【完結】運があるのか、ないのか…【時々更新かも】

アキノナツ

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捕まえられた後は…

後話8.デートは甘い。(1) 微※

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お待たせしました。
えーと、短くならなかったです( ̄▽ ̄;)
デートです。お昼デート。お外デートです。
よろしくお願いします。


===========


 薄暗い青い光りの中、大水槽の前で目をキラキラさせてる瑠凪るなの横顔を俺は眺めていた。

 なんだかんだで、初デートというヤツだな。
 平日の水族館。閑散としてるだろうと思ったが、ところがどっこい、まずまずの盛況ぶり。ふわふわしてる瑠凪を見失いそうになった。手を握る口実になって良かったが、本当にちょこまかと小動物だよ。

 いつものオーバーサイズの淡い色合いのカーディガンが青い光りの中に溶け込んで、識別がしにくい。掴んでいないとこのまま溶けて無くなってしまいそうだ。

 思わず手に力が入ってたようだ。

 痛いと言わずに、握り返して来て気づいた。引っ張られる。引かれるままに顔を寄せると、手を添えた口が耳に言葉を告げた。

「連れて来てくれてありがとう」

「おう…」
 短く返して、手を握り直し、正面を向いた。
 照れる。マジに照れる。可愛すぎて、照れる! チクショーーーーーッ! 好きだ!!!!

 隣りでくふふ…と上機嫌に口元に拳を当てて静かに笑ってる瑠凪を感じていた。

 後ろでガキが走り抜けて行こうが、キャッキャと騒がしい女たちが通り過ぎようが、関係ねぇ、今、俺たちの時間だ。


 ****


「タツオさん! 今日はね…あ、ごめ、あ、ただいま、です」

 玄関を開けて入ってきた瑠凪くん。今日はご機嫌だな。珍しく俺の気配がリビングにあると分かって、廊下とリビングを分けてる扉を開けながら呼びかけてきた。

 俺は、上半身裸で片手腕立て伏せの最中だった。彫り物の背中が汗に濡れて光りうねっている。
 今日は早く帰って来れたがジムに行く気がしなくて、自宅でトレーニングをしていた。

 途中暑くなって、上のスエットは脱いで…どっか行った。

 瑠凪は、すぐに『ごめんなさい』と言うので禁句にした。ちゃんと実行しているようで偉いな。

「おかえり。もうそんな、時間か…」

 ちょっと集中し過ぎたか。息が少し上がってる。瑠凪が帰ってくる前には終わらせるつもりでタイマーを…したつもりになってた。…アカン、疲れてるな。押し損ねてとる。瑠凪でも撫でるか…。

 立ち上がった俺に、瑠凪が無防備に近づいてきた。はにかみながらそわそわしてる。余程聞いて欲しい事があるようだ。
 可愛らしい。彼の頭に手を伸ばしたが、あと少しのところで止まる。

 手の甲も汗で濡れてる。
 息もまだ整わない。

「すまん。今すぐ抱きしめたいんだがな…」

 自分の頭をいつもの感じでガシガシと掻き回そうとして、断念した。マジに絞り過ぎた。湿ってるどころじゃない。顎から垂れる汗を濡れた腕で拭う。照れ隠しも出来んのかよぉ~。おじさん困っちゃうな。

「汗、流してくる」

 シャワーを浴びながら、ハタと気づいた。
『あぁあああ…!』
 頭を抱える。チャンス逃したッ!
 抱きついて、汚してやればよかったんだよッ。
 一緒に風呂に入る口実が出来たんじゃねぇかぁあああ!

 ムカつきからムラムラが増してくる。

 乱暴に頭を拭きながら、出てくる。
 辺りが片付いてる。
 瑠凪は、お茶の準備をしつつ、メモ帳を眺めて俺の存在に気づいていない。
 なんだか珍しい。
 ちょっと湧いたイタズラ心にそっと後ろから近づく。

 今日はコーヒーにしたようだ。ドリップも終わって、注げば終わりだ。今日のお茶請けはケーキ。既にケーキ皿にスタンバってる。コーヒーカップも注いでくれと待っとる。俺の愚息も臨戦態勢。

 身体の熱が落ち着かなくて、腰にタオルを巻いただけの格好。

 こっそり背後からメモ帳を覗き見る。
 ケーキや焼き菓子の事とか書いてあるのは知ってる。俺の感想とか書いてるアレだ。

 イラストか…。デコレーションのメモぽい。
 仕事熱心もいいが、俺のところに来てるんだから俺だけ見てろよ。
 ーーーーま、人の事は言えないか。

 集中してやがる。
 今ここで声を掛けたら、小動物の瑠凪くんは派手に驚くだろう。暴れたら危ないな。

 当初は、近づく俺に気づいて振り返ると踏んでたんだが。照れた笑顔が見れるかと思ったのになぁ。
 仕方がないなぁ…。

 カウンターから引き剥がすようにすっぽり抱き込んだ。わははは、身動き取れんだろう。

「タ、タツオさんッ」
 慌ててやがる。抱き込んで正解。盛大に跳ね上がって驚いてる。

「俺を除け者にするとはけしからんなぁ~。おじさん寂しいゾォ~」

 抱き込んだ頭に頬をぐりぐり擦り付ける。
 背伸びして頭を動かし、頬を擦り付けて来ようとする。キスしてと仕草でしてくる。
 でも、俺っちは今拗ねてるので、そっちからして欲しいから、唇を頬に触れるだけにする。
 ふふふ…と笑ってるのを感じつつ、ホレホレと待つ。

 窮屈な囲いの中でこちらに身体を擦り付けながら、唇を寄せてきた。
 チュッチュと唇が触れるだけのキスを繰り返す合間にちろりと舌先を少し出して唇を舐めてくる。

 少し囲いを緩めると、片手でメモ帳を胸に抱きながらも片手を俺の首に腕を回して引き寄せようと、体重を腕に掛けてくる。俺にもっとこっちに来てと頑張ってる。可愛くって、意地悪したくなる。だが、あまり意地悪してると拗ねられちゃうから、大人しく屈んだ。
 唇を合わせるとクイっと持ち上げる。

 深く口づけて彼を堪能する。ピチャ、クチュと水音を立てて唇を合わせる。メモ帳は離さない。もう! 焼けちゃうなぁ~。
 分からんでもない。その辺の置いたら、濡れたりどうなるか分かったもんじゃない。大切な物だもんな。
 置くならちゃんとしたところに置きたいのだろう。

 ケーキを愛してるんですね。仕方がないか。

「ソレ、しまっておいで」
 名残惜ししそうに、ちゅーっと長い吸い付く音をさせて離れると、囁くように告げる。

「そうだったッ。タツオさん、意見聞かせてッ」

 キスで色っぽく蕩けてた顔が、パッと変化。職人の顔になった。
『あー』と額に手を置いて天井を見上げた。おあずけ確定だ。どうしてくれるんだよコレ。タオルを押し上げてる愚息。瑠凪も分かってるだろうに!



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