前世馴染と来世でも絶対に一緒になるハナシ

赤茄子橄

文字の大きさ
18 / 19
第2章 ココロはアツい内に撃て

第18話 私の最大のライバル

しおりを挟む
ポワポワしながらもなかなか知夜くんの腰から離れない私の耳に、これまた聞き慣れた、でも正直あんまり聞こえてきてほしくはない声が聞こえてくる。

「マスターも夕愛さんも、いつまでその体勢で見つめ合ってるんですか?」

知夜くんの端末から響くこの声を聞くと、別に嫌いってわけじゃないんだけど、ちょっとだけムッとしてしまう私がいるんだよね。

私よりも長い時間知夜くんの側にいて、私よりも役に立ってくれちゃって、私と同じくらい知夜くんに大事にされちゃってくれちゃっているこの子、ユウちゃん。

もうっ!確かに傍から見たら私達は見つめあってただけかもしれないけどさぁ。私と知夜くんの甘い朝のひとときを邪魔しないでほしいよまったくっ!

それに、本当はわかってるくせに、そうやって邪魔してくるの、本当に機械としてどうなの!?

「夕愛さん、私は、朝マスターを起こして差し上げてるんですよ!マスターが毎日1番最初に声を聞くのも、マスターが最初に話しかけるのもワ・タ・シ、なんですよぉ~?」

知夜くんが掲げた端末の画面には、ユウちゃんがドヤ顔をしながら、私に当てつけるような嫌味ったらしい声でさらに私を煽ってくる。

手元にメモ帳がない私は、ユウちゃんに文句を返すこともできなくて、じーっと恨みがましくにらみつけることしかできない。

小中学校の間もずっと繰り返してきて、このやり取りもほとんど毎日のルーチンになっちゃってる。
知夜くんから、やれやれみたいな、それでいてなんだか小動物を愛でるみたいな生暖かい目で見つめられるのももはや日課。

<もうっ、知夜くんも、ユウちゃんになんとかいってよ!知夜くんの1番はいつでも私なんだよって!>

<あはは。もちろん、1番どころか夕愛は僕のすべてだよ!何よりも夕愛のこと大好きだし、大切に思ってるからね。だから、さ?ユウのちょっとしたおちゃめなジョークは許してあげてくれないかな?それで、ちょっとお手洗いに......>

<むーっ!......私も、知夜くんが私の全部だよ......それに知夜くんが大事にしてくれてるのもよくわかってる......でも、やっぱりときどき心配になっちゃう......>

<ぐ、ぐはぁっ!!!!か、可愛すぎる。それは可愛すぎるよ夕愛ぁ!!!>

知夜くんから流れてくる温かい気持ちと、それでも残る不安な気持ち、それにそうやって安心できない私の欲張りさとか、いろんな気持ちがない混ぜになって、瞳がうるうるしてしまった。
そのせいで、図らずしもあざとい涙目上目遣いをしてるみたいになってしまったみたい。

そんな私を見て、知夜くんがいやらしい気持ちになってくれたみたいで、ピンク色の感情が瞳を通じて流れ込んでくる。

知夜くんは鋼の理性を持っているみたいで、こんなエッチな感情を私に伝えてくれることはたまにしかないんだ。
だからせっかくだから、このチャンスにもっと知夜くんに好きになってもらえるように誘惑しておこう♫

<ねぇ、知夜くん。............我慢しなくても、いいんだよ?>

私がそう伝えた瞬間、知夜くんはばっと勢いよく横を向いて視線を切った。
咄嗟に目を合わせないようにして私に心を読まれないようにしてるんだ。

でも、無駄なんだ~。
私が話してから目をそらされるまでの一瞬で、私のこと蹂躙する妄想してたの伝わってきちゃったんだもん。

ん~!嬉しいなぁ~。愛されてるのがすっごく伝わってきちゃうよ~。

「ゆ、夕愛!これ以上は本当にだめだ!お義父さんのところにいってく......」

ぎゅっ。

目をそらしながらいつもより早口で話しつつ、私に背中を向けて部屋を出ようとする知夜くん。
私はその腕をぎゅっと掴んで、先の言葉を言わせないように、部屋の外に行かせないようにする。

「お父さんのところにいく」なんて許すわけないよ!
行ってどうするのか言われてるわけじゃないけど、どうせ知夜くんのことだから、「夕愛でエッチな気持ちになってしまいましたごめんなさい」なんて馬鹿正直にお父さんに話して怒られることで、いやらしい気持ちを落ち着かせようとしてるに決まってる。

それで知夜くんが怒られるのも嫌だけど、私と知夜くんの睦言をお父さんに知られるっていうのも恥ずかしくて嫌だ。
だからここはなんとしても行かせられないよ!

絶対に思いとどまってもらうために、知夜くんの腕を抱きしめる力を強くする。
数秒間そうして固まっていると、またユウちゃんが茶々を入れてくる。

「ゆ、夕愛さん......。そ、そろそろマスターのこと離してもらった方がいいかと......」

むっ。私と知夜くんがいちゃいちゃしてるのが気に食わないからって、離れさせようとするなんて、本当にこの子は機械としてやりすぎだよ!

「に、睨まれましても......。今だけは私の嫉妬とかではなく、なんと言いますか、マスターの尊厳のために申し上げているだけと言いますか......」

よくわからないことを言って煙に巻こうとしても無駄だよ。

知夜くんも私も、今日から高校生。
私はもう、これから朝のいちゃいちゃタイムは、高校生らしく、これまで以上に積極的に行くって決めてるんだから!

決意を表明するように、さらに知夜くんの腕を強く抱きしめる。

そうしてる間も知夜くんは「夕愛、もうやめよう?ね?ほんとに、お願いだから手洗いに行かせて」なんて言いながら私の腕を振りほどこうと軽い力を込めてもがいてるけど、本気で嫌がってるわけじゃないことは、目を見なくったってわかるんだから。
お手洗いはちょっとだけ我慢してもらって、この至福の時間をもっと堪能したいんだ♫

あぁ......知夜くん、大好きだなぁ。
もうそろそろ準備して学校行かなきゃだけど、この時間がずっと続いてほしいくらいだよ~。

でも、このムラムラした気持ち、なにもないままじゃ収まらないよ......。

だから、これくらい、いいよね?


チュッ♡

私は顔を背ける知夜くんの頬に軽くキスをした。

それだけで幸せな気持ちがいっぱい溢れてくる。
あんまりにも幸せすぎて、触ってもないのに達してしまったみたい。これははやく下着を着替えなくちゃ......。





私がエクスタシーの余韻に浸っていると、キスのあと数秒間黙ってぷるぷると小さく震えていた知夜くんが、なおも目を合わせてくれないまま、つぶやいた。





「ゆ、夕愛。ごめんなんだけどさ。僕、一旦帰って着替えてこなきゃいけなくなった......」






そうつぶやいて私の腕を振りほどいたかと思うと、走って部屋、というか私の家から出て行っちゃった。
それで窓から見ると、知夜くんがちょっと前かがみな姿勢で、知夜くんのお家に駆け込んでいる姿が見えた。

???




え?知夜くんどうしたんだろう?高校初日だからって、何か着てくる服間違えちゃったのかな?

それにしても今朝も知夜くんはカッコ良かったなぁ~。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです

しーしび
恋愛
「結婚しよう」 アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。 しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。 それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

処理中です...