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【後話】夜の華 (2)

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白いロングパーカーの下の身体を想像するだけで前に血が集まってくるのが分かる程に激ってくる。
このままそこで襲ってやるもの悪くない。
無防備にしてると襲われるのだと教えるのは必要だろうな。俺以外の良からぬ輩を誘いかねないな。

だが、全然気付いてないソラを驚かせ、怯えさせ、あの泣き顔を見たい気もする。
乱れて、やめてと泣き叫ぶアレはいいな…。

キツめのお仕置きをしてやるか…。

そっと近づく。
腹の立つビートがはっきり耳に届いてきた。
誰のビートだ。
ソラを満たしていいビートは俺のだけだ。どこのどいつのだ。ーーーー許せない。

今日の気分は黒だったので、全身黒づくめ。黒のパーカーのフードを被れば、この暗闇に溶け込んで、外から見られたとしても白いソラしか認識されないだろう。
ま、こんな上の階のマンションのベランダなど誰も気にしない。
ただ今日は、ご近所もベランダに出ていると言う事実。声をあげれば気づかれる危険があると言う事だ。

真後ろにいるというのに、丸い尻を揺らせて。しっぽがあれば揺れてそうだ。
誘いやがる。

そっと尻に触れた。

ビクッと身体が揺れて、固まった。

口を手で押さえてるソラが、ゆっくり振り返る。叫びそうになったのを手で押さえ込んだようだ。
やるね。

振り返り切る前に抱き込んだ。

ヒュッと息を飲む音がした。

耳元に唇を寄せる。
「何をしてるのかな?」
囁く。
怯えた目がこちらを見てる。
震える指がゆっくり外を指差した。

一応見てやるかと目を遣れば、光の華がいくつも咲いていた。
歓声が上がる。

「綺麗だな」
思わず呟いていた。
頬を寄せて、見つめる。

腕の中の温もりが緩く力を抜いた。
体重をこちらに掛けてくる。
スリっと甘える仕草。

いつもならヨシヨシと撫でてやるところだが。今日はお仕置きだ。

「この下はどうなってるんだい?」
身体が固くなる。
顔が赤くなったり白くなったり、青くなる。
花火の光がここまで届く訳はない。そんなに近くはないからな。

グイッと腰を引き寄せ、ベランダの手すりに緩く押し付ける。
慌てて、裾を引っ張って腿を隠そうとしている。
胸元にエメラルドグリーンの布端がチラチラ見える。
相変わらず、脇が甘い。

チュッと胸元に吸い付いてやった。

きゅっと襟元を鷲掴んで、腕の中で熱を上げている。
暗がりでも首が色づいてるのが分かる。真っ赤になって食べ頃な感じだろう。
泣くか? まだいけるか?

胸元から追い出されて心外だと言わんばかりの表情で覗き込む。
怯えた目が唆られる。

パーカーの布を撫でながら、裾をたくし上げ、太ももを撫でる。
ふるふると震える身体。サラリとした下着の布にあと少しで届くところで、腿をゆっくり掌を感じて貰えるように円を描きながら、近くなったり遠くなったりと焦らすように撫でる。

「こうされたかった?」
耳を食べてしまいそうな唇の近さ。唇が動く度にサワサワと触れる。
逃げるような仕草で首を竦めて、片肩が上がる。

「逃げるな。これはお仕置きだ」
抱きしめる腕に少し力を込める。
ビクンッと動きが固まった。
わなわなとソラの唇が何か言いたそうに震えている。

言い分はあるだろう。
そんな事は分かってる。

俺は準備して待つようには言ったが、どういう状態で待つかの指示は出していない。
部屋で待てとしか指示してない。縛るつもりはない。
俺たちの関係は主従がはっきりしたそういう関係ではない。あくまでも対等なパートナー。だが、誰のモノかは分かっていて欲しいもんだ。

尻肉をスルリと撫でた。

否と首を横に振りたいようだ。だが、『お仕置き』と俺が言った事で、どうしていいか分からなくなってるようだ。

可愛がってと尻を押し付けた方がいいのか、下される仕置きを大人しく受けるのか、どれが正解なのか、もしかしたらどれも正解じゃないのか…。

ぐるぐると回る思考に振り回されてるのが手に取りように分かる緊張が身体を震わせてる。
ここまで怯えさせたかった訳じゃないが…。

「こんなパーカーの下に着て。俺に見せてくれるんじゃなかったのか?」

光明を見たのか、フッと強張りを解いて、擦り寄ってくる。
秀悟しゅうごの為に準備したよ』と全身で訴えてきてるようだ。
可愛い俺の黒猫。しっぽが脚に絡んできそうな感じで擦り寄ってくる。

「花火、綺麗だもんな」
コクンと頷いて、垂れた目を更に垂らして、許してと縋ってくる。

「ーーー猫をも殺す」
キョトンと見遣ってくる。

「ソラは好奇心旺盛だ。好きなモノ見ながら、可愛がってやるよ。お仕置きは受けてもらうよ」

慌てて頬を擦り付けて、涙が溜まる目を泳がせている。
俺の腕に手を添えて、懇願してる。

酷くはしない。酷くはしないが…。

「酷くはしないから。お仕置きはお仕置きだけどね。ーーーさぁ、頑張って耐えてみて?」

楽しいなッ。楽しもうぜ!

尻肉を鷲掴む。
観念したのか項垂れ俺に身体を預けた。

「ぁぁ…」

密やかな吐息が吐き出された。
濡れた吐息だった。




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