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本編
22】愛しい人(中) ※
しおりを挟むぐったりしてるクンティンをそっと抱き起こし、抱きしめた。
すまない…。
俺の身勝手が起こした不始末だ。
濃い瘴気が、波のように去っていく。あれらは俺が引き寄せた物か…。
クンティンが腕の中で僅かに身じろいだ。
「泣かないで…」
掠れた声で囁く。
「クンティン…」
目覚めてくれた。愛おしいのに、俺はお前を汚す事しか考えられなくなっていた。
「オレ…、嬉しい…」
苦しいそうなのに、笑ってくれてる。
全てバレてしまった。夢で終わらせる状態ではない。
この現状を見れば、今まで何をされて来てたのか、クンティンなら分かってしまう…。
何も言えない俺の頬にクンティンの手が添えられる。
「あなたは孤独に耐えて、聖女だけを待ってたのに。オレたちが来てあなたの平穏をめちゃくちゃにした事をもっと考えるべきだった。ごめんなさい。そして、また、いや、もっと辛い孤独を与えるところだった…」
クンティンに言われるまで気づかなかった。俺は泣いているようだ。クンティンの掌が幾度も頬を拭ってくれる。
温かな手。
「オレに、こんなに気持ちを、ぶつけてくれた。こんな事ならもっと早く告白してれば良かった。エヴァン、好きです。言葉にするつもりはなかったのに…。言っちゃった」
「君は覚えてないかもしれないが、よく、好きと言ってくれた」
「うふふ…、そうなんですね。魔力酔いを使うとは、エヴァンの好みのタイプはサムエルだと思ってました」
「外見は君のような…好みだ。話してる内に君自身が更に好みになった。初めは聖魔力の者と交わらせてみたかっただけだったのに…、気づいたら、君を手放したくなくて…。そして、君自身も好きに…。俺はバカだ…」
「エヴァン、オレの事、好きだって伝わってきましたよ」
キュッと抱きついてきた。
「こんな酷い事をしたのに…」
小さなクンティンを抱きしめる。ああ、こんなに好きな相手になって事をしてしまったんだ。
「オレは、ここを去りません。決めました。だって、こんなにオレを求めてくれてる人がいるのに…」
また頬に手を添えて涙を拭ってくれる。顔が近づいてきた。クンティンの唇が俺の唇に優しく触る。
「俺は、魔王になってしまった」
「いえ、まだなってません」
目から溢れてくる涙を唇で吸ってくれた。俺の体液は穢れを含んでる。
慌てて引き離しそうとすると、反対に抱きつかれた。
彼の雄芯がグリッと押し付けられた。勃ち上がってる。
「抱いて下さい。オレを大事に思ってるんなら、その想いで、抱いて下さい」
「出来ない。大切だから、これ以上傷つけきたくない」
クンティンの考えが分からない。俺の肉棒がガチガチに勃ってるのを感じて言ってくれてるのだろうか。これは、魔人になった俺の欲望が出てきてるだけだ。浄化するよりも穢れに塗れたモノに変わってしまったのだろう…。
「あなたはまだ魔人になってません。娼館で聞き取りをして分かったんです。彼女たちは、何故、人の形のまま魔人に、淫魔になったのか。答えは、『祈り』です。
エヴァンへの想いが子供を欲してしまった。彼女たちは子供欲しさに浅ましく求めた結果、魔人になったが『祈り』が姿を止まらせた。
でも、それを伝えたら貴方が気に病むから彼女たちは、あんな戯けた事を言って誤魔化している。
それもこれも、あなたが少しでも幸せでいれるようにとの願いです。彼女たちの祈りです」
クンティンは俺に語るかけるようにゆっくり話してくれてる。
俺はクンティンの言葉を静かに聞いていた。
「彼女たちのは、助けられてる。娼館を作った事でここに流れ着いた者たちを導いてくれいる。そうか…」
ダラダラと涎のように先走りが溢れて垂れてる俺をクンティンが握った。
「エヴァン、あなたは浄化出来るんですよ。大丈夫。その欲望はオレへの愛情の裏返しだったんでしょ? 表にして? オレに想いを伝えて…」
さっきよりも深く口づけしてくる。優しく、唇を食んで舐めてくれる。チュッと可愛らしい音を立てて離れた。
「クンティン、こんな俺でも君は…」
鼻先が触れ合う距離で囁く。不安が押し寄せてくる。肉棒を彼が後孔に導こうとしていた。
「好き。大好き。ーーーー愛してます」
噛み付くようにクンティンの唇を覆った。ぎゅっと抱きついていた。
薄く開いた唇の隙間に舌を滑り込ませ、クンティンの舌を探す。口内を大きく舐め上げて、驚いて引っ込んでいた舌を引き出すように絡める。
唾液を混ぜ合わせるような舌の絡み合いで、互いの体温が上がってくる。
俺の雄がクンティンによって挿し込まれていった。ゆっくり、温かなクンティンの中に埋まっていく…。
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