ウブな二人のカウントダウン

アキノナツ

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【本編】〇〇までのカウントダウン

3・恋人繋ぎまでのカウントダウン

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「ただいまぁ~」
遠くで声が……。誰?!

ビクン!と身体が跳ねて、二人同時に跳び離れた。

心臓がバクバクッ!

タケシの様子を伺う余裕もない。
唇が腫れぼったい。それ自体が熱を持ってるみたいで。唇を指先で触った。
顔が熱い。
ペットボトルを掴むと、呷る。

「お友達ぃ? 夕飯作るけど、どうするぅ~?」
パタパタと部屋の前に女の人の声。
お母さん?!
もう夜?

「おかえりっ! ゲーム中ッ! 外で食う!」
タケシが慌てて声を張り上げる。
「あら、そうぉお? お邪魔さまぁ~」
パタパタと去っていった。

ゲーム中は入って来ないんだ。ウチと一緒か。
「ごめん、早く帰ってきたみたいだ」
「いや、留守狙った訳じゃないし……」
モジモジしちゃう。

下を向いて、膝を立て抱えた。
こそっと指で唇に触れる。
キスしちゃった…。
濡れた唇を拭った。

「あのさ…」
ツーっと彼が傍らに近づいてくる。
ぽやぁんと顔を向ける。
ち、近かっ!

仰け反っちゃったッ。
また熱が上がって、たぶん、茹で蛸です。

タケシの綺麗な眉がヘニョっと寄った。
困り顔。カッコいい…。
「嫌だったか…」
間髪入れずブンブン首を振る。
「嫌じゃないッ。びっくりしただけ…」

ほっとした顔が更に近づいてくる。
た、倒れるぅぅ…。
後ろに手を着くのと同時に支えられる。
安定感のある手と腕…。
そっと身体を預けてしまう。
流されてる自覚はあるけど、止まらない。

「もう、ちょっと…」
唇が……。
オレからも近づいて、合わさった。
膝が倒れて、タケシを受け入れていた。
性に興味津々の男子高校生。お年頃の性欲が爆発であるが。が! タケシのお母さんがぁあ!

チュッチュと啄ばんで、再び深く絡みそうになって、慌てて逞しい肩を押しやる。

「ゲーム…しない?」
もう何を言ってんだろぉ……。
コントローラを渡される。

「ごめん…。落ち着かなくて…」
キャラを選ぶのも上の空。
「俺も…」
「明日、出掛ける?」
「何処か行きたいところある?」
「別に…」
コースをとりあえず走ってる感じ。タケシも。二人とも画面を見てる。

「ゲーセン行く? 新しい大きいの出来たじゃん」
大型のアミューズメント施設が出来たと学校でも話題になってた。
「うん、行く」

「お前に好きって言われて、考えちまってさ。ーーー考えてる内のお前寝ちまうし、眺めてたら、好きだなぁって思ってさ。思ったら、なんかもっと、一緒に居たくてさぁ」
タケシがめっちゃ喋ってる。
昇降口で誘ってくれたのは、そういう事?

あの後もめっちゃ喋ってくれたなぁ。
オレの事好きになってくれたんだ。
オレの方が先に好きになったんだからな!
なんの勝負なのか。よく分からないけど、勝った気分。
ゲームは負けてた。

「付き合ってくれないか?」
静かにぽつり。
「どこに?」
「ーーーー告白したんだけど? 順番バラバラだけど」
再びコースを周る。
「告白?!」
コースアウト。

ブンと首を振って、タケシを見る。
真剣な顔つきで画面を見てる。
いつも見つめていた横顔。

「お付き合いしませんか?っていう告白」
コントローラを握ったまま、こちらを見遣ってくる。操作はしてない。

「はい。ーーーよろしくお願いします」
オレの言葉に、嬉しいそうな笑顔のタケシ。オレも釣られて笑ってた。
昨日のオレ、ありがとう!

このままいたら、またキスしそうなので、帰る事にした。
タケシもついてくる。外食するからって。

オレも外で食べる事にした。
家にメッセージでお知らせして、ファミレスに向かった。
離れ難い……。
手、繋ぎたい…。
人の目があるし……。

モジモジである。
タケシもなんだかソワソワしてる。

手を繋ぎたい…。
指先がソワソワ。
さっきまで、皮膚の接触よりも深い粘膜の接触をしてたのに。手を繋ぐって事が、とてつもなく、ハードルが高く感じていた。
は?!
ね、粘膜ッて!

自分で考えた事に自分で恥ずかしくなって、頭の中は大乱闘。

「トオル?」
数歩先を歩いてたタケシが振り返る。
「な、何?」
オレの中の嵐を見透かされてる気がして慌てた。

「そこのラーメン美味いんだ」
街中華屋さんを指差す。
「あ、いいな」
行き先変更。
あっぶね…。








ゲーセンに行く為タケシをホームで待つ。
タケシの最寄り駅のホーム。
スマホゲームで時間を潰してる。いつもはパーフェクトでクリア出来るものが出来ない。ミスばかり…。
やめた。

ぼーっとベンチで天井見てる。鳩が歩いてる。

「よっ」
タケシの声が後ろから。
グッと反り返って、見上げると彼が涼しい顔で立ってた。今日もかっこいいですな。見惚れてしまいます。
「よぉ」
片手を上げる。

電車がきた。
トンと彼の横に並ぶ。
学校で並んで歩くのは当たり前なのに、今日は何かが違う。

昨日から世界の全ての色が、空気が、変わってしまった。
何もかもが新鮮だった。

ほんの少し間を詰める。
あと少しで腕が触れる。

扉が開き、タケシが乗り込み。
「トオル?」
妙にドキドキしてるのを隠しながら後に続く。
「ごめん」
変に顔が熱い。
実は寝不足だったりする。
だって、眺めてるだけで良かった存在が、ものすごく身近な存在になったんですよ。
もう妄想が大変に暴走してしまいまして…。

扉の近くで、立ってる。
「顔赤いな」
いつも言葉少ないタケシ。
「熱ある?」
大きな手が額に。
あー、倒れそう。
二人掛けの席に誘導された。

「座って行こうか?」
「うん」
奥にオレを座らせ、通路側に彼が座る。
座って、視線は彼の手に。
膝の上の置かれた手に釘付け。
こそっと視線を上げれば、彼は窓の方を見て、流れる景色を見ているみたい。

ちょっとだけ……。

そっと伸ばす。

触れてしまった。
気恥ずかしさに手を引っ込める。
キュッと心臓が止まりそう。触っちまったよ!
視線を感じて見上げる。
窓の外を見てるとばかり思ってた彼が、オレを見ていた。

視線が捕まって、固まってしまった。
小動物な気分。

フワッと手が掴まれて、指が絡んだ。
互いにの腿の間で、恋人繋ぎのまま、目的の駅まで電車に揺られた。

じんわり温もりが伝わってくる。
大きな手。
泣きそう。
大好きなタケシの手。指が絡んでる…よ。

あー、降りたくない…。


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