私たちだけ24時間オンライン生産生活

滝川 海老郎

文字の大きさ
18 / 65

18. 氷結の杖とパーティーボーナス

しおりを挟む
 私はさっそく「古い氷結の杖」を装備して、アイスブリーズをプリンにぶつけてみる。
 名前の通り、冷たい風がプリンを包み、短時間だが、動きが止まる。
 どうやら「状態異常:氷結」が発動して、その間は物理攻撃が普段より有効のようだ。
 短時間でやっつけることができた。
 MP消費量は、マジックボールより多いことが分かった。
 威力は良く分からない。たぶんそれなりに強いだろう。
 敵ごとに適性の属性があるらしい。プリンは火魔法を使ってくるから反対の氷に弱そうだ。

 いつものように、ウサギの毛皮を雑貨屋で売り払い、村長の家にお邪魔する。

 せっかくなので今日はウサギ肉を干肉(醤油)に加工する。
 醤油は雑貨屋で売っていない。確認済み。たぶん、食べ物扱いなのだろう。
 塩胡椒、村長に分けてもらった醤油を付けてなじんだら、火で炙って乾燥させる。
 試食用にばらして食べてみる。
 日本人好みのビーフジャーキーみたいな感じになった。私はこれが一番好きかな。

「うひょー。ハムっぽさがなくておいしいよ~」
「醤油もいいですわね」

 2人にも好評のようだ。
 試食用の残りは、明日露店で出してもらおう。

「ところで村長さん。他の人には料理と調薬は教えないのですか?」
「うむ、教えてもいいのじゃが、そもそも教えてほしいと言ってくる者は少ないのじゃ。それに名乗らない不届き者には、面倒だから断っておるわい。高圧的な態度の者もおる。困ったものじゃ」
「はい、同業者として、すみません。代わりに謝っておきます」

「なに、お嬢さんたちは気にせんでよい。そういえば言い忘れていたが、パーティー名を決めたようじゃな。名前はその者の本質を表す大切なものじゃ。名前を付けて、長く経過すると、ボーナスの加護が付くと言われておる。野良パーティーより固定パーティーの方が優遇されるということじゃ。たまにゲストを増やす程度は問題ないぞ。覚えておくといい」
「情報ありがとうございます」

 さらっと有用情報を流してくる村長。さすが村長。これからもよろしく。

 宿屋で毎晩同じメニューのそこそこの味のスープと固いパンを食べる。
 そして、夜部屋に戻って、2人はペンダントづくり、私は情報収集だ。

 案の定「氷結の杖」の情報はまだ掲載されていなかった。
 プリンが武器を落とす情報は、掲載されていた。
 もっとも「初期武器より補正の悪いハズレ装備。開始早々、職種を転向する人向けや、雑貨屋で売れるので、出ないよりはマシだが、レアを狙うほどではない」と評価されていた。

 新スキルを覚えられると書き込んだら、プリン狩りが発生するだろうか。


 7日目の朝。私たちは朝ご飯を頂く。
 今日の朝ご飯は、ウサギ肉のサンドイッチだった。

「すみません。これ、お昼のお弁当用に購入できませんか?」
「あいよ、今朝は余ってるから、欲しければ50セシルで提供するよ」

 塩胡椒で焼いたウサギ肉とレタスのような葉っぱを、薄く切った固焼きパンで挟んである。
 ぶっちゃけると、いつもの夜ご飯よりおいしいと思う。
 4人分200セシルを払い、お昼として持っていく。
 どうして4人分かって? それは、クルミが2人分食べると主張したからだ。

 今日も露店を出してもらうために、雑貨屋に寄りトラニー君を借りる。
 今日の販売品は以下の通り。

 ・星形の木工ペンダント   5,000セシル x3
 ・ウサギ絵の木のペンダント 4,000セシル x4
 ・ウサギの干肉(塩胡椒)    150セシル x10
 ・ウサギの干肉(塩ハーブ)   150セシル x10
 ・ウサギの干肉(醤油)     150セシル x20
 ・ツグミの実         100セシル x30

 ツグミの実が残っていたのを忘れていたので、少し残して売りに出す。
 一粒100セシルだから高いと思う。売れなくてもいい。おまけだね。

 トラニー君も、魔法のアイテム袋に全部収納して持っていった。
 だいたいのNPCもアイテム袋を持っていて、便利に使っているようだ。
 しかし、収納したからといって、時間経過がないわけではないので、鮮度が落ちるものもある。

 今日も村長の所へ寄ろう。

「村長さん、今日はご用はないですか?」
「そうじゃの、特にクエストにはならんのじゃが、冒険者のために薬草を採取してポーションを作ってほしいのじゃ。薬草の群生地はわしが教えておくぞ」
「わかりました」
「露店ゴザは持っているかな? できたポーションは自分たちで露店で販売するといい」

 ホログラムのマップ画面に印が付いた。
 村長、最初の時は教えてくれなかったじゃないですか! とは言えない。
 まだそこまで私たちを信用していなかったのだろう。

 今日はまた、森へ行くことが決定した。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、生命を懸けて鬩ぎ合い、幾度も涙を流す旅路の中で自分の在り方を探す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※基本週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開中(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

処理中です...