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3. 特別な薬 ~先祖代々伝わる特別な薬だと言うとったわい~
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「トム爺、ペルを助けてください。トム爺はこの村一のお医者さまでしょう? だから……」
午後の往診が終わった帰り道、イシュタはトム爺にお願いした。
トム爺は白い眉を下げ、困ったように言った。
「わしも、何とかしてやりたいと思うておる。じゃが、あの子の病はちと厄介じゃ。薬がないんじゃよ」
薬がないという事実に、イシュタは絶望した。
がっくりと肩を落としたイシュタを見て、トム爺は続けた。
「シュヌヴィスがまだ生きておったらのう……」
「え?」
シュヌヴィスというのは、イシュタの父の名だ。思いがけず父の名があがり、イシュタは目をぱちくりさせた。
「お前さんの父親は、ほんとうにすごい医者じゃった。わしなんてまだまだ、あいつの腕には及ばんよ」
父は評判の良い医者であったが、トム爺ほどの名医が父をそんな風に褒めるなんてと、イシュタはおどろいた。
「お父さんなら、ペルを……」
「助けられたじゃろうな。じゃが……」
その先の言葉は聞かなくても分かる。父はもうこの世にはいない。
黙り込んだイシュタに、トム爺は思い出したように言った。
「ああ、そうじゃ。シュヌヴィスが使っていた薬は残っておらんじゃろうか? 先祖代々伝わる特別な薬だと言うとったわい」
「特別な薬……?」
トム爺の話によると、きれいな薬瓶に入った星屑のようにきらきらとした粉末なのだという。特別な花の花粉から作ったもので、万病に効くのだと父は語っていたそうだ。
家へ戻ったイシュタは、早速その瓶を探した。父が使っていた薬棚を隅から隅まで探し、ようやくそれらしい小瓶を見つけた。
だが残念なことに、その瓶は空だった。
「そんな……」
やっと掴んだ希望は、あっけなくその手の中からするりと抜け落ちた。
何か――何か父は言っていなかっただろうか。手がかりになるような何かを――
イシュタは、そこではっとなる。
「死なずの村……エリュシラーナ」
父が亡くなる前に聞かせてくれた、ふしぎな話。エリュシラーナの民は死ぬことがないのだと言う。信じられないような話だったが、イシュタは父がうそをついたとは思えなかった。
もしかしたら、薬とその村は関係があるのではないか。
イシュタは、あの日、父の語った言葉を一言一句思い出そうと目を閉じた――
午後の往診が終わった帰り道、イシュタはトム爺にお願いした。
トム爺は白い眉を下げ、困ったように言った。
「わしも、何とかしてやりたいと思うておる。じゃが、あの子の病はちと厄介じゃ。薬がないんじゃよ」
薬がないという事実に、イシュタは絶望した。
がっくりと肩を落としたイシュタを見て、トム爺は続けた。
「シュヌヴィスがまだ生きておったらのう……」
「え?」
シュヌヴィスというのは、イシュタの父の名だ。思いがけず父の名があがり、イシュタは目をぱちくりさせた。
「お前さんの父親は、ほんとうにすごい医者じゃった。わしなんてまだまだ、あいつの腕には及ばんよ」
父は評判の良い医者であったが、トム爺ほどの名医が父をそんな風に褒めるなんてと、イシュタはおどろいた。
「お父さんなら、ペルを……」
「助けられたじゃろうな。じゃが……」
その先の言葉は聞かなくても分かる。父はもうこの世にはいない。
黙り込んだイシュタに、トム爺は思い出したように言った。
「ああ、そうじゃ。シュヌヴィスが使っていた薬は残っておらんじゃろうか? 先祖代々伝わる特別な薬だと言うとったわい」
「特別な薬……?」
トム爺の話によると、きれいな薬瓶に入った星屑のようにきらきらとした粉末なのだという。特別な花の花粉から作ったもので、万病に効くのだと父は語っていたそうだ。
家へ戻ったイシュタは、早速その瓶を探した。父が使っていた薬棚を隅から隅まで探し、ようやくそれらしい小瓶を見つけた。
だが残念なことに、その瓶は空だった。
「そんな……」
やっと掴んだ希望は、あっけなくその手の中からするりと抜け落ちた。
何か――何か父は言っていなかっただろうか。手がかりになるような何かを――
イシュタは、そこではっとなる。
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父が亡くなる前に聞かせてくれた、ふしぎな話。エリュシラーナの民は死ぬことがないのだと言う。信じられないような話だったが、イシュタは父がうそをついたとは思えなかった。
もしかしたら、薬とその村は関係があるのではないか。
イシュタは、あの日、父の語った言葉を一言一句思い出そうと目を閉じた――
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