343 / 451
50
しおりを挟む
「先にゼノから聞いていたが…リアム、無事でよかった。体調はどうだ?」
「大丈夫だ。驚いたことに兄上が助けてくれた。解毒薬ももらったから心配ない」
「そうか…」
目の前の男の人が、ホッと息を吐き出して微笑む。そしてそのまま僕の方に視線を移す。
「伯父上、こ…」
「は、はじめまして!フィル・ルナ・イヴァルと言います。お会いできて光栄ですっ…」
リアムが口を開くよりも早く、僕の方から挨拶しなければと慌てて噛んでしまった。
リアムが笑いながら僕の背中を撫でる。
「フィー、違うだろ?おまえはもう、フィル・ルナ・バイロンだ。前に二人で旅をした時には、フィルとしか名を知らなかったから、俺のリアム・ルクス・バイロンのルクスを使った通行証を作ったが」
「あ…そんなこともあったね。ふふっ、懐かしい」
「そうだな」
二人で笑いあっていると、「そろそろ話してもいいかな」と前から声がする。
僕は急いで背筋を伸ばし、リアムが「悪い」と謝った。
「はじめましてフィルさん。私はラシェット・ルクスです。お会いできるのを、とても楽しみにしてましたよ」
「…ありがとうございます。僕もです」
リアムの伯父様…ラシェットさんが、挨拶しながら手を差し出した。
僕がその手を握ると、硬いけどとても温かかった。それにラシェットさんは、リアムとよく似ていると思ったけど、近くで見ると違うかもしれない。柔らかくとても優しい顔をしている。
そう思って見つめていたら、ラシェットさんが、困ったように笑って首を傾けた。
「その美しい瞳で見つめられたら照れてしまうな。私はリアムと似てるかい?」
「え…?あっ、ごめんなさい…」
「いいんだよ。これからは私のことを父のように思ってくれたら嬉し…」
「はあ?何言ってんだよ!伯父上は伯父上だ。フィー、俺の親族のおじさんだと思ってればいい」
リアムがすごい剣幕で僕とラシェットさんの間に入り、すごい圧力で僕を見てきた。
僕は勢いに押されて思わず頷いてしまう。
ラシェットさんが苦笑して、リアムの頭をクシャと撫でた。
「おまえば相変わらず気が短いな。フィルさんの前では気をつけろよ?」
「わかってる…」
「あっ、リアムはいつも優しいですよ。僕の言うことも聞いてくれるし…」
リアムの頭に手を乗せたまま、ラシェットさんが目を大きくしてこちらを見る。
「ほう…?なるほど。おまえは好きな子には優しいんだな。そうかそうか。それを聞いて安心した」
「なにがだよ」
「リアム、よかったな。愛する人がいるということは、幸せだぞ?」
「知ってる」
「うむ。フィーさん、疲れただろう。夕餉までゆっくり休んでおいで。明日はとても良い日にしよう」
「はい、ありがとうございます…っ」
僕はラシェットさんに頭を下げた。
ラシェットさんは僕の頭も撫でると、「さて、礼拝堂の準備を見てこよう」と部屋を出ていった。
「大丈夫だ。驚いたことに兄上が助けてくれた。解毒薬ももらったから心配ない」
「そうか…」
目の前の男の人が、ホッと息を吐き出して微笑む。そしてそのまま僕の方に視線を移す。
「伯父上、こ…」
「は、はじめまして!フィル・ルナ・イヴァルと言います。お会いできて光栄ですっ…」
リアムが口を開くよりも早く、僕の方から挨拶しなければと慌てて噛んでしまった。
リアムが笑いながら僕の背中を撫でる。
「フィー、違うだろ?おまえはもう、フィル・ルナ・バイロンだ。前に二人で旅をした時には、フィルとしか名を知らなかったから、俺のリアム・ルクス・バイロンのルクスを使った通行証を作ったが」
「あ…そんなこともあったね。ふふっ、懐かしい」
「そうだな」
二人で笑いあっていると、「そろそろ話してもいいかな」と前から声がする。
僕は急いで背筋を伸ばし、リアムが「悪い」と謝った。
「はじめましてフィルさん。私はラシェット・ルクスです。お会いできるのを、とても楽しみにしてましたよ」
「…ありがとうございます。僕もです」
リアムの伯父様…ラシェットさんが、挨拶しながら手を差し出した。
僕がその手を握ると、硬いけどとても温かかった。それにラシェットさんは、リアムとよく似ていると思ったけど、近くで見ると違うかもしれない。柔らかくとても優しい顔をしている。
そう思って見つめていたら、ラシェットさんが、困ったように笑って首を傾けた。
「その美しい瞳で見つめられたら照れてしまうな。私はリアムと似てるかい?」
「え…?あっ、ごめんなさい…」
「いいんだよ。これからは私のことを父のように思ってくれたら嬉し…」
「はあ?何言ってんだよ!伯父上は伯父上だ。フィー、俺の親族のおじさんだと思ってればいい」
リアムがすごい剣幕で僕とラシェットさんの間に入り、すごい圧力で僕を見てきた。
僕は勢いに押されて思わず頷いてしまう。
ラシェットさんが苦笑して、リアムの頭をクシャと撫でた。
「おまえば相変わらず気が短いな。フィルさんの前では気をつけろよ?」
「わかってる…」
「あっ、リアムはいつも優しいですよ。僕の言うことも聞いてくれるし…」
リアムの頭に手を乗せたまま、ラシェットさんが目を大きくしてこちらを見る。
「ほう…?なるほど。おまえは好きな子には優しいんだな。そうかそうか。それを聞いて安心した」
「なにがだよ」
「リアム、よかったな。愛する人がいるということは、幸せだぞ?」
「知ってる」
「うむ。フィーさん、疲れただろう。夕餉までゆっくり休んでおいで。明日はとても良い日にしよう」
「はい、ありがとうございます…っ」
僕はラシェットさんに頭を下げた。
ラシェットさんは僕の頭も撫でると、「さて、礼拝堂の準備を見てこよう」と部屋を出ていった。
1
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました!
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
【本編完結済】神子は二度、姿を現す
江多之折(エタノール)
BL
1/7外伝含め完結
ファンタジー世界で成人し、就職しに王城を訪れたところ異世界に転移した少年が転移先の世界で神子となり、壮絶な日々の末、自ら命を絶った前世を思い出した主人公。
死んでも戻りたかった元の世界には戻ることなく異世界で生まれ変わっていた事に絶望したが
神子が亡くなった後に取り残された王子の苦しみを知り、向き合う事を決めた。
戻れなかった事を恨み、死んだことを後悔し、傷付いた王子を助けたいと願う少年の葛藤。
王子様×元神子が転生した侍従の過去の苦しみに向き合い、悩みながら乗り越えるための物語。
※小説家になろうに掲載していた作品を改修して投稿しています。
描写はキスまでの全年齢BL
【完結】あなたのいない、この異世界で。
Mhiro
BL
「……僕、大人になったよ。だから……もう、───いいよね?」
最愛の人に先立たれて3年。今だ悲しみから立ち直れず、耐えられなくなった結(ゆい)はその生涯を終えようとする。しかし、次に目が覚めたのは、生命を見守る大樹がそびえ立つ異世界だった。
そこで亡き恋人の面影を持つ青年・ルークと出会う。
亡き恋人への想いを抱えながらも、優しく寄り添ってくれるルークに少しずつ惹かれていく結。そんなある日、ある出来事をきっかけに、彼から想いを告げられる。
「忘れる必要なんてない。誰かを想うユイを、俺はまるごと受け止めたい」
ルークの告白を受け入れ、幸せな日々を送る結だったが、それは突然終わりを迎える。
彼が成人を迎えたら一緒に村を出ようと約束を交わし、旅立つ準備を進めていた矢先、結は別の女性と口づけを交わすルークの姿を目撃してしまう。
悲しみの中で立ち止まっていた心が、異世界での出会いをきっかけに再び動き出す、救済の物語。
※センシティブな表現のある回は「*」が付いてますので、閲覧にはご注意ください。
ストーリーはゆっくり展開していきます。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。
竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。
自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。
番外編はおまけです。
特に番外編2はある意味蛇足です。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!
黒木 鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる