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「先にゼノから聞いていたが…リアム、無事でよかった。体調はどうだ?」
「大丈夫だ。驚いたことに兄上が助けてくれた。解毒薬ももらったから心配ない」
「そうか…」
目の前の男の人が、ホッと息を吐き出して微笑む。そしてそのまま僕の方に視線を移す。
「伯父上、こ…」
「は、はじめまして!フィル・ルナ・イヴァルと言います。お会いできて光栄ですっ…」
リアムが口を開くよりも早く、僕の方から挨拶しなければと慌てて噛んでしまった。
リアムが笑いながら僕の背中を撫でる。
「フィー、違うだろ?おまえはもう、フィル・ルナ・バイロンだ。前に二人で旅をした時には、フィルとしか名を知らなかったから、俺のリアム・ルクス・バイロンのルクスを使った通行証を作ったが」
「あ…そんなこともあったね。ふふっ、懐かしい」
「そうだな」
二人で笑いあっていると、「そろそろ話してもいいかな」と前から声がする。
僕は急いで背筋を伸ばし、リアムが「悪い」と謝った。
「はじめましてフィルさん。私はラシェット・ルクスです。お会いできるのを、とても楽しみにしてましたよ」
「…ありがとうございます。僕もです」
リアムの伯父様…ラシェットさんが、挨拶しながら手を差し出した。
僕がその手を握ると、硬いけどとても温かかった。それにラシェットさんは、リアムとよく似ていると思ったけど、近くで見ると違うかもしれない。柔らかくとても優しい顔をしている。
そう思って見つめていたら、ラシェットさんが、困ったように笑って首を傾けた。
「その美しい瞳で見つめられたら照れてしまうな。私はリアムと似てるかい?」
「え…?あっ、ごめんなさい…」
「いいんだよ。これからは私のことを父のように思ってくれたら嬉し…」
「はあ?何言ってんだよ!伯父上は伯父上だ。フィー、俺の親族のおじさんだと思ってればいい」
リアムがすごい剣幕で僕とラシェットさんの間に入り、すごい圧力で僕を見てきた。
僕は勢いに押されて思わず頷いてしまう。
ラシェットさんが苦笑して、リアムの頭をクシャと撫でた。
「おまえば相変わらず気が短いな。フィルさんの前では気をつけろよ?」
「わかってる…」
「あっ、リアムはいつも優しいですよ。僕の言うことも聞いてくれるし…」
リアムの頭に手を乗せたまま、ラシェットさんが目を大きくしてこちらを見る。
「ほう…?なるほど。おまえは好きな子には優しいんだな。そうかそうか。それを聞いて安心した」
「なにがだよ」
「リアム、よかったな。愛する人がいるということは、幸せだぞ?」
「知ってる」
「うむ。フィーさん、疲れただろう。夕餉までゆっくり休んでおいで。明日はとても良い日にしよう」
「はい、ありがとうございます…っ」
僕はラシェットさんに頭を下げた。
ラシェットさんは僕の頭も撫でると、「さて、礼拝堂の準備を見てこよう」と部屋を出ていった。
「大丈夫だ。驚いたことに兄上が助けてくれた。解毒薬ももらったから心配ない」
「そうか…」
目の前の男の人が、ホッと息を吐き出して微笑む。そしてそのまま僕の方に視線を移す。
「伯父上、こ…」
「は、はじめまして!フィル・ルナ・イヴァルと言います。お会いできて光栄ですっ…」
リアムが口を開くよりも早く、僕の方から挨拶しなければと慌てて噛んでしまった。
リアムが笑いながら僕の背中を撫でる。
「フィー、違うだろ?おまえはもう、フィル・ルナ・バイロンだ。前に二人で旅をした時には、フィルとしか名を知らなかったから、俺のリアム・ルクス・バイロンのルクスを使った通行証を作ったが」
「あ…そんなこともあったね。ふふっ、懐かしい」
「そうだな」
二人で笑いあっていると、「そろそろ話してもいいかな」と前から声がする。
僕は急いで背筋を伸ばし、リアムが「悪い」と謝った。
「はじめましてフィルさん。私はラシェット・ルクスです。お会いできるのを、とても楽しみにしてましたよ」
「…ありがとうございます。僕もです」
リアムの伯父様…ラシェットさんが、挨拶しながら手を差し出した。
僕がその手を握ると、硬いけどとても温かかった。それにラシェットさんは、リアムとよく似ていると思ったけど、近くで見ると違うかもしれない。柔らかくとても優しい顔をしている。
そう思って見つめていたら、ラシェットさんが、困ったように笑って首を傾けた。
「その美しい瞳で見つめられたら照れてしまうな。私はリアムと似てるかい?」
「え…?あっ、ごめんなさい…」
「いいんだよ。これからは私のことを父のように思ってくれたら嬉し…」
「はあ?何言ってんだよ!伯父上は伯父上だ。フィー、俺の親族のおじさんだと思ってればいい」
リアムがすごい剣幕で僕とラシェットさんの間に入り、すごい圧力で僕を見てきた。
僕は勢いに押されて思わず頷いてしまう。
ラシェットさんが苦笑して、リアムの頭をクシャと撫でた。
「おまえば相変わらず気が短いな。フィルさんの前では気をつけろよ?」
「わかってる…」
「あっ、リアムはいつも優しいですよ。僕の言うことも聞いてくれるし…」
リアムの頭に手を乗せたまま、ラシェットさんが目を大きくしてこちらを見る。
「ほう…?なるほど。おまえは好きな子には優しいんだな。そうかそうか。それを聞いて安心した」
「なにがだよ」
「リアム、よかったな。愛する人がいるということは、幸せだぞ?」
「知ってる」
「うむ。フィーさん、疲れただろう。夕餉までゆっくり休んでおいで。明日はとても良い日にしよう」
「はい、ありがとうございます…っ」
僕はラシェットさんに頭を下げた。
ラシェットさんは僕の頭も撫でると、「さて、礼拝堂の準備を見てこよう」と部屋を出ていった。
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