たゆたう青炎

明樹

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僕の全身が震え、燃えるように熱くなる。その熱を吐き出すように、静かに声を出した。


「…やめろ。二人とも、僕とルキから離れろ」
「…っ!」


途端にロウとリツの身体が大きく揺れて、僕とルキの傍から飛び退いた。そして、まるでお辞儀をするように、お尻をつけて座り、頭を低く下げる。


「ル、カ様…っ、何、を…?」
「な、んだ…これ…。身体が、自分の意思で、動かせ…ないっ…」


二人が身体をブルブルと震わせながら、声を絞り出す。
僕は、ルキの背中を撫でて、「もう大丈夫だよ」と言って立ち上がった。
ルキから離れて二人の傍に行き、頭を垂れる二人を見下ろす。


「ねぇ…、例えどんな理由があったとしても、僕の大事な弟を傷つけるのは許さない。今すぐ、僕とルキの前から消えて」
「…違うっ。ルカ様…そいつは…。…っ!やめ…っ」


苦しそうに身体を震わせていたロウが、僕の後ろを見てビクンッと顔を上げる。そして素早く立ち上がり、僕の頬をかすめて、後ろにいるルキの首に牙を食い込ませた。そのまま大きく頭を振って、ルキを投げ飛ばす。
ルキのまだ小柄な身体が、緩やかな弧を描いて宙を舞い、ドシンッと大きな音を立てて地面に落ちた。


呆然と見つめる僕の目に、ピクピクと痙攣するルキのまだ幼い身体が映る。
さっきから熱い身体が、血液が沸騰しているかのように、ますます熱くなる。頭も心臓もズキズキと痛み、僕は震える両手で頭を押さえた。


「あ…あ…、や…」


小さく声を漏らす僕の目の前で、ロウが非情にも、倒れて痙攣するルキに、更に攻撃しようとしている。
ロウがその鋭い牙を剥いた瞬間、僕は大きく目を見開いて、喉が裂けるんじゃないかと思うくらいの大声で叫んだ。


「やめてーっっ!」


僕は、肩を上下させて荒い呼吸を繰り返す。ぼやける視界の先で、ロウの身体がグラリと揺れて、「ル、カ…さま?」と小さく呟きながら、ゆっくりと地面に倒れた。
汗か涙かわからない雫が、ポタポタと僕の顎を伝って地面に消えていく。


頭と胸の中がグチャグチャで、もう何が何だかわからない。自身の内からの熱と空から降り注ぐ太陽の熱で、僕は蒸発して消えてしまいそうだった。


フラフラと揺れ出した僕の身体が、力強い腕に抱き寄せられる。


「あ、んた…」


ロウと同じように地面に倒れたリツが、僕の背後を見て掠れた声を出した。


「ルカ、よくやった。上出来だ」
「トウヤ…さ…」


トウヤさんが僕の頭に、いつの間にか落ちていた帽子を被せる。顔の傍で囁かれる静かな声にホッと安堵して、僕は意識を手放した。
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