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二日間部屋にこもって悩んだけれど、結局僕に断れる筈もなく、会合の日になった。
重い気持ちで起き上がろうとした時、ドアがノックされ、ダンが食事を持って入って来た。
ソファーの前のテーブルに朝食が乗ったトレイを置いて、まだベッドで布団に潜る僕に優しく声をかける。
「ルカ様、今日はとても疲れることになります。どうか、少しでも食事を摂って、体力をつけて下さい」
「…後で食べるから置いておいて…」
「わかりました」
小さく溜息を吐いて、ダンが部屋を出て行った。
僕は、くるまっていた布団から顔を出して、テーブルを見る。
一昨日に話を聞いてから、何もする気になれなくて、僕はほとんど食べ物を口にしていなかった。
別に体力なんて無くなってもいい。ついでに、この力も無くなってしまえばいいのに。
そう思いながらのそのそと起き出して、ソファーに移動して座る。テーブルの上に乗っている物を目にして、少しだけ、顔が綻んだ。
僕が何も食べないからか、トレイの上には、りんごジュースと桃のゼリーだけが置かれていた。
僕は薄い布団にくるまって、まだ微かに震える身体を抱きしめて、小さくロウの名前を繰り返し呟いた。
今朝、トレイに乗ったりんごジュースだけを飲んでから、部屋を出てシャワーを浴びた。
シャワーを終えて、Tシャツと黒いズボンを履く。適当に髪を拭き、洗面所を出た所でダンが待っていた。
そのままトウヤさんの部屋へ連れて行かれ、僕の返事を聞くまでもなく、今日の計画を話された。
「今日の夕方に、会議が行われるホテルに予定通り向かうつもりだったが、その前に赤築と白蘭が会うらしい。一度に数人を操るよりは、先に強い二人を排除して操る人数を減らした方がいいかもしれない。だから、昼に一度ホテルへ行くから、その心づもりでいろ」
そう言われて、昼にトウヤさんとダン、僕と黒条家の数人で、赤築家のホテルへ行った。従業員を操り、部屋の鍵を開けさせて、僕は言われるがままに、赤築と白蘭の当主を戦わせたのだ。
僕は、震える指先を口元に当てて、これからどうすればいいかを考える。
ただ、怯えて落ち込んで震えているだけじゃダメなんだ。
もう、ロウもリツも僕を助けには来ない。
だから、自分で自分のやるべきことを決めなければ。
ムクリと身体を起こして、左手を胸に当てる。その薬指には、ロウと同じ指輪が煌めく。
数回、大きく深呼吸を繰り返すうちに、だんだんと震えが止まり、弱い心が僕から消えた。
ーーそうだ。そうすることが一番いい。きっとこの力は、その為にあるのだと思う。僕は、この力を正しく使いたい。
水の上をたゆたうように揺れていた僕の存在が、やっと、世界に認められるような気がした。
重い気持ちで起き上がろうとした時、ドアがノックされ、ダンが食事を持って入って来た。
ソファーの前のテーブルに朝食が乗ったトレイを置いて、まだベッドで布団に潜る僕に優しく声をかける。
「ルカ様、今日はとても疲れることになります。どうか、少しでも食事を摂って、体力をつけて下さい」
「…後で食べるから置いておいて…」
「わかりました」
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僕は、くるまっていた布団から顔を出して、テーブルを見る。
一昨日に話を聞いてから、何もする気になれなくて、僕はほとんど食べ物を口にしていなかった。
別に体力なんて無くなってもいい。ついでに、この力も無くなってしまえばいいのに。
そう思いながらのそのそと起き出して、ソファーに移動して座る。テーブルの上に乗っている物を目にして、少しだけ、顔が綻んだ。
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僕は薄い布団にくるまって、まだ微かに震える身体を抱きしめて、小さくロウの名前を繰り返し呟いた。
今朝、トレイに乗ったりんごジュースだけを飲んでから、部屋を出てシャワーを浴びた。
シャワーを終えて、Tシャツと黒いズボンを履く。適当に髪を拭き、洗面所を出た所でダンが待っていた。
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そう言われて、昼にトウヤさんとダン、僕と黒条家の数人で、赤築家のホテルへ行った。従業員を操り、部屋の鍵を開けさせて、僕は言われるがままに、赤築と白蘭の当主を戦わせたのだ。
僕は、震える指先を口元に当てて、これからどうすればいいかを考える。
ただ、怯えて落ち込んで震えているだけじゃダメなんだ。
もう、ロウもリツも僕を助けには来ない。
だから、自分で自分のやるべきことを決めなければ。
ムクリと身体を起こして、左手を胸に当てる。その薬指には、ロウと同じ指輪が煌めく。
数回、大きく深呼吸を繰り返すうちに、だんだんと震えが止まり、弱い心が僕から消えた。
ーーそうだ。そうすることが一番いい。きっとこの力は、その為にあるのだと思う。僕は、この力を正しく使いたい。
水の上をたゆたうように揺れていた僕の存在が、やっと、世界に認められるような気がした。
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