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衝撃の事実発覚・2回目の裏切られ発覚
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「俺の新しい彼女ってさ、あの柚津なんだよね」
「........................は?」
思考がうまく働かない。
酔いが回ってるせいか?
まぁそれもあるよな。
いやでも、え?柚津と付き合ってる?
また浮気か?いやでも、さすがに、ねぇ?
「あ、そういう冗談か?wそういうのいいからw」
「いや、冗談じゃねぇからw」
「まじ......なのか............?」
「おうよ、マジもマジ、大マジよ」
目眩がする。
そんな強い酒は飲んでない。なんならビールしか飲んでいない。
いや、いまはそんな現実逃避をしている場合じゃないだろ。
「は!?いやでもなんで!?どういうことだよ!?」
「なんだよイソ!急にでかい声出すなよ!びっくりするだろ」
「なんだよじゃねぇよ!え?お前、俺と柚津の関係知ってて言ってんのか?」
急激に上がった梨樹人の声のボリュームが段々と小さくなる。
というか声の温度が低くなる。
「す、すまん。そ、そんな怒るとこだとは思わず」
「これにキレないやついねーだろ」
「いや、普通そんなキレねーだろ。元カノ(・・・)に彼氏ができてここまでキレられるとは思っても見なかったわ。どんだけ独占欲強えーんだよ」
慧莉の顔を見ると「引くわー」とばかりの表情をしている。
だが梨樹人が気になっているのはこの慧莉の表情ではない。
今まさに口にされた「元カノ」の部分だ。
どういうことだ?
春朝のやつは、今の俺達の関係(・・・・・・・)は知らないということか?
極度の混乱が逆に梨樹人のヒートアップした頭を落ち着ける。
「すまん、アツくなっちまった」
「い、いや、構わねぇよ。なんだよ、柚津に未練あったのかよ。それならむしろ、俺のほうが気遣えず悪かったよ」
「そうじゃない、違うんだよ。でもまだ整理できてない」
慧莉の頭上に「????」とクエスチョンマークが浮かんでいるのがわかる。
なるほど、お前は知らないんだろうな。
ということは........................。
「まず確認したいんだが、春朝。お前の彼女ってのは、俺らの同級生の夏海柚津、で間違いないか?」
「あぁ、そうだけど?」
「んで、お前は柚津は俺の元カノ(・・・)だって認識してるんだな?」
「ん?そうだろ?お前ら付き合ってたんだよな?」
「あ、あぁ。それはそうなんだが......なぁ、何が言いたいんだ?」
慧莉の疑問にどう切り出すか逡巡するも、「なぁ!」という慧莉の催促に急かされて、ふぅーっと1つ深く息を吐いて端的に伝える。
「柚津は元カノではあるんだけど、それだけじゃなく、俺の今カノでもあるんだよ」
「..........................................はぁ?」
冒頭と混乱度合いの立場が逆転している。
「いや、なにいってんだよ。全然面白くねぇぞ?まじで。イソってそういう冗談いうやつだっけ?」
「冗談じゃねぇよ。だから俺も意味わかんねぇんだって」
「え、なに、マジで言ってんのか?」
「あぁ」
先程までの楽しい空気は雲散霧消。すでにどこにもない。
梨樹人と慧莉の間には重苦しく険悪な空気が流れている。
「ちょっと待ってくれ、俺も整理できない。なに、つまり柚津は今、俺とイソの2人と同時に付き合ってる?浮気してるってことか?」
「......たぶん......そうなんじゃないか」
「嘘だろ......」
「ちなみに春朝はいつから付き合ってる感じなんだ?」
「えー、今年の夏ごろかな?」
慧莉のシュッとした優男顔が一瞬でげっそりとしているように見える。
まだ混乱が収っているわけじゃないが、こいつも被害者なんだよな......。
さらに追い打ちかけるみたいになるのも嫌だけど、話の摺り合わせはしといたほうが良いよな。
「そうか......それは......お互い災難だった、ということか......」
「えぇ......まだ信じらんねぇ。ちなみにイソはいつから付き合ってるんだ?」
「中学卒業から高3の冬までで一旦別れて、大学4年の冬にヨリを戻して今に至るって感じだな」
「お、俺よりも長いじゃねぇか......。ってか、もしかしてその間もやることやってたり......?」
「あ~ぁ、言われてみればそうだな。不本意だが俺ら、穴兄弟ってやつになるんだろうな。しかも時間差なく、進行形での」
それを聞いて2人は「おえっ」とえずいてしまう。
別に互いを嫌いなわけじゃないが、自分の彼女と思ってたやつが浮気していて、昔ながらの親友と思ってたやつが穴兄弟だった、という事実は急激なストレスで胃に最大級の圧力をかけるには十分だったようだ。
何をしゃべっていいのかわからない。
というか何も考えたくない。
だけど、これから何かしら動かねばならない。
頭ではわかっているつもりなのだが、ココロが思考を許可しようとしない。
そこから10分ほど、2人の間には沈黙が流れ続けた。
酒も食べ物もなにも進まない。
どうやら、「とりあえず一旦家に帰りたい」という気持ちだけは2人の共通認識だったようで。
「会計、するか。」
「おう」
絞り出すように声を掛け合って会計だけして店を出る。
「じゃあ、今日はなんか、悪かった」
「いや、お互い様だろ。なんつーか、また連絡するわ」
「おう、わかった......じゃあ今日はここで解散で」
「うん、じゃあ」
そう言い合って2人足早に帰路を急ぐのであった。
*****
自宅の最寄り駅についた頃、ポケットの中でスマホが振動する。何かの通知が来たようだ。
スマホを出して確認してみると、今一番見たくない人物からのメッセージが通知されている。
『そろそろ飲み会、終わったころかなー?♥』
と呑気なメッセージが送られてきている。
そういえば、今日の飲み会の相手が春朝だというのは伝えてなかった。
昔の男友だちと飲んでくる、とだけ伝えていたのだ。
だから自分の浮気がバレてるなんて思ってなくて、いつも通り電話を催促するメッセージのつもりで送ってきたのだろう。
普段なら多少疲れていても電話をしてきたが、今日に限っては絶対に話したくない。
そういえば明日は柚津と出かける予定だったな。
そこで諸々を問いただしてやろう。
そこまでは俺が気づいてることをばれないようにしてるほうがいいか。
すぐにそう判断して、まずは慧莉に向けて「浮気に気づいたことは明日俺から直接問いただそうと思ってるんだが、それまで黙っててくれないか」とメッセージを送り、すぐに返ってきた「了解」の二文字を確認する。
そのうえで、柚津には「ごめん、今日はちょっと電話むりだわ。おやすみ」とだけ送って、速攻で帰宅し、シャワーだけ浴びて即不貞寝した。
ここで普通に眠れたことだけは幸いだった。
「........................は?」
思考がうまく働かない。
酔いが回ってるせいか?
まぁそれもあるよな。
いやでも、え?柚津と付き合ってる?
また浮気か?いやでも、さすがに、ねぇ?
「あ、そういう冗談か?wそういうのいいからw」
「いや、冗談じゃねぇからw」
「まじ......なのか............?」
「おうよ、マジもマジ、大マジよ」
目眩がする。
そんな強い酒は飲んでない。なんならビールしか飲んでいない。
いや、いまはそんな現実逃避をしている場合じゃないだろ。
「は!?いやでもなんで!?どういうことだよ!?」
「なんだよイソ!急にでかい声出すなよ!びっくりするだろ」
「なんだよじゃねぇよ!え?お前、俺と柚津の関係知ってて言ってんのか?」
急激に上がった梨樹人の声のボリュームが段々と小さくなる。
というか声の温度が低くなる。
「す、すまん。そ、そんな怒るとこだとは思わず」
「これにキレないやついねーだろ」
「いや、普通そんなキレねーだろ。元カノ(・・・)に彼氏ができてここまでキレられるとは思っても見なかったわ。どんだけ独占欲強えーんだよ」
慧莉の顔を見ると「引くわー」とばかりの表情をしている。
だが梨樹人が気になっているのはこの慧莉の表情ではない。
今まさに口にされた「元カノ」の部分だ。
どういうことだ?
春朝のやつは、今の俺達の関係(・・・・・・・)は知らないということか?
極度の混乱が逆に梨樹人のヒートアップした頭を落ち着ける。
「すまん、アツくなっちまった」
「い、いや、構わねぇよ。なんだよ、柚津に未練あったのかよ。それならむしろ、俺のほうが気遣えず悪かったよ」
「そうじゃない、違うんだよ。でもまだ整理できてない」
慧莉の頭上に「????」とクエスチョンマークが浮かんでいるのがわかる。
なるほど、お前は知らないんだろうな。
ということは........................。
「まず確認したいんだが、春朝。お前の彼女ってのは、俺らの同級生の夏海柚津、で間違いないか?」
「あぁ、そうだけど?」
「んで、お前は柚津は俺の元カノ(・・・)だって認識してるんだな?」
「ん?そうだろ?お前ら付き合ってたんだよな?」
「あ、あぁ。それはそうなんだが......なぁ、何が言いたいんだ?」
慧莉の疑問にどう切り出すか逡巡するも、「なぁ!」という慧莉の催促に急かされて、ふぅーっと1つ深く息を吐いて端的に伝える。
「柚津は元カノではあるんだけど、それだけじゃなく、俺の今カノでもあるんだよ」
「..........................................はぁ?」
冒頭と混乱度合いの立場が逆転している。
「いや、なにいってんだよ。全然面白くねぇぞ?まじで。イソってそういう冗談いうやつだっけ?」
「冗談じゃねぇよ。だから俺も意味わかんねぇんだって」
「え、なに、マジで言ってんのか?」
「あぁ」
先程までの楽しい空気は雲散霧消。すでにどこにもない。
梨樹人と慧莉の間には重苦しく険悪な空気が流れている。
「ちょっと待ってくれ、俺も整理できない。なに、つまり柚津は今、俺とイソの2人と同時に付き合ってる?浮気してるってことか?」
「......たぶん......そうなんじゃないか」
「嘘だろ......」
「ちなみに春朝はいつから付き合ってる感じなんだ?」
「えー、今年の夏ごろかな?」
慧莉のシュッとした優男顔が一瞬でげっそりとしているように見える。
まだ混乱が収っているわけじゃないが、こいつも被害者なんだよな......。
さらに追い打ちかけるみたいになるのも嫌だけど、話の摺り合わせはしといたほうが良いよな。
「そうか......それは......お互い災難だった、ということか......」
「えぇ......まだ信じらんねぇ。ちなみにイソはいつから付き合ってるんだ?」
「中学卒業から高3の冬までで一旦別れて、大学4年の冬にヨリを戻して今に至るって感じだな」
「お、俺よりも長いじゃねぇか......。ってか、もしかしてその間もやることやってたり......?」
「あ~ぁ、言われてみればそうだな。不本意だが俺ら、穴兄弟ってやつになるんだろうな。しかも時間差なく、進行形での」
それを聞いて2人は「おえっ」とえずいてしまう。
別に互いを嫌いなわけじゃないが、自分の彼女と思ってたやつが浮気していて、昔ながらの親友と思ってたやつが穴兄弟だった、という事実は急激なストレスで胃に最大級の圧力をかけるには十分だったようだ。
何をしゃべっていいのかわからない。
というか何も考えたくない。
だけど、これから何かしら動かねばならない。
頭ではわかっているつもりなのだが、ココロが思考を許可しようとしない。
そこから10分ほど、2人の間には沈黙が流れ続けた。
酒も食べ物もなにも進まない。
どうやら、「とりあえず一旦家に帰りたい」という気持ちだけは2人の共通認識だったようで。
「会計、するか。」
「おう」
絞り出すように声を掛け合って会計だけして店を出る。
「じゃあ、今日はなんか、悪かった」
「いや、お互い様だろ。なんつーか、また連絡するわ」
「おう、わかった......じゃあ今日はここで解散で」
「うん、じゃあ」
そう言い合って2人足早に帰路を急ぐのであった。
*****
自宅の最寄り駅についた頃、ポケットの中でスマホが振動する。何かの通知が来たようだ。
スマホを出して確認してみると、今一番見たくない人物からのメッセージが通知されている。
『そろそろ飲み会、終わったころかなー?♥』
と呑気なメッセージが送られてきている。
そういえば、今日の飲み会の相手が春朝だというのは伝えてなかった。
昔の男友だちと飲んでくる、とだけ伝えていたのだ。
だから自分の浮気がバレてるなんて思ってなくて、いつも通り電話を催促するメッセージのつもりで送ってきたのだろう。
普段なら多少疲れていても電話をしてきたが、今日に限っては絶対に話したくない。
そういえば明日は柚津と出かける予定だったな。
そこで諸々を問いただしてやろう。
そこまでは俺が気づいてることをばれないようにしてるほうがいいか。
すぐにそう判断して、まずは慧莉に向けて「浮気に気づいたことは明日俺から直接問いただそうと思ってるんだが、それまで黙っててくれないか」とメッセージを送り、すぐに返ってきた「了解」の二文字を確認する。
そのうえで、柚津には「ごめん、今日はちょっと電話むりだわ。おやすみ」とだけ送って、速攻で帰宅し、シャワーだけ浴びて即不貞寝した。
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