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まだその場から動こうとしないルキを振り返りながら、早く皆んなの元へ戻るように言おうとしたら、先生の「皆んな集合してくださーい!」と言う大きな声が聞こえて来た。
それを聞いたルキが、泣きそうな顔をして歩き出した。少し進んで足を止めると、僕を振り返り口を開く。
「兄さん…、また会える?会いに来てくれる?」
「…そうだね、また会えるよ。ルキ、元気でね」
目に涙を溜めて頷いたルキが、皆んなの方へ駆けて行った。
その後ろ姿を見送って、僕も急いで駅に向かう。砂が靴の中に入って気持ち悪いけど、そんなことは気にしていられない。
早くロウに会わなければ。会って、ロウの口から『俺はあなたの傍を離れません』と、いつものように笑いながら言って欲しい。
僕は、早歩きから遂には走り出して、駅の改札を抜け、ホームに入って来た電車に飛び乗った。
学校の最寄り駅に着いて、駅から学校までの道のりを全力で走った。
僕は人狼のくせに、変身出来ないだけでなく体力もない。人狼は、人間の数倍は頑丈に出来ており、もちろん体力も無尽蔵にある。だけど僕は、人間並みの体力しか備わっていない。
だから、学校に着いた頃には力尽きて、裏門を入ってすぐの駐車場で、座り込んでしまった。
胸を押さえて呼吸を整えていると、近くから話し声が聞こえてきた。車の陰からそっと覗くと、少し離れた場所で、ロウが誰かと電話をしていた。
僕は、慌てて顔を引っ込めて、車に隠れて聞き耳を立てた。
「…はい、わかってます、ルイ様。え?今日からですか?…わかりました。伺います。ルカ様には俺から伝えます。だから…」
心臓がドクドクと鳴ってうるさい。
僕はそれ以上は聞きたくなくて、両耳を押さえて目を固く閉じた。
ーー今の話って…。やっぱりルキが言ってたように、ロウは青蓮家に……。
急に全身の力が抜けて、僕はその場にペタリと尻餅をついた。耳を塞いでいた手も腕もダラリと下ろして、ぼんやりと目の前にあるロウの青い車を見つめる。
「何をしているのです?今は授業中の筈ですが?」
この世に生まれてからずっと聞いてきた、低音の耳に心地よい声。
僕は、ゆっくりと首を動かして、身体を屈めて僕を覗き込むロウの顔を見つめた。
僕は今、とても情けない顔をしているに違いない。
力の入らない腕を持ち上げて、ロウに縋り付くように手を伸ばす。その手を、ロウが掴んで僕を引っ張り上げた。
手を引かれて立ち上がった僕に、フッと表情を緩めて、繋いでない方の手で僕の頬を撫でる。
「どうしました?顔色が悪い」
「…大丈夫…。ちょっと走ったから、疲れただけ…。ねぇ…ロウ、あのね…」
その時、誰かがロウの名前を呼びながら近づいて来た。
それを聞いたルキが、泣きそうな顔をして歩き出した。少し進んで足を止めると、僕を振り返り口を開く。
「兄さん…、また会える?会いに来てくれる?」
「…そうだね、また会えるよ。ルキ、元気でね」
目に涙を溜めて頷いたルキが、皆んなの方へ駆けて行った。
その後ろ姿を見送って、僕も急いで駅に向かう。砂が靴の中に入って気持ち悪いけど、そんなことは気にしていられない。
早くロウに会わなければ。会って、ロウの口から『俺はあなたの傍を離れません』と、いつものように笑いながら言って欲しい。
僕は、早歩きから遂には走り出して、駅の改札を抜け、ホームに入って来た電車に飛び乗った。
学校の最寄り駅に着いて、駅から学校までの道のりを全力で走った。
僕は人狼のくせに、変身出来ないだけでなく体力もない。人狼は、人間の数倍は頑丈に出来ており、もちろん体力も無尽蔵にある。だけど僕は、人間並みの体力しか備わっていない。
だから、学校に着いた頃には力尽きて、裏門を入ってすぐの駐車場で、座り込んでしまった。
胸を押さえて呼吸を整えていると、近くから話し声が聞こえてきた。車の陰からそっと覗くと、少し離れた場所で、ロウが誰かと電話をしていた。
僕は、慌てて顔を引っ込めて、車に隠れて聞き耳を立てた。
「…はい、わかってます、ルイ様。え?今日からですか?…わかりました。伺います。ルカ様には俺から伝えます。だから…」
心臓がドクドクと鳴ってうるさい。
僕はそれ以上は聞きたくなくて、両耳を押さえて目を固く閉じた。
ーー今の話って…。やっぱりルキが言ってたように、ロウは青蓮家に……。
急に全身の力が抜けて、僕はその場にペタリと尻餅をついた。耳を塞いでいた手も腕もダラリと下ろして、ぼんやりと目の前にあるロウの青い車を見つめる。
「何をしているのです?今は授業中の筈ですが?」
この世に生まれてからずっと聞いてきた、低音の耳に心地よい声。
僕は、ゆっくりと首を動かして、身体を屈めて僕を覗き込むロウの顔を見つめた。
僕は今、とても情けない顔をしているに違いない。
力の入らない腕を持ち上げて、ロウに縋り付くように手を伸ばす。その手を、ロウが掴んで僕を引っ張り上げた。
手を引かれて立ち上がった僕に、フッと表情を緩めて、繋いでない方の手で僕の頬を撫でる。
「どうしました?顔色が悪い」
「…大丈夫…。ちょっと走ったから、疲れただけ…。ねぇ…ロウ、あのね…」
その時、誰かがロウの名前を呼びながら近づいて来た。
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