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episode.5
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衝撃の展開だらけだった実技訓練が終わり数日が経った。
因みにその後は、場の空気を読んだグレッグが無理矢理収拾を収め、シルヴィの件はあやふやになったまま解散となった。
第一部隊は明日から再び遠征に出る。帰ってきた頃には今日の事も忘れているだろう。と周りの者達は安堵しながらタカをくくっていた。
しかし、蓋を開けてみたらとんでもなかった。
「シ~ルヴィッ!!」
「──ぐえっ!!」
今日もせっせと医局部で仕事をこなしているアルベールの尻を追いかけているシルヴィ。そこに気配を消して抱きついたのが、本来ならばこの場にいないはずのマティアスだった。
「何してるんだい?」
「ちょ!!何度も言いますけど、その過剰サービスは心臓に悪いんでやめてください!!命がいくらあっても足りませんよ!!」
とか何と言いつつ、ちゃっかり拝むシルヴィはだ流石だと周りの者達は一様に思っていた。
何故マティアスがここにいるのかと言うと、今回の遠征をマティアスが拒否を示したからだ。
まあ、ドタキャンもいいとこなので、当然皇帝陛下にお呼ばれされた。
そこでどんな話が飛び交ったのかは知らないが、終わってみたら遠征は第二部隊が行く事に決まっていた。
第一部隊は歓喜し、第二部隊は通夜の様な状態だったと聞く。
マティアス曰く「僕らだけ働きすぎなんだよ。僕らだって休暇を貰う権利はあるでしょ?」と当然と言えば当然のようなこと言っていた。
第一部隊の人達はこの連休を利用して旅行に行く者もおれば、この機に婚活に励んでいる者もいるらしい。
大抵の者はゆっくり過ごしているらしいが、大佐であるマティアスは毎日城へやって来てはシルヴィの姿を探してはちょっかいをかけていた。
「大佐でもある者が私情を仕事に持ち込むとは……そこまで落ちぶれたか?」
「何言ってんの?当然の権利を要求しただけ。そっちこそ、私情を挟んでんじゃないの?」
「私はお前とは違う」
「どうだかね」
毎度行われるアルベールとマティアスの言い合いに皆がハラハラする一方で、シルヴィだけは顔を輝かせて二人を見ていた。
(ああ~~今日も最っ高の絵面……)
推し同士がただ言い争っているだけでもシルヴィにとっては生きる活力となる。
最初は出稼ぎなんて冗談じゃないと思っていたが、今となれば貧乏万歳。貧乏に生んでくれてありがとうとまで思える。
ただこんなシルヴィにも推しは推しだが、唯一苦手な相手がいる。
それは……
「──こちらにヴァーグナー大佐はおられますか?」
透き通る声で顔を覗かせたのは片眼鏡が印象的で、見た目も抽象的。だが相手に隙を一切見せず、常に獲物を狙うような眼をしているこの人は兵士でも大佐でもない。この国の宰相殿であるレイモンド・ジェイ・アーウェン。
この人こそ、シルヴィが苦手とする人。
「ああ、やはりここでしたか……いくら休暇とはいえ、いい加減にしてください」
「別に僕がどこにいようと関係ないじゃないの?」
「……はぁぁぁ~……貴方の勝手のせいで私は日夜残業なんですよ?少しは悪いと思って書類整理を手伝ってはどうです?」
どうもやら、とばっちりは第二部隊だけではなく宰相であるレイモンドにまで及んでいたらしいく、大層不機嫌なご様子。
こう言う時のレイモンドには逆らわない方が良いと言うのが城内外での暗黙の心得。
この人に一言でも口答えをした場合三日間は離してもらえず、ようやく解放された時にはレイモンドの信仰者に成り代わっていると言う噂がある。
噂は所詮噂でしかない。そんな噂、気にするシルヴィでは無い。
では、何が要因で苦手意識を持ったのか……それはシルヴィが入職当日、新人担当を兼任しているレイモンドを一目見たシルヴィはいつもの調子で食い付いてしまった。
レイモンドは苦虫を噛み潰したような顔でシルヴィを見つつ「生物学的観点では──……」と、うんたらかんたら長ったらしい説教を淡々とされた挙句、シルヴィの顔を見るたび嫌味を混ぜこみながら手伝いと称して雑用を押し付けられる始末。そんなこんなで、いつの間にかレイモンドの姿を見たら隠れる癖が身についた。
それでも推しには変わりはないので、たまに気づかれないように覗いて見たりしている。
(片眼鏡なんて萌え要素だけに勿体ない……)
机の下に隠れシルヴィがそんな事を思っていると
「み~つけた~~」
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
息を殺していた所に、レイモンドが顔を覗かせてきたもんだから蛙を潰したような声が出た。
「なんです?その汚い悲鳴は。私は化け物ですか?」
化け物よりタチが悪いものです。とは言えん。
「丁度良かった。人手が足りないところだったんですよ。貴女も一緒に付いてきてください」
「えっ!?いや、私には仕事が……!!!」
「貴女の仕事はアルベール総監の尻を追いかける事ですか?」
襟首を掴まれ引っ張り出されるようにして机の下から出ると、そのまま引きずられるようにして連行されそうになったので、慌てて言い訳を述べるがぐうの音も出ない程に瞬殺された。
「貴女がいればそこの問題児も付いてきて一石二鳥なんですよ。四の五の言わず付いてきなさい」
「問題児って僕!?」
問題児扱いされたマティアスだが、有無を言わせないレイモンドの視線に渋々後を付いてくる。
シルヴィは襟首を掴まれたまま、なすがままに引きずられ医局から出そうになった所でアルベールが無言で医局の扉を閉めた。
因みにその後は、場の空気を読んだグレッグが無理矢理収拾を収め、シルヴィの件はあやふやになったまま解散となった。
第一部隊は明日から再び遠征に出る。帰ってきた頃には今日の事も忘れているだろう。と周りの者達は安堵しながらタカをくくっていた。
しかし、蓋を開けてみたらとんでもなかった。
「シ~ルヴィッ!!」
「──ぐえっ!!」
今日もせっせと医局部で仕事をこなしているアルベールの尻を追いかけているシルヴィ。そこに気配を消して抱きついたのが、本来ならばこの場にいないはずのマティアスだった。
「何してるんだい?」
「ちょ!!何度も言いますけど、その過剰サービスは心臓に悪いんでやめてください!!命がいくらあっても足りませんよ!!」
とか何と言いつつ、ちゃっかり拝むシルヴィはだ流石だと周りの者達は一様に思っていた。
何故マティアスがここにいるのかと言うと、今回の遠征をマティアスが拒否を示したからだ。
まあ、ドタキャンもいいとこなので、当然皇帝陛下にお呼ばれされた。
そこでどんな話が飛び交ったのかは知らないが、終わってみたら遠征は第二部隊が行く事に決まっていた。
第一部隊は歓喜し、第二部隊は通夜の様な状態だったと聞く。
マティアス曰く「僕らだけ働きすぎなんだよ。僕らだって休暇を貰う権利はあるでしょ?」と当然と言えば当然のようなこと言っていた。
第一部隊の人達はこの連休を利用して旅行に行く者もおれば、この機に婚活に励んでいる者もいるらしい。
大抵の者はゆっくり過ごしているらしいが、大佐であるマティアスは毎日城へやって来てはシルヴィの姿を探してはちょっかいをかけていた。
「大佐でもある者が私情を仕事に持ち込むとは……そこまで落ちぶれたか?」
「何言ってんの?当然の権利を要求しただけ。そっちこそ、私情を挟んでんじゃないの?」
「私はお前とは違う」
「どうだかね」
毎度行われるアルベールとマティアスの言い合いに皆がハラハラする一方で、シルヴィだけは顔を輝かせて二人を見ていた。
(ああ~~今日も最っ高の絵面……)
推し同士がただ言い争っているだけでもシルヴィにとっては生きる活力となる。
最初は出稼ぎなんて冗談じゃないと思っていたが、今となれば貧乏万歳。貧乏に生んでくれてありがとうとまで思える。
ただこんなシルヴィにも推しは推しだが、唯一苦手な相手がいる。
それは……
「──こちらにヴァーグナー大佐はおられますか?」
透き通る声で顔を覗かせたのは片眼鏡が印象的で、見た目も抽象的。だが相手に隙を一切見せず、常に獲物を狙うような眼をしているこの人は兵士でも大佐でもない。この国の宰相殿であるレイモンド・ジェイ・アーウェン。
この人こそ、シルヴィが苦手とする人。
「ああ、やはりここでしたか……いくら休暇とはいえ、いい加減にしてください」
「別に僕がどこにいようと関係ないじゃないの?」
「……はぁぁぁ~……貴方の勝手のせいで私は日夜残業なんですよ?少しは悪いと思って書類整理を手伝ってはどうです?」
どうもやら、とばっちりは第二部隊だけではなく宰相であるレイモンドにまで及んでいたらしいく、大層不機嫌なご様子。
こう言う時のレイモンドには逆らわない方が良いと言うのが城内外での暗黙の心得。
この人に一言でも口答えをした場合三日間は離してもらえず、ようやく解放された時にはレイモンドの信仰者に成り代わっていると言う噂がある。
噂は所詮噂でしかない。そんな噂、気にするシルヴィでは無い。
では、何が要因で苦手意識を持ったのか……それはシルヴィが入職当日、新人担当を兼任しているレイモンドを一目見たシルヴィはいつもの調子で食い付いてしまった。
レイモンドは苦虫を噛み潰したような顔でシルヴィを見つつ「生物学的観点では──……」と、うんたらかんたら長ったらしい説教を淡々とされた挙句、シルヴィの顔を見るたび嫌味を混ぜこみながら手伝いと称して雑用を押し付けられる始末。そんなこんなで、いつの間にかレイモンドの姿を見たら隠れる癖が身についた。
それでも推しには変わりはないので、たまに気づかれないように覗いて見たりしている。
(片眼鏡なんて萌え要素だけに勿体ない……)
机の下に隠れシルヴィがそんな事を思っていると
「み~つけた~~」
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
息を殺していた所に、レイモンドが顔を覗かせてきたもんだから蛙を潰したような声が出た。
「なんです?その汚い悲鳴は。私は化け物ですか?」
化け物よりタチが悪いものです。とは言えん。
「丁度良かった。人手が足りないところだったんですよ。貴女も一緒に付いてきてください」
「えっ!?いや、私には仕事が……!!!」
「貴女の仕事はアルベール総監の尻を追いかける事ですか?」
襟首を掴まれ引っ張り出されるようにして机の下から出ると、そのまま引きずられるようにして連行されそうになったので、慌てて言い訳を述べるがぐうの音も出ない程に瞬殺された。
「貴女がいればそこの問題児も付いてきて一石二鳥なんですよ。四の五の言わず付いてきなさい」
「問題児って僕!?」
問題児扱いされたマティアスだが、有無を言わせないレイモンドの視線に渋々後を付いてくる。
シルヴィは襟首を掴まれたまま、なすがままに引きずられ医局から出そうになった所でアルベールが無言で医局の扉を閉めた。
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