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待ってる時間が一番辛かったりする
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部屋に入ると、ツンとするにおいが鼻腔をつく。
シャワーを浴びる前は麻痺していたのか気がつかなかったが、一旦リセットしてから嗅いでみると、においだけでそこで起きたことがわかるレベルだ。
基本的には女の子の部屋らしい甘ったるいにおいがベースにあるものの、汗と栗の花、あるいはイカくさいが混じっており、そこで執り行われた情事を伝えようとしているかのようだ。
そのにおいのせいで梨樹人の「やってしまったんだな」という感触がさらに強化される。
ふとベッドに目をやると、柚津はまだ布団を被って寝息を立てているようだ。
さすがにそろそろ起きてもらって話をしないとな。
時計の針はちょうどてっぺんを指そうとしている。
時間が立つほどに梨樹人の焦りは増していく。
焦りの理由は「責任」という側面が大きいものの、大部分は自分本意な考えに依拠している。
子どもができれば、今家庭を持つことになれば、今の自分の目標に向けてこのまま大学で学ぶ道に進むことが難しくなるだろう。
そんな自己中心的な考えが頭をよぎっているのだった。
それよえに、もしも緊急避妊薬の持ち合わせなんかがあるのなら、それを服用してもらいたい、というような気持ちもある。
もしそれが叶うなら、長く時間が経ってしまう前に話をしたほうが良い。
浅ましい考えに駆動されて、柚津を起こそうとする梨樹人。
一応、梨樹人も大学生になってから、人並に女性との交友関係があり、性交渉の数も数えるのが面倒なくらいには熟してきた。
それでも、これまではいつでも、相手のため、そしてなにより自分のために、避妊を欠かしたことはなかった。
それが今回はどうだろう。
台所の品々に思うところがないわけではないが、それでも、自分が遠慮なしに柚津に自分の情欲をぶつけたのであろう痕跡は朝の内に見せつけられている。
その点に関して言い訳のしようもない。
もし万が一がアレば、自分の目標より柚津との未来をとって幸せにしないとな、という気持ちはある。
ただ、過去に浮気されていたことを忘れたことはなく、また繰り返されるのではないか、という仄暗い考えが梨樹人の決断する気を減衰させている。
なにはともあれ、話し合いは必要であり、起きてもらわねばならない。
「柚津、風呂上がったよ。そろそろホントに起きて」
「う~ん......じゃあ、おはようのチューして~」
「しないよ、ばか。ほら、起きて」
およそ目を覚ましている様子の柚津の頭を軽くパシッとはたいて起床を促す。
「わかったよぉ。ふわぁぁぁぁぁぁ~」
大きくあくびをしながらベッドから身を起こすと、窓から差し込む昼の太陽の光に照らされて、柚津のあられもない身体が披露される。
「ちょっ!とりあえずなんか着るか、シャワー浴びてきて!」
「えー、シャワー浴びたらまたスるのー?」
目をこすりながら冗談か本気かわからないことを言ってくる柚津に対して、少し真面目なトーンで返す。
「いやしないから。とにかく、ちょっとちゃんと話ししたいからさ、せめて顔洗っておいで」
「んも~、わかりました~。ナカもぐしょぐしょで洗いたいし、シャワー浴びてくる~」
文句を言いながらも生まれたままの姿でトコトコと風呂に向かう柚津。
不覚にもそんな姿を見せつけられて、20歳もそこそこの健全な男子大学生がなにも反応しないはずはなく、まじめに対応しないといけないと頭ではわかっていても、息子は元気にイレクトしている。
これは......柚津がシャワー浴びてる間になんとかおさめないと真面目な話どころじゃないな。
*****
しばらくして柚津が風呂からでてくる。
ピンクのネグリジェを来ている。
どうやら今日は外出したりするつもりは無いらしい。
梨樹人の方はというと......なにもおさめられていなかった。
むしろ、発達している。
原因は柚津のシャワー。
明らかに自分でシているのがわかる嬌声をだして、梨樹人を挑発しているのがわかる。
今の格好もそうだ。明らかにソレ目的の装い。
いくつものコンボを決められて、そしておそらく昨晩、というか数時間前に飲まされたのであろう精力剤の力も相まって、留まるところをしらない聞かん坊と化している。
その様子は柚津から見ても明らかなようで。
「やっぱりお風呂入らせて、シたいと思ってるんじゃん!」
と言いながらにじり寄ってくる。
しかし、「昨日から流されっぱなしになっていて、ここでも流されるのは絶対にいけない」という気持ちを強くもち、なんとか言葉をひねり出す。
「いや、違うって。これはお前がなんか風呂でエロい声だしてたからしょうがないことで」
「ふーん?それでシたくなったんでしょ?」
「だから違うって。ちゃんと、色々と話をしたいと思ってるんだよ」
「なにをー?」
「まだ俺も頭の中整理しきれてるわけじゃないけど、昨日なにがあったのか......とか、これからどうするのか......とか、それから、俺の今の気持ちとかさ......」
「それはシてからじゃだめなことなの?」
柚津は止まらず、トロンとした目で這い寄ってくる。
「だめなんだって。えっと、とりあえず、柚津。昨日は、というかさっきまで?生でしたんだよな?」
「うん、そうだね。りっくんもさっき見たでしょ?」
頬に手を当てて少し顔を赤める、ポッという擬音がぴったりなリアクション。
「だったら、ホントにできたりしたらやばい。今、アフターピルとかもってないの?」
「そんなの持ってないよ~」
へらへらと告げる柚津に、なんとも言えない環状になるも、普通持っているようなものでもないので、諦めるしか無い。
「デきちゃったら、責任、とってくれるんでしょ?」
「それは......」
悩んでうつむく梨樹人の顔を覗き込むように尋ねてくる。
顔が近い。いや進行形で近づいている。
唇が合いそうになったその瞬間。
「待てって!」
言いながら柚津の肩を掴んで押し返す。
少しの沈黙が流れるが、話始めの話題を決めた梨樹人が静寂を破る。
「まずはさ、なんでこういう状況になってるのかってのを、教えてくれない?」
「なんでって、お酒を飲んで盛り上がっちゃったから、かな?」
「それだけ?あの台所のビンとか薬は?」
「あー......それは、ね?............ほら、久しぶりにりっくんとお話する予定だったから、緊張してお話できなくならないように......とか?」
「柚津自身が飲んだってこと?というかいろいろ、無理筋でしょ!」
「もぅ、そんなこと別にいいじゃない」
話を反らしたいという意図が透けて見える。
「よくないよ。悪いんだけど昨日のこと、俺は記憶がほとんどないんだよね。だから柚津とのことどう考えて良いのか、わからないんだよ」
「結婚してくれればいいじゃん」
その言葉にいろんな気持ちが腹の底あたりからこみ上げてくるのを感じる。
感情的になりすぎないよう、ふぅ~っと一息深呼吸をして続ける。
「それが一番頭抱えてるとこなんだよ。
いいか柚津。俺は正直、柚津が昔付き合ってる間に別の男と浮気してたってこととか、こっぴどく振られたこととか、結構根に持ってるんだよ。
ムカついてるし、柚津を信用しきれないとこがある。だから昨日、これで最後にしようとも言った。
もちろん、こういう状況になってるんだから、必要になれば責任も取らないといけないとは思ってる。
でもその前に、さっき言ったように、柚津には思うところがいろいろあるから、酔ってたとしても自分の意思で柚津を抱こうとするとはあんまり思えてないところもあるんだ。
だからまず、実際どういう経緯でこういう状況になってるのかを知っておかなきゃって思ってるんだ」
「昔のことは......そうだよね。ごめんね、柚津が傷つけちゃった。
あれからすごく反省したの。りっくんの優しさに甘えて、わがままだったと思う。ごめんなさい。
でも昨日りっくんが柚津を抱いてくれたとき、許してくれて、また元通りになれるかなって思ってすごく嬉しかったの」
なにやら殊勝なことをのたまっておられるようだが、柚津はキャミソールの裾を指ですり合わせるような動きをしている。
柚津のこの癖は、昔から嘘をついているは、なにかやましいところがあるときに発揮されるものだ。
どうやらさっきの話のどこかに、なにか含みがあるんだな。
「柚津、ほんとのこと言ってくれないか?」
「え、嘘なんてついてないよ?」
「その服の裾をイジる癖。柚津がなにか隠そうとしてるときにやるやつだよね」
「嘘!?」
「ほんと」
またしばらく静寂の時間が訪れる。
「............ホントのこと言っても怒らない......?」
シャワーを浴びる前は麻痺していたのか気がつかなかったが、一旦リセットしてから嗅いでみると、においだけでそこで起きたことがわかるレベルだ。
基本的には女の子の部屋らしい甘ったるいにおいがベースにあるものの、汗と栗の花、あるいはイカくさいが混じっており、そこで執り行われた情事を伝えようとしているかのようだ。
そのにおいのせいで梨樹人の「やってしまったんだな」という感触がさらに強化される。
ふとベッドに目をやると、柚津はまだ布団を被って寝息を立てているようだ。
さすがにそろそろ起きてもらって話をしないとな。
時計の針はちょうどてっぺんを指そうとしている。
時間が立つほどに梨樹人の焦りは増していく。
焦りの理由は「責任」という側面が大きいものの、大部分は自分本意な考えに依拠している。
子どもができれば、今家庭を持つことになれば、今の自分の目標に向けてこのまま大学で学ぶ道に進むことが難しくなるだろう。
そんな自己中心的な考えが頭をよぎっているのだった。
それよえに、もしも緊急避妊薬の持ち合わせなんかがあるのなら、それを服用してもらいたい、というような気持ちもある。
もしそれが叶うなら、長く時間が経ってしまう前に話をしたほうが良い。
浅ましい考えに駆動されて、柚津を起こそうとする梨樹人。
一応、梨樹人も大学生になってから、人並に女性との交友関係があり、性交渉の数も数えるのが面倒なくらいには熟してきた。
それでも、これまではいつでも、相手のため、そしてなにより自分のために、避妊を欠かしたことはなかった。
それが今回はどうだろう。
台所の品々に思うところがないわけではないが、それでも、自分が遠慮なしに柚津に自分の情欲をぶつけたのであろう痕跡は朝の内に見せつけられている。
その点に関して言い訳のしようもない。
もし万が一がアレば、自分の目標より柚津との未来をとって幸せにしないとな、という気持ちはある。
ただ、過去に浮気されていたことを忘れたことはなく、また繰り返されるのではないか、という仄暗い考えが梨樹人の決断する気を減衰させている。
なにはともあれ、話し合いは必要であり、起きてもらわねばならない。
「柚津、風呂上がったよ。そろそろホントに起きて」
「う~ん......じゃあ、おはようのチューして~」
「しないよ、ばか。ほら、起きて」
およそ目を覚ましている様子の柚津の頭を軽くパシッとはたいて起床を促す。
「わかったよぉ。ふわぁぁぁぁぁぁ~」
大きくあくびをしながらベッドから身を起こすと、窓から差し込む昼の太陽の光に照らされて、柚津のあられもない身体が披露される。
「ちょっ!とりあえずなんか着るか、シャワー浴びてきて!」
「えー、シャワー浴びたらまたスるのー?」
目をこすりながら冗談か本気かわからないことを言ってくる柚津に対して、少し真面目なトーンで返す。
「いやしないから。とにかく、ちょっとちゃんと話ししたいからさ、せめて顔洗っておいで」
「んも~、わかりました~。ナカもぐしょぐしょで洗いたいし、シャワー浴びてくる~」
文句を言いながらも生まれたままの姿でトコトコと風呂に向かう柚津。
不覚にもそんな姿を見せつけられて、20歳もそこそこの健全な男子大学生がなにも反応しないはずはなく、まじめに対応しないといけないと頭ではわかっていても、息子は元気にイレクトしている。
これは......柚津がシャワー浴びてる間になんとかおさめないと真面目な話どころじゃないな。
*****
しばらくして柚津が風呂からでてくる。
ピンクのネグリジェを来ている。
どうやら今日は外出したりするつもりは無いらしい。
梨樹人の方はというと......なにもおさめられていなかった。
むしろ、発達している。
原因は柚津のシャワー。
明らかに自分でシているのがわかる嬌声をだして、梨樹人を挑発しているのがわかる。
今の格好もそうだ。明らかにソレ目的の装い。
いくつものコンボを決められて、そしておそらく昨晩、というか数時間前に飲まされたのであろう精力剤の力も相まって、留まるところをしらない聞かん坊と化している。
その様子は柚津から見ても明らかなようで。
「やっぱりお風呂入らせて、シたいと思ってるんじゃん!」
と言いながらにじり寄ってくる。
しかし、「昨日から流されっぱなしになっていて、ここでも流されるのは絶対にいけない」という気持ちを強くもち、なんとか言葉をひねり出す。
「いや、違うって。これはお前がなんか風呂でエロい声だしてたからしょうがないことで」
「ふーん?それでシたくなったんでしょ?」
「だから違うって。ちゃんと、色々と話をしたいと思ってるんだよ」
「なにをー?」
「まだ俺も頭の中整理しきれてるわけじゃないけど、昨日なにがあったのか......とか、これからどうするのか......とか、それから、俺の今の気持ちとかさ......」
「それはシてからじゃだめなことなの?」
柚津は止まらず、トロンとした目で這い寄ってくる。
「だめなんだって。えっと、とりあえず、柚津。昨日は、というかさっきまで?生でしたんだよな?」
「うん、そうだね。りっくんもさっき見たでしょ?」
頬に手を当てて少し顔を赤める、ポッという擬音がぴったりなリアクション。
「だったら、ホントにできたりしたらやばい。今、アフターピルとかもってないの?」
「そんなの持ってないよ~」
へらへらと告げる柚津に、なんとも言えない環状になるも、普通持っているようなものでもないので、諦めるしか無い。
「デきちゃったら、責任、とってくれるんでしょ?」
「それは......」
悩んでうつむく梨樹人の顔を覗き込むように尋ねてくる。
顔が近い。いや進行形で近づいている。
唇が合いそうになったその瞬間。
「待てって!」
言いながら柚津の肩を掴んで押し返す。
少しの沈黙が流れるが、話始めの話題を決めた梨樹人が静寂を破る。
「まずはさ、なんでこういう状況になってるのかってのを、教えてくれない?」
「なんでって、お酒を飲んで盛り上がっちゃったから、かな?」
「それだけ?あの台所のビンとか薬は?」
「あー......それは、ね?............ほら、久しぶりにりっくんとお話する予定だったから、緊張してお話できなくならないように......とか?」
「柚津自身が飲んだってこと?というかいろいろ、無理筋でしょ!」
「もぅ、そんなこと別にいいじゃない」
話を反らしたいという意図が透けて見える。
「よくないよ。悪いんだけど昨日のこと、俺は記憶がほとんどないんだよね。だから柚津とのことどう考えて良いのか、わからないんだよ」
「結婚してくれればいいじゃん」
その言葉にいろんな気持ちが腹の底あたりからこみ上げてくるのを感じる。
感情的になりすぎないよう、ふぅ~っと一息深呼吸をして続ける。
「それが一番頭抱えてるとこなんだよ。
いいか柚津。俺は正直、柚津が昔付き合ってる間に別の男と浮気してたってこととか、こっぴどく振られたこととか、結構根に持ってるんだよ。
ムカついてるし、柚津を信用しきれないとこがある。だから昨日、これで最後にしようとも言った。
もちろん、こういう状況になってるんだから、必要になれば責任も取らないといけないとは思ってる。
でもその前に、さっき言ったように、柚津には思うところがいろいろあるから、酔ってたとしても自分の意思で柚津を抱こうとするとはあんまり思えてないところもあるんだ。
だからまず、実際どういう経緯でこういう状況になってるのかを知っておかなきゃって思ってるんだ」
「昔のことは......そうだよね。ごめんね、柚津が傷つけちゃった。
あれからすごく反省したの。りっくんの優しさに甘えて、わがままだったと思う。ごめんなさい。
でも昨日りっくんが柚津を抱いてくれたとき、許してくれて、また元通りになれるかなって思ってすごく嬉しかったの」
なにやら殊勝なことをのたまっておられるようだが、柚津はキャミソールの裾を指ですり合わせるような動きをしている。
柚津のこの癖は、昔から嘘をついているは、なにかやましいところがあるときに発揮されるものだ。
どうやらさっきの話のどこかに、なにか含みがあるんだな。
「柚津、ほんとのこと言ってくれないか?」
「え、嘘なんてついてないよ?」
「その服の裾をイジる癖。柚津がなにか隠そうとしてるときにやるやつだよね」
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