

「えっ、ちょっ、どうやって抜け出して...」

「うるせえ!」
「成敗!」

その男に顔面パンチ×2が炸裂した。

ばたんきゅー。

「てこずらせやがって」

脱落 シーム・ハーディ 能力 MEVIUS 一定距離をループさせる

「じゃ、次行きましょうか」



「姉ちゃん、いる」

俺は囲まれた気配を感じていた。

「そう、リック、わかってるわね」

「ああ。殺しちゃダメなんだろ」

「危険なようなら私が止めるわ」

「わかった」

俺の姉ちゃんはやっぱ心強い。

SECOND DEELジキルとハイド...」

俺はリミッターを外した。

「ヴアアアアアアア!!」

俺の肌は赤く染まり、身長が伸びて大人ほどまでになり、筋肉が膨張した。

「ヴウウン!」

俺は持っていた剣を振り回す。こうなった状態だと大きな剣も振り回しやすい。

一件何もない方へ、一振り、二振りすると木が倒れ、敵の姿があらわになる。

もう一振り。敵は県の衝撃波によって吹っ飛ぶ。気絶した。

脱落 チンピラ 能力 ?

「アッチニモ...」

向こうにも敵を感じる。

同じように、三振りで敵をなぎ倒していく。

「アッチモ...」

敵...姉チャン守ル...

「ヴア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」

「はい終わり」

カラダ...ウゴカナイ...?

「ハッ!」

姉ちゃんが俺の首を思いっきり親指で突いた。

「アレッ?俺は...ああ、またやったんだったな」

周りを見ると、木々は無残に倒れきり、あちこちに気絶したパラが倒れている。

脱落 チンピラ×6

「お疲れ。このツボ知ってるのが私しかいないから私がいないとこでやったら危ないのよね...体はどう?」

「ちょっと痛い」

「そう。だんだん副作用に体が慣れてるみたいね。最初は3秒で全身筋肉痛だったのに」

「毎日姉ちゃんが訓練に付き合ってくれるおかげだよ」

「弟に強くあってほしいと思うだけよ」

姉ちゃんのこういうとこが好きだ。

「ありがと」

「何急に?」

「なんでもない。次いこう」

「そうね」

俺たちはまた歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...