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【終】コレはなんだろう? (※)
しおりを挟む里見くんは去っていかないと言ってくれた。
どこまで信じていいかわからないが、私はこの言葉に縋ってみたい。
ここまで好きになってしまうと今までと違って、去って行かれるのは流石に堪えるので、自ら去ろうかとも考えていたのだが、好きな人と離れたくなくて、グズグズして、悩んでいたら、見透かされた。
里見くんには敵わない。
一緒に『好き』を大きくしていく。
手を重ね、指を絡める。
綺麗な指をしてる。
隣で眠ってる里見くんをじっくり鑑賞していた。
無防備に寝てる。ちょっと涎が垂れてる。
チョンとほっぺを突いてみた。
口元がモニュっと動く。
可愛い……。
私の隣が埋まったのを感じる。
寂しくない。
とても不思議だ。
寝癖のついた髪をそっとなでる。
コレが幸せという物なのかも知れない。
恋を知って、幸せを無くす恐怖を知った。
それがなくならないとしっかり掴んでくれる手の温かさを知った。
そして、この安心感のある幸せを知った。
このふわふわした気持ちを里見くんと分かち合いたい。
そっと頬に口づけ。
コレは、この気持ちはなんだろう。
里見くんなら答えを知ってるだろうか。
じっくり自分の中を覗く。
静かだった。澄んで、凪いでいる。
早く、里見くん、目を覚ましてくれないだろうか。
この答え探しはひとりでするより二人でしたいんだ。
心が躍る気分で、彼の髪を優しくゆったり梳いていた。
◇◇◇
目が覚めると、目の前に幹典さんが居た。
穏やかに笑ってる。
オレの頭を撫でてくれてて、気持ちいい。
オレは頭を撫でられるは嫌いなんだが、なんだか幸せな気分でその手を許していた。
「おはよう」
掠れた声でご挨拶。
「おはよう」
抱き寄せられて、ご挨拶される。
なんだ? とっても幹典さんが甘ったるくて、可愛い。
「どうしたの?」
腕枕されちゃった。気持ちいい。
自分のほっぺが湿っぽい。ヤベッ。涎垂れてた。慌てて手で拭う。
見られてた。恥ずかしい……。
「待ってた」
そうなんだ。
「お腹空いた?」
「あまり」
「そっかぁ」
オレはちょっと空いてる。
「答え探しを手伝って欲しくて…」
はにかんでそんなお願いをされた。
お願いされた!
幹典さんからのお願い!
「て、てちゅだいましゅッ」
思いっきり噛んだ。
「手伝います。手伝わせてッ」
慌てて言い直し。
クツクツと幹典さんが笑ってる。
可愛いがリフレイン。
この人めっちゃ可愛いんですがぁぁぁぁあああ!!!!(オレ視点で)
「さっきから、目が覚めて、君を見てると、こう……ふわふわとこの辺が暖かいんだよ。コレはなんだろう?」
「ん?」
「寂しくないんだ。不思議だよね。幸せっていうのかなぁ」
ぽやぽやと語ってくれます。
オレ、呆然と聴いていた。
コレを愛の告白と言わずになんと言う!
オレにはそう聞こえる。聞こえます!
「し、幸せだと思います。オレ、それ聞いて、嬉しくなってる。幸せが共有出来て嬉しい。それは『愛』だと思う」
小っ恥ずかしい事を言ってる自覚はある。
でも、コレを今言わずにいつ言うんだ!
瞬きじっと見られてる。
めっちゃ見つめられてる。
めっちゃ考えられてるようです。
待ちます。待つ……待てんッ。
顎に手を添えると唇を合わせた。
そっとムード良く重ねたつもりでしたが、実際は、打つかるような勢いで唇を押しつけてました。
「え? えーーーーーッ?」
肩を掴まれて引き剥がされた。
「コレが愛? 愛してるってヤツ?」
真顔で驚かれても……。
ちょっと萎えた。
二人とも裸でした。
素肌が触れあって気持ちがいい。
「そうですよ。オレ、めっちゃ嬉しいですよ。オレも愛してます」
ニッと笑って言ってみた。
ボンっと音が聞こえそうな程、顔が一瞬で真っ赤です。
片手で口を覆って、何か慌ててる。
何故、慌ててる? 悶えてる?
「幹典さん?」
「ま、待って…待って…」
泣きそう? なんだ?
「今、落ち着くから……。里見くん。」
「はい、なんでしょう」
「ご飯にしよう」
さっさとベッドから出て行った。ドアが勢いよく開閉して、出て行って、バスルームに入る音がした。
あ…、中に出したんでした。ごめん、幹典さん。
ーーーーー逃げられましたね。
真っ赤な顔の幹典さんを思い出して、自然と笑みがこぼれる。水音がし出しました。きっとひとり真っ赤になって悶えてるんですな。可愛いッ。
さて、朝ごはん作りますか。
何も慌てる気が起きない。彼との間にしっかりとした繋がりを感じていた。幹典さんからは、その内、多分不意打ちになるであろうが、ちゃんとした「愛してる」の言葉を聴けるだろう。
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最後は、めちゃくちゃ絡ませてやろうと思ってたのに、なんだか、この二人はコレで区切りかなって気分になりました。
後日談に、ウケのタチ的セッを書こうかなぁと思ってます(^◇^;)
応援ありがとうございます!
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