『カケラ探し』〜全ての感覚が消失。取り戻すには、半身のような唯一を探すしかない。

アキノナツ

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目覚めると近くに軽食が乗ったトレイが置いてあった。確かに腹は減る。
手を伸ばしかけて止まる。壁は大丈夫だろうか?
フッと壁がトレイを取り込んだ。

引き寄せ食べながら、周りを伺う。
すっかり日が落ちてる。
王子は居ない。まだ行ってるのか?
壁は俺が寝てても張ってたようだ。

もういいかなぁ、壁は。
音も落ち着いてきたし…。五感が戻って暫く経ったからだろうか…。でも、なんか違うような…。何かが引っ掛かるんだよなぁ。

腹もくちくなって、気が大きくなった。気合いを入れて、壁を消してみた。

ーーーーーこれならやって行けそうだ。

ジュラさんのを真似て作った耳栓もどきが上手くいってる。

立ち上がって、扉に向かう。開かないかもと思いながら取っ手に手をかけるが、思った通り動かない。

浄化魔法で清潔には保てるが、「風呂入りてぇー」っと思って口をついて出た。
おー、俺喋れる。ジュラさんに聞いて欲しいゾ!

小躍りしてたら、王子が部屋に帰ってきた。

妙な格好でストップしてしまった。

「何をしてる?」
冷たい響きが刺さる。恥ずかしいッ!

「えーと、喜びの舞?」
テキトーです。

「ーーーー王が謁見したいらしいが…。断ってくれ」
テキトーはバレてるようだが、そこは無視して要求キタ。

「俺は別にしてもいいけど、バレるのが怖いんだろ? 『唯一』の関係じゃないもんなぁ~?」

「ん……。ッ? お前、回復というか、完全体に近づいてないか?」
悩んでるなぁと思ってたら、突然、俺に近づいてきて、手前で急に止まった。手首を摩ってる。

手首がすっ飛んだもんね。

「壁はもう無いよ。完全体? あー、確かに…調子が少しずつだけど良くなってきてるみたい…だね」

「やはり。オレたちは『唯一』だ。お前が認めたらそれで済むじゃないか」

「んーーーーー……ヤダ。違うのは分かる」
うん。それはなんか分かる。
ジュラさんに聞いた文献にあったのは、好き合ってたんだろ?
合わない。俺がコイツを好きなる要素ない。時間かけても変わる未来は見えない。

「身体を重ねれば、情も湧くのではないか?」
王子が殊勝な感じでしなだれかかってくる。
キモッ!

!!!
マジかーーーッ!

本体無視する俺の分身。泣きたい。
甘い香りが発情を促すってか?
もう薄まってるのに、効いてくるのか?

王子が嬉しそうだ。何か上手く行ったのか?
トレイの空の皿を見た。

!!!

「お前、なんか盛りやがったな?!」
「悪いか?」
ベッドに俺が押し倒された。

魔力が戻った『ケーキ』の事は今までので十分に分かってるつもりだったが、コイツは今までの相手の比じゃなかった。

ヤられるのかよぉぉぉお~。あーれーぇーぇ……

俺はぐったりで動けない。
魔法と薬で身動きが出来ない俺からしっかり搾り取り、横ですやすや寝てやがる。

あー、薬盛られたとはいえ、やっちまったな、俺……。




魔力では何も構わず、抑え込まれ、搾り取られる毎日。目の下のクマちゃんが色濃くなってきた。
このままだとヤられ殺される。。。

ヤってる時は、回復魔法のエンドレス。
やばくなったら魔法でどうにかするんだろう。

あれから、3日か? 1週間ぐらい経ったか?
よく分かんねぇ…。
腹は減るから、媚薬か何か入ってるだろう食べ物だと分かってはいるんだが、食べてしまってる。
味が分かるってのは新鮮でね。感覚に凸凹があるけど、甘い以外が分かるっていう誘惑に負けてる日々。
そして、アンアン言わされてる悪循環。
ドツボです。沼ですわ。

そうか!
薬が抜けて思考がしっかりしてきたら、唐突に思い至った。

俺は、既に『唯一』に出会ってるんじゃないのか?
王子じゃないのははっきりしてるが、ゆっくりだが、体の何かが整ってきてる。
ただ、何かが足りないだけだ。

その何かを持ってるのが『唯一』。

もう一度皆に会う必要がある?
ジュラさんが居場所を知ってる。
ジュラさんに合わないと行けない。
行けないじゃなくて、会いたい!

ぼんやり手を上げる。

空気中の魔素を指先に集めてみる。
指を振れば、弾丸のように飛んで行った。
ヤベッと咄嗟に掌を向けて握るようにすれば消えた。
手から離れてもコントロールできるのか…。

掌に集めて、自分をカタパルトにすれば威力がそれ程なくても目眩しぐらいにはなるか…な?

んー……
よいしょと起き上がった。
部活でやってた感じで軽く構えてみた。
安全策で障壁を立てて、……放つ。

パシュン!!!
障壁に食い込んで光の矢が砕けた。衝撃波が返ってくる。

おー!
部活が役立つとは思わなかった。
アーチェリー部の皆さ~ん、異世界限定だが役立つよぉ~。
精神力は共通だな。

よし!
ここを出ましょう。そうしましょうぉ~。
そうと決まれば、レッツだ、ゴーゴー!

希望の光、違うか、魔素の光を手に入れて、気が大きくなった。

ポンとベッドを降りてさっさと服を着込むと、開かない扉に向かって、大きく引き絞って力を込める。硬い鋭い矢をイメージ。

放ち、扉に刺さる。
接触した途端に爆発して、扉を破壊した。
接地したら爆発をイメージしたら、そのまんまになった。イメージ大事なのね!

サクッと外に出る。



==========

フミ本人は、頭スッキリはっきりしてるつもりですけど、軽くラリっておかしいです。
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