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始業式と今週の予定を聞いて、学校が終わる。僕は挨拶が終わると共に、鞄を持ってすぐに教室を出た。
かなり足早に歩いたというのに、玄関で靴を履き替える僕の傍に、赤築リツが寄って来た。
「ルカ、待ってよ。一緒に帰ろう?」
「なんで?僕は早く帰りたいんだけど」
「え~?なんか用事があるの?俺、もっとルカと話したいし、ルカのこと知りたい」
「……」
別に用事がある訳ではなかったから、返事に困って、無言で歩き出した。僕がかなり素っ気ない態度を取ってるというのに、リツは気にする様子も無く、僕の隣を歩く。
「なあルカ、俺らの担任の青砥(あおと) ロウって、青蓮家の眷属だよな?ルカは先生を知ってる?」
僕の顔を覗き込むように聞いてくるリツには目もくれず、僕は前を向いたまま、淡々と答える。
「ロウは僕の部下だ。僕を守るために教師になって、この学校に来た」
「えっ!マジでっ?すごい忠誠心だなっ。きっとルカがすごく大切なんだな」
「知らない…」
ロウはただの変わり者だ。僕の傍にいる限り、自分まで嫌われてしまうと言うのに。
いつの間にか俯いていた僕の頭に、リツがそっと手を置いた。僕は、驚いてリツを見る。が、すぐにその手を払い「僕に触れるな」と呟いた。
僕の態度に、そろそろ怒ってもいいと思うのだけど、リツは眉尻を下げて僕に謝ってきた。
「ごめんっ。なんかルカがさ、寂しそうに見えて。俺、やっぱりルカのこと、もっと知りたい!どんなにルカが俺に冷たくしても、諦めないからなっ!」
満面の笑みで宣言するリツを、僕は怒るのも忘れてポカンと見つめた。
ーーしつこくしないって言ってたじゃないか。こいつ、もしかしてバカなのかな…。
僕は、何を言ってもこいつには通じないんだと諦めて、小さく首を振ると、ひたすら無言で駅まで歩き続けた。
駅までリツにピッタリとついて来られて辟易してると、ロータリーに止めてある車から、軽くクラクションを鳴らされた。
振り返ると、その音を出した車からロウが降りて来て、まっすぐに僕を見つめる。僕も無言でロウを見つめ返した。
ロウがなぜここにいるのかを察したらしいリツが、羨ましそうに僕を見る。
「あっ、いいなあ。ルカ、車で帰んの?」
僕はリツに見向きもしないで「早く帰ったら?」と言うと、ロウの車に向かった。
そんな僕の態度にも懲りずに後ろから、「ルカっ、また明日な!」とリツが明るく言って、走り去る足音が聞こえる。ゆっくりと振り向いた僕は、遠ざかっていくリツの背中を、ロウに名前を呼ばれるまで見ていた。
かなり足早に歩いたというのに、玄関で靴を履き替える僕の傍に、赤築リツが寄って来た。
「ルカ、待ってよ。一緒に帰ろう?」
「なんで?僕は早く帰りたいんだけど」
「え~?なんか用事があるの?俺、もっとルカと話したいし、ルカのこと知りたい」
「……」
別に用事がある訳ではなかったから、返事に困って、無言で歩き出した。僕がかなり素っ気ない態度を取ってるというのに、リツは気にする様子も無く、僕の隣を歩く。
「なあルカ、俺らの担任の青砥(あおと) ロウって、青蓮家の眷属だよな?ルカは先生を知ってる?」
僕の顔を覗き込むように聞いてくるリツには目もくれず、僕は前を向いたまま、淡々と答える。
「ロウは僕の部下だ。僕を守るために教師になって、この学校に来た」
「えっ!マジでっ?すごい忠誠心だなっ。きっとルカがすごく大切なんだな」
「知らない…」
ロウはただの変わり者だ。僕の傍にいる限り、自分まで嫌われてしまうと言うのに。
いつの間にか俯いていた僕の頭に、リツがそっと手を置いた。僕は、驚いてリツを見る。が、すぐにその手を払い「僕に触れるな」と呟いた。
僕の態度に、そろそろ怒ってもいいと思うのだけど、リツは眉尻を下げて僕に謝ってきた。
「ごめんっ。なんかルカがさ、寂しそうに見えて。俺、やっぱりルカのこと、もっと知りたい!どんなにルカが俺に冷たくしても、諦めないからなっ!」
満面の笑みで宣言するリツを、僕は怒るのも忘れてポカンと見つめた。
ーーしつこくしないって言ってたじゃないか。こいつ、もしかしてバカなのかな…。
僕は、何を言ってもこいつには通じないんだと諦めて、小さく首を振ると、ひたすら無言で駅まで歩き続けた。
駅までリツにピッタリとついて来られて辟易してると、ロータリーに止めてある車から、軽くクラクションを鳴らされた。
振り返ると、その音を出した車からロウが降りて来て、まっすぐに僕を見つめる。僕も無言でロウを見つめ返した。
ロウがなぜここにいるのかを察したらしいリツが、羨ましそうに僕を見る。
「あっ、いいなあ。ルカ、車で帰んの?」
僕はリツに見向きもしないで「早く帰ったら?」と言うと、ロウの車に向かった。
そんな僕の態度にも懲りずに後ろから、「ルカっ、また明日な!」とリツが明るく言って、走り去る足音が聞こえる。ゆっくりと振り向いた僕は、遠ざかっていくリツの背中を、ロウに名前を呼ばれるまで見ていた。
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